第14回ゴールドコンサートU-20のステージを下から写した写真

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みなさんこんにちは、
FUKUON 福田音楽教室 ピアノ講師&音楽療法士の福田りえです。


5月6日に開催された「第14回ゴールドコンサート U-20」のオーディションに、生徒さんたちと参加してきました。


ゴールドコンサートとは、障がいのある人を対象にした、オーディション形式で出演者が決まるコンサートです。いくつかの予選会場を経て、9月の東京国際フォーラムで本戦が開催されます。


昨年は生徒さん4名と保護者の方々と共に、宮城県仙台市にある予選会場まではるばる遠征。


遠足気分もありつつ気合を入れて望んだものの、参加者の多くが大人だったのと、演奏された曲もポピュラーとロックに偏っていたのもあって、場違い感が半端なかったというのが正直なところ。


クラシック寄りのピアノ・ソロ演奏だと、ポピュラー&ロックのように前に出てパフォーマンスできませんので、どうしてもアピール不足が否めません。


またこれはゴールドコンサートだけに限った話ではありませんが、発達障害の子は一見しただけでは定型発達(健常)と見分けがつかないので、会の趣旨を反映した審査結果に残りにくいのかなと感じました。


とはいえ、またこうして参加しているわけですが。


前回の会場が遠かったこともあり、参加した保護者の方が関東でのオーディションを要望されたそうです。その甲斐もあってか、渋谷にある山野ホールで開催されることになりました。


山野ホールというと、多くのアーティストがライブやコンサートをされています。ネットで調べてみると、素晴らしい舞台と音響を兼ね備えた、1000~1300人規模の会場だとかわってビックリしました。


タイトルに「U-20」と付いている通り、今回は20歳以下限定のオーディション。前回の場違い感は、大きく軽減されることが期待されます。



ゴールドコンサートU-20当日の様子


会場に到着すると、どんどんと受付けが開始されていました。


細い廊下を受付に並んでいる人たち


前回の仙台予選では、リハーサルなしの一発勝負でしたが、今回はしっかりリハーサルが設けられていました。


そのリハーサル時に、「あれ?アコースティックピアノにマイクが入って、音響がプラスされている」と気付きました。


こういったポップス&ロック寄りな音響入りのピアノは、自分の弾く音にリバーブ(残響)が足され、その音がステージの「返しスピーカー(モニタースピーカー)」からも出てきます。


この音響セッティングに慣れていないと、自分の演奏した音がいろんなところから響いて困惑する場合があります。案の定、クラッシックピアノで参加している人たちは、ガタガタと崩れてしまいました。


青紫色の照明の下でグランドピアノを弾いているドレス姿の女の子の後ろ姿
▲途中で照明が切り替わるステージ


照明も含めて全般的にポップス&ロック寄りなセッティングに揃えてあるので、クラシック勢にとってはアウェイなステージです。


青白い照明の下でグランドピアノを弾いている男の子の後ろ姿
▲オリジナル曲『ボクの卒業』トモくん


審査委員はピアニストで作編曲家の石田桃子さん(石田純一さんのお姉様)をはじめ、3名の業界人がずらり。一人ひとりにくださるコメントは、本人や周りも気付かないようなアイデアやご提案でした。


審査員の方にオリジナル曲『ボクの卒業』に歌詞をつけてみては? とお言葉をいただき、盲学校に自分の歌を残すことを約束していたトモくん、頑張れ!



障がいを持つ子の人生にとって大きな経験となります


みんな惜しくも賞は逃しましたが、こういった演奏機会では、賞を取ることだけでない貴重な体験や出会いが必ず得られるものです。


4〜5月は「世界自閉症啓発デー」のコンサートを皮切りに、ゴールドコンサートやピティナ・ピアノステップでのドマーニ部門など、多くの障がい児者のための音楽イベントが続きます。


こういったイベントで様々な舞台に立つ度に、それぞれの生徒さんが驚くべき可能性と成長を見せてくれます。


しかしお子さんがまだ小さいと、参加・不参加を判断される親御さんにとってもチャレンジとなります。舞台の大小に関わらず、幼少期よりステージに立つ「メリット」をお話しさせていただきます。

  • どんなことにも挑戦する心の強さを育める
  • やり遂げたという成功体験を得られる
  • 今その瞬間に全力でフォーカスする胆力を養える
  • 社会的な活動経験が得られる
…などなど。


大きな舞台に立ち人前でピアノを演奏するという特殊な経験は、日常の学習からでは得にくいものです。それだけに、強い経験としてその子の中に刻まれると思います。


たとえ審査に落ちたとしても、悔しくて泣いたとしても、参加して得られた経験の方が、その後の人生にとってメリットが大きいのです。


今回のように、自分にはあまり向いていない演奏ステージもあるのだなと、知ることも大きな経験ですし、同時にこれに向いている人もいるのだと知ることも大きな学びです。


周囲の大人がいつもお膳立てしてくれる、自分に最適化された環境から一歩外に出ることで、多様な人がいる社会の中で相対的な立ち位置を自分で見つけることにつながります。


実際に社会に参加しなければ、社会の中でどう振る舞えばいいのか、知ることはできません。


だからこそ、どんなに障がいがあっても、小さいお子さんであっても、ステージが大きくても、そこに向かう勇気を最大限に引き出せるようお話しさせて頂いています。

(もちろん発達の具合とタイミングを見ながらですが)


車椅子の主催者の男性と記念撮影している子どもたち
▲ゴールドコンサート主催・代表理事の貝谷嘉洋さんと一緒に


これからも、学習・練習・療育・訓練などを通じて、それぞれが輝く新たなステージへと導きたいと思います。


FUKUON 福田音楽教室 福田りえ


※この記事は2017年5月8日に公開し、2020年6月16日に加筆・編集してリライトしたものです。あくまで公開当時における内容となっていますので、今現在の状況を反映しているわけではありません。