増えるの小人 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜、枕元で誰かが「増える。増える」と呟いているようだと気が付いて意識が覚醒した。瞼を開けたが、天井の照明が眩しいので私は思わず顔をしかめた。その間もずっと「増える。増える」と聞こえてきていた。

 同居している家族の誰とも違う声だった。どうやら赤の他人が寝室に侵入してきているようだと思い、私はその正体を確かめなければならないと考えて上半身を起こした。

 すると、布団の脇に小人が立っていて「増える。増える」と呟いていた。私と目が合っても小人は表情一つ変えなかった。まるで人形のようだと思ったが、口は動いていた。私は驚いたが、敵意を示されているわけではないので強引に追い払うべきではないかもしれないと考えて身体を硬直させた。

 小人は無表情のまま「増える。増える」と呟き続けていた。私は質問を投げ掛けてみようかと考えたが、気味が悪いので躊躇した。ずっと目が合っていたが、相手の感情を読み取れそうにないと感じていた。

 ふと、何が増えるのだろうかという疑問が脳裏を過り、ひょっとして小人が増えるのだろうかと考えて咄嗟に周りを見回した。しかし、今のところ小人は一体しか見当たらなかったので私は胸を撫で下ろした。増える前に家から追い払うべきだろうかと考えた。


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