三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 10月14日 ベークドラムと多品種対応

2014-10-14 | メンテナンスお気楽日記
                茶色がS方向3°30分テーパードラム。黒色はZ方向用。

絹撚糸の産地であった小松での、仕上げワインダー加工には大半がベークドラムを使用していた。

技術革新でアルマイト仕上げの金属ドラムが生産される様になっても、こだわり?のある撚糸屋は
「糸にやさしい・無理が掛からない」と言って、ベークドラムを崇拝している。

当然、金属と比べベーク素材は柔らかいので、糸道キズは作業を続ければ目に見える状態で付いてしまう
でも、この糸道が糸の一番無理の掛かるところを避けるために出来る道だから「糸にやさしい」

ロータリートラバースの場合は、左右の綾振りの際、糸が平行移動するのではなく、糸のころがり移動が
発生している。その為ベークドラムには一見平らに見えても、糸の太さに合った凸凹道が出来ている。

道路を考えて欲しい。ベークドラムで出来る糸道は通る人・車で出来上がる「輪だち」
極端に言えばハンドルを離してもコースどおりに走る。その点アルマイトメッキの場合は
アスファルト舗装と考えて、大小色んな車でも走れるが、ハンドル操作が違ってくる。

ベークドラムの使い良さは「仕事・糸の種類さえ変わらなければ、」最良のパートナーとなる。

ここで解ってもらえると思うが、国内での生産作業は「多品種・小ロット」。この需要に対応出来ない。
以前の絹撚糸屋さんは、指定の問屋さんから注文される同種の糸を加工するのが仕事。同一作業。

ワインダーにしても撚台のガイドにしても、糸が糸道を作ってくれる。と、いう事は機械維持費が
少なく、尚且つ品質も一定している。糸価格自体も高価だから、絹撚糸の親方は財もできた。

合繊撚糸の場合は、価格は安いが大量生産に対応できる。きれいな工場で手間を掛けずに機械まかせ
の作業も可能。機械投資やケバ事故対応のガイド交換は大変だが、大量生産がゆえに儲けも出せた。


ところが「量産すれば加工費は低下」には、設備費償却が大きく狂ってしまった。それどころか
他の製品の生産価値まで同調?して下げていまい。繊維加工業の利は極端に少なくなった。

多品種・小ロットも聞こえはイイけれど、製造側にとれば大きな負担。それでいて低価格ではやってられない。
もっと怖いのは、製造技術が発展しない。小ロットでは改良の機会が奪われてしまう。単なる繰り返し生産。

そうこう言っているうちに、技術者も熟練者もいなくなる。糸の知識・機械の知恵。
どう伝承していけばいいのだろうか?

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