こんにちは!
FUKUON 福田音楽教室 ピアノ講師・音楽療法士の福田りえです。
7月4〜8日の5日間、私も資格を持つ日本音楽療法学会の学術大会に参加してきました。この学術大会は毎年開催されているんですが、なんと今回は世界大会だったんです。
次に日本で世界大会が開催されるとき、私は果たしてこの世にいるのかどうかわかりませんが、とても貴重なこの大会を、私が感じたことを中心にレポートしたいと思います。
世界音楽療法大会で感じた日本人という民族
今回の世界大会(正式には世界音楽療法大会ですが)では、日本をはじめ47の国々で活動されている音楽療法士の方々が、茨城県つくば市にドーーーン!と集結しました。
47都道府県じゃないですよ、世界の47ヵ国から2800名(うち、日本からは2100名)です。期間は7月4〜8日の5日間。会場となったのは、「エポカル:つくば国際会議場」。
▲会場周辺
世界大会ということで、会場には海外の方々がたくさんつめかけ、例年の学術大会とはまったく違う雰囲気。日本でありながら、インターナショナルな光景が広がっています。
その中で数日を過ごすうちに、単一民族国家と多民族国家の違いについて気付かされました。
普段私たちは日本に住み、日本語で交流できることを当たり前だと思って暮らしていますが、これって単一民族ならではですよね。このような環境では音楽に対しても、何か共通したものを共有しあっています。
リズム感であったり、民族に伝わる思い出を基盤とした民謡だったり、ヒットソングの連なりだったり。もし高齢者の方に音楽を聞いていただくとき、どんな曲を流せばいいのかだいたい当たりがつきますよね。
しかし世界の中には、文化や考え方、歴史背景もまったく違う民族同士が、紛争や経済格差など難しい課題を抱えながら共生しているような国や地域もあります。もちろん音楽についても、お互い思い描くものがちがっているはず。
▲音楽療法に用いる様々な楽器
▼「サウンドシェイプ」
今回音楽療法とピアノ発表会での使用目的で購入しました。
音楽療法レモ サウンドシェイプ シェイプ5ヶセット/REMO
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▼「ペンタトニックのグロッケン」
ピアノの黒鍵とのセッションでも有効的です。
音楽療法 シェルズグロッケン ペンタトニック7音/アウリス (AURIS)
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異文化がひしめき合う多民族国家・地域の中で、音楽療法をされている方もいらっしゃるという事実に、あらためて驚きを禁じえませんし、その中でクライアント(対象者)さんの文化と音楽を尊重しつつ、その人に合った音を提供する難しさは如何ばかりでしょうか?
コンゴ、クウェート、ザンビアあるいはトリニダード・トバゴでの音楽療法といわれても、想像することが難しいですし、違う文化で育った方にどのような音楽療法を施せばいいのか、日本にいると見当もつきません。
世界の人々が集まるインターナショナルな場でありながら、大きな差異を感じずにはいられない世界大会でした。
言葉や文化の違いが及ぼす影響
海外で活躍されている音楽療法士の方からの研究発表もたくさん聴講できましたが、当然ながらほとんど英語、That's English!!。しかし私は聞くことも話すこともできません。
大きなホールでは通訳も付きましたが、そうでない場合では翻訳アプリも使って、話されている言葉を理解しようと、頭を必死ににフル回転させました。
3年に一度の世界大会。次は南アフリカ、その先はオーストラリア。絶対に英語必須な感じですが、せめてオリンピックまでには、日常会話くらいが出来るようになっておきたいものです。
▲英語が飛び交う会場内
言葉については、ある音楽療法士の方からこんな話しをお聞きすることができました。
13歳になるまで英語圏で育った男の子が、親の仕事の都合で、多民族が共生して暮らす非英語圏の地域へ引っ越した後、しばらくして失語症になってしまったそうです。
それまでは心身ともに健康そのものだったにも関わらずですから、相当なショックとストレスがあったことは想像に難くないでしょう。
人間とは本当に絶妙なバランスの上で心身を保ってるのですが、言語や文化、民族など大きく環境が変わってしまうと、場合によっては心も体も壊れてしまう弱い存在なんですね。色々と考えさせられました。
その少年ですが、まだ言葉は戻らないものの、音楽療法を受けることで、音楽を通じたコミュニケーションに取り組んでいるそうです。
主なプログラムと共感した個人セッション
各国から集まった音楽療法士の方々が、これまで研鑽されてきたことを事例研究として、いろんな形で発表されていました。主なプログラムは次の通りです。
- スポットライト・セッション
- 音楽療法と高齢者のウェルビーイング
- 音楽療法とトラウマセッション
- 音楽療法研究「エビデンスとストーリー」
- 音楽療法における音楽と文化的文脈
- 口演発表
- ワークショップ
- ラウンドテーブル
- ジンポジウム
- ポスター発表
- 市民講座
- パフォーマンス
- 文化プログラム
- 学生イベント
- 文化体験
- イブニングトリップ
それぞれの内容については膨大で、なかなか細かくはお伝えできませんが、自分のやっている手法の確認であったり、ヒントが得られたりと多くの収穫がありました。
中でも海外の音楽療法士の発表で、ピアノと歌による発音・発語を促す個人セッションのビデオ映像などは、自分がおこなっている感じに近く、とても共感できました。
▲大きなホールでの発表の様子
5日間を通して得られたもの
日本の音楽療法士の方との出会いと再会はもちろんのこと、アメリカや、スコットランド、シンガポール、中国から来られた音楽療法士の方と知り合うことができました。
シンガポールは中華系とマレー系、インド系、その他からなる多民族・多文化国家ですが、中国も多くの少数民族が暮らし、地理的な文化の差が大きな国ですよね。
このような方々とプログラムの合間にディスカッションしたり、私が今現在取り組んでいる児童領域の音楽療法について話し合う機会も多く持つことができたのは、とても有意義でした。
帰ってきてからもFacebookで交流したりできるのも、この時代ならではの嬉しいお土産。
▲物販コーナーも充実
音楽療法というと、音楽で治癒したり癒されたりして、とても魅力的なことのように感じる方も少なくありません。よくある誤解は、素敵な音楽を聞いて「あ~癒されるわ~」という、ヒーリングのイメージです。
しかし実際にはそのイメージとは大きく異なり、結果を得るまで地道で時間がかかったり、先ほど書いたような文化的な違いを考慮したりと、音楽を取り扱う側の性質や性格が問われるものでもあります。
海外の音楽療法士の方々と写真撮影する機会がたくさんありましたが、その輪の中にすっぽりと入っていると、不思議な一体感を得ることがありました。
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クライアント(対象者)を思い、音楽を使ってより良い心身や生活に導く人たち。その性質や性格が色々であっても、共通した何かを感じとても心地よかったです。
不思議なひと時、そして世界の視点を通して深く学べた5日間でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
みんなの福をスイッチ(〃^∇^)オ~ン*:゜・.。..彡☆
FUKUON ピアノ講師☆福田りえ
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