この度、JD3年長女に仕事を紹介されました。

彼女は、ネットのあるサイトの翻訳をしているのですが、
一応勉強が生活の中心(なはず)ですので、
ときどき時間が厳しくなってくるという話を聞きつけ、

えー?
それならあたしにちょっとやらせて?

と自分から売り込んだのでした。


仕事の内容は私の専門外ですが、
翻訳と聞くと、ちょっと目が輝きます。

というのは、私は日本語教師になる前から、実は翻訳家になりたくて、
学生の頃からいろいろ、翻訳の練習をしていたのです。

さすがに「指輪物語」(ロードオブザリング)は挫折しましたが、
くまのプーさんシリーズや、ナルニア国物語、
ホビット、楽しい川辺、メリーポピンズ・・
など、勝手に翻訳をし続けていました。
今もボケ防止に、たまにコンクールにも応募しては、落ちています。

長女が数ヶ月前から、いくらなんでも寝なさい、
などと私が言うと(=一緒に超絶夜更かしをしている)

「無理、今から上司と会議だから」

などと、スカイプ画面をつけたりするので、
生意気だなぁと思っていました。

けれど、私の売り込みに対して、

え、やるの?
いいよ、会社に言っとく。

と言われて、会社からメールなどが来ると、話が違います。

そうですか。先輩、よろしくお願いします。

ということになって、私も仕事を始めました。

以来、家庭内で、

先輩、この原文、日本語として直訳は変なんですが、
意訳しても構いませんでしょうか。

あ、いいよ。

先輩、この部分、日本人が読むと違和感があるのですが、
ちょっと付け加えたりしてもいいでしょうか。

あ、いいよ。
合わないところは削ってもいいから。

かしこまりました。

などというやりとりが始めました。


難しい顔で悩みながらやっているのは私の方で、
娘は軽やかに、ズバズバ原文に刃をいれつつ、進めているようです。

なぜ私が悩むかと言うと、日本語教師であり、
元、翻訳家を夢見ていたからかもしれません。

レッスンで、

先生、この「は」と「が」の違いはなんですか。

「どれどれ・・
彼が泣き出しました、と、彼は泣き出しました、ね。
いい質問だね。
これは意味が違います。
この前の文を読んで文脈を探りましょう」

などと言うことを言っている毎日です。

一語たりとも、あいまいなことは許されません。

と、心の底から思っているわけです。

(落っこちた)翻訳コンクールの評価では、

「この、piggieは、ブタ君、ぶーちゃん、ピギー君、
といろいろあるでしょうが、
ピギーと聞いても豚に結び付けられない日本人読者に対して、
ピギー君は、さすがにないでしょう」

みたいに細かく言われるのに慣れています。

翻訳をしていて、

そんなこと、日本語で言わないよなぁ・・
そんなこと書いたら、日本人笑うなぁ・・・

と思っても、そこを折り合いつけなくてはいけない、
というのに昔から慣れていますので、
原文で訳さない部分がある、などには、非常に抵抗があります。

これまで仕事になった翻訳は、
バグ・パイプの教本とか、ニット製品の取説とか、
ニュアンスを伝える必要や、
時代や国による言葉の揺れなどがないものでしたので、
全然悩まずにやってこられました。

けれども今やっているのは、人のエッセイの翻訳であり、
別に日本人に向けて書いたものではないので、
いろいろと引っかかるところが多いのです。

そこで、

ねえねえ先輩、今度先輩がスカイプでボスと会議するとき、
私もちょっと参加してもいいかしら。

と言ってみましたら、

無理、一応相手はCEO。

ということでした。

CEOって、Chou・Erai・Ojisan?
でしたっけ?
わかりませんが、社長ぐらいに偉い人だと思います。
その人が時間を作って、時差を乗り越えて、
たった一人の日本支部員とスカイプ会議をするらしいので、
私がもやもやして悩んでいるようなマイナーな事項について、
私が出てくるのは、ありえないことのようでした。

しかし、私が悶々として、ぐちぐち言いますので、
業を煮やした長女がある日言いました。

おかん、そんなに気になるなら、
ボスに直接メールして言ってください。


そこで、ある日おそるおそる、

「原文の中に日本の国情にそぐわないところが少しあるのですが、
噛み砕いたり、変えたりしたらだめですか?」

と聞いたところ、

「いいですよー」

とのことでした。

いいんだ。
悩んで損しました。

「直訳と意訳を、また英語にして送る必要ないですか?」

細かいことを言ってみたら、

「ご無用です。任せていますから」

という返事。

そうなんだ。
悩んで損・・ということになりました。

このあとが厳しかった、という話はまた後日に・・。





お弁当仲間に教えてもらった、
豚肉のトマト巻き焼きが素敵に美味しかったです。
アスパラガスとソーセージのボイル、
だし巻き卵、焼きパプリカ・さやえんどう
レタス・かいわれ・アボカド