50gの焼肉。

最後に食べたかったのが、私の焼肉だったなんて。
そこに深いメッセージを感じ取る。

病床で食欲がないからと頼まれた、たった50gの焼肉。
旅立つ1週間前のこと。

たった50gの焼肉。
祈りを込めて焼き上げた。

程なく病室に届けられた。

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食は命。
命が命をよばれる。
命が命を贈る。
そこにごまかしはきかない。
ごまかしようなどないのだ。

見上げる空に命が命を送る。
見下ろす地平線の片隅の命に命がメッセージを届ける。
生と死、そして命と命に境など存在しない。

それが物質であれ、精神であれ、手繰り寄せると一つの大いなる愛に結ばれる。

私は確かに受け取った。

感涙に咽びつつ。
ありがとうを重ね合わせながら。
届いた命を抱きしめる。

たった50gの中の無限の命。
永遠の命に捧げた。

これからも、いつか手繰り寄せられる無数の命へと誓う。