ここのところ憂鬱で落ち込みがちだった。

お客様の声なき苦情。

スタッフの悲痛な思い。

カミさんの苦渋。

これから先の店のこと。

また、はじめて老後のことなどを考えさせられた。

時は待ってはくれない。

季節が巡り行くように、やがて落ち葉が舞い散る頃に、今のように杖もなく、期待と家族やスタッフという重荷を背負い、肩にかけた汗臭いタオル一枚で人生という山道を登り続けることが果たしてできるものだろうか?

あるいは、降りて行くのは上りより数倍もの負担がかかる。

もっと自己の甘えを排したい。

そう、頂上に近づくほどに体は鈍くなる。

そしてその山の上から周りを眺めてみれば、さらに高い山々がひび割れた空を背景にして彼方此方にそびえ立っていることだろう。

それでも息急き切って次の段階にチャレンジする理由は、自分だけではなく、亡くなった人たちも含めた、先代やこれまでの多くの協力者や賛同者たちの思いをここで潰えさせるわけにはいかないからだ。

それは孤高の仕事。

常に孤独であることが義務付けられている。

辛く苦しくとも、自分で自分を何度も叱咤激励して奮起し、胸張り進まなければ。

悲しいことも、涙流したこともある。

それでもなんとか乗り越えてきた。

時にはもう駄目になるかもと思いながら、その度にお客様や周囲に励まされては立ち上ってきた。

それが人の道なのだろう。

プロと呼ばれるための試練に違いない。

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だからまだまだ、まだまだ、常に挑戦者として、ぶれずに初心を忘れず、また謙虚に人の意見を噛み締め、歩みを止めずに立ち向かわなければ、予期せぬ横風や逆風に脆くも滅び去ってしまう存在に堕する。

いつか真の人になりたい。

そんな大きな夢を密かに己心に抱きつつ。