三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 7月24日 S巻き・Z巻き

2015-07-25 | メンテナンスお気楽日記
                 インクリーズ溝 左右の端からとなりの溝までの「幅」が異なります。
                           溝が混んでいれば、多くの糸を引くことになります。

ワインダーでの「巻き方向」とは、解除の際、時計回りに解除するか?反時計回りに解除するかの
方向を決めるために行います。これが揃っていないと、整経機や編み機で隣の糸と絡みつきます。

だから、業種によって巻き方向が指定されます。絹撚糸仕上げはS方向に巻き、短繊維や合繊はZ方向
での仕上げ巻きが多くなります。これは、加工の撚り方向(右撚り・左撚り)とは逆となります。


巻き糸を立てて、給糸すれば「解除撚り」が発生します。それを「追い・戻り」と言います。
1メートルとすれば何回かの撚りの増減ですが、巻き加工が重なれば撚り数に影響します。

「解除撚り」をイメージするには紙テープを想像して下さい。床に置いたテープを上に引き上げれば
紙テープはねじれて上がって来ます、巻きテープ一周ごとに一回転の撚りが入る現象です。

この現象を極端に嫌うのは、炭素繊維や金糸銀糸の平織や分割作業で、この場合は、横取りの
「ころがし給糸」という方法を取ります。スピードも格段に遅くなります。
ワインダーもドラムトラバースではなく、糸口でのコニカルトラバースが適しています。


同じ糸種でも、片撚りの場合は撚り方向によって、巻き方向の指定をされることもありますが、
加工糸になれば、SZ糸の合撚や撚り止め加工が施されているので、あまり厳しい指示はありません。
むしろ、最初の話の様に、整経屋さんや編み屋さんの意向が強くなります。

それより最近厳しく指摘されるのは、巻き量や形状(硬度)です。

まず、巻き量が足らなければ、整経や編み屋さんでは大変な事になります。(作業中断・色ズレ等)
また、余れば余ったで、ロスと言うより処分経費がかかり、この時節、苦情が来ます。
昔は「出目糸」と言って、加工所の余禄だったが、今は産廃あつかいです。

形状の不揃いは運搬ロスの原因ともなりますが、糸の重さが同じで?形状(大きさ)が違う、
すなわち、硬度・張力が違うということです。この場合は、糸の品質にも関わって来ます。


先日、平行ドラムのワインダーを3°30′のS方向にする依頼が来ました。他のワインダーと同じ様に
仕様変更しましたが、一台だけブライト糸がどうしても捲けないとの事。再度、訪問しました。

完全な見逃しミスです。同じ平行ドラムでも一台だけ3°30′Zのインクリーズ溝でした。
巻き密度が大きい箇所で、逆に紙管の細い方に巻けば、糸があまってはみ出してしまうのは当然です。

テーパー紙管に巻く場合には、紙管の上下径にあった溝を切った「角度専用ドラム」があるのです。
0°0′ドラムでのチーズ巻きなら頭方向を変えるだけだが、解除抵抗の少ないテーパー巻きの場合は
S方向・Z方向の紙管の先端方向が異なり、引き上げる糸の量も違います。

それを「3°30′Zドラム」とか「9°15′ドラム」「5°用ドラム」など専用種類があります。

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