新しくバイオリンを始める方に、
バイオリンを習うにあたって
その心得を最初に聞かれる事があります。

特に思いつく事も無いので、
少しの時間でも練習して頑張って下さいとしか言えないのですが、
同業者と話していると
音楽大学出身など我々プロが子供の頃はこうしていた
というのはほぼ一致するにも関わらず
「最近の生徒さんって、色々だよね、」
という話が時折持ち上がるので、少しそのお話を。


練習する事以外について。

お稽古事とは師弟関係を築く事、
と考えるのがまず第一。
教えを乞う、それに対して謝礼をお渡しする、という形。
お手軽な音楽教室が増え、先生と弟子という関係ではなく
業者とお客さんのような発想に変わっているのでしょうか?
お金払ってるんだからサービスを受けて当たり前、
という考え方をお持ちの方は、お稽古事には不向きかと。

特に音楽教室ではレッスン代と言われる事が多いお月謝について。
教室などでは事務の方に支払う"代金"とお思いかもしれませんが
わかり易く個人レッスンで考えると、先生に直接お渡しする謝礼です。
我々の常識では、新札でキッチリ揃えて持って行く。
半端な金額で無いのに小銭が入っていたり、ボロボロの古いお札、
目の前で財布から出す、お釣りが必要など、
自分が生徒だった頃には考えられない事。
スーパーのお買い物で合計金額が想像出来ないのと、
レッスンに行く事がわかっていて予め金額もわかっているのでは
事情が違うという事がおわかりになるでしょうか。
お稽古事をするにあたって日本の伝統かもしれません。

ちなみに私は新札があまり好きじゃないので
旧札でも生徒さんやその親御さんには指導しませんし、
「新札ご用意頂かなくて良いんですよ?」と伝えています。
他に、小銭、きっちり無いから2回分、財布から直、お釣りが必要、
忘れましたなど、色々ありますね、、、
親御さんがお稽古事をされていなかったのか、
そのまた親御さんがそう教育しなかったのかな~と
心の中でひっそり思っています。
私が通っていた小学校〜高校では、
学校へ何かしら支払うお金も必ず新札の用意でしたし、
それがそこでの常識でもありました。イミフ。

お中元・お歳暮をちゃんとするご家庭も少ないようですね。
これは時代でしょうか。
「何人いる?うち1人だけ」「うちはみんな手ぶら~」
なんていう話に時々なります。
参考までに、我々が生徒だった頃は、
季節のご挨拶は、品物の配送でなければ、
7月の一回目のレッスンでお中元、
12月の一回目のレッスンでお歳暮を、
一ヶ月分のお月謝程度、
台(品物)と封筒(現金や商品券入り)や、相当の品物
というのが一般的でした。
私が子供の頃とはご時世が違うので、どうなんでしょうね。
こんな文化無くなれば良いのに、とも思います。
受け取る立場としては、そこそこ恐縮します。
バレンタインに手作りチョコを持ってきてくれた子、
そういうのはとても嬉しい〜
いやぁその時間練習して欲しいけど〜

服装について。
これはお稽古事以前に、社会人のマナーでしょうか。
よそのお宅に伺う時と同じです。
子供の生徒さんには是非親御さんがご指導されるべきかと。

冬。
コートを着ていますね。
レッスン室に入ってきてからコートを脱ぎ
終わったらそこでコートを着て出て行く、
はい、不正解。
コートを着てから退室するのは
「寒いからここで着て行って下さいね」
などと一声があった時には正解になります。
子供の生徒さんの可愛いコートは見るのも楽しみですし♪

教室にしても、自宅レッスンにしても、
レッスン室以外の空間はある筈ではないでしょうか?
玄関先で脱ぐのがマナー!とまでは言いませんが、
せめてレッスン室に入る際には
コートを脱いで、外側を内側にして畳んで持って入る、
レッスン終了後は荷物をまとめて持って、
退室してから帰宅の身支度を整える、
このくらいなら出来ますよね?
友人宅に行ったって、中で脱いだりしないでしょう?

私は花粉症があるので、、、
花粉のついたコートは脱いで外側を内側にして畳んで、
なんなら玄関先に置いておいて欲しいくらいです。
そんな事言えないので空気清浄機かけてますけど。


夏。
暑いですよね、サンダルだし、靴下なんて履いてないとか。
靴を脱がない環境であれば気にする事ではありませんが、
自宅レッスンなど、よそのお宅に上がるのであれば、
裸足ではなく、靴下は履くべきです。

これについて稀に、
家に上がる時に靴下を履かれると
「うちの床で足が汚れると思ってるんだわ!」
なんて卑屈なお考えをお持ちの方もいらっしゃるので、
お相手がどんな方か若干の注意は必要かもしれません。

基本的には、サンダルだったりして裸足だと、
お玄関で靴を脱いで上がる時に靴下は履きます。
裸足でスリッパも不衛生な感じがしますし。
ちなみに私は、自分自身が夏場は自宅で裸足なので、
ここは我が家だからよその人は靴下履いて!なんて言いません。
ペデキュア塗ってる子がいたりして、密かに楽しんでます。
自分がよそのお宅に伺う時は当然靴下持参しています。

私はこちら側からマナー的な事は言わない方針です。
※楽器に触ろうとしたらもの凄い勢いで注意します。
気遣いを受ける側が強要するものではありませんよね。
ただもし他の先生に紹介する事があれば、
私が恥ずかしいので全力で指導します。


そんな自分がちゃんと出来ているかというと、
10年前までお稽古に行っていたお茶の先生には
お稽古に行かなくなってからお中元・お歳暮も怠り、
行き届いたご指導をされる尊敬する師匠と
疎遠になってしまっている事を少し悲しく思っています。
そんな事もあり、今回この解説を書いてみました。


最後に。
音楽教室はルールや感覚が違うので、
ご挨拶などでも手ぶらが正解かと思いますが、
自宅レッスンなどで師弟関係になるのであれば、
初回のご挨拶の際に羊羹の一本でも持って行きましょうね~
よそのお家に伺う時で手ぶらで行くとか
普段でも、そんな事あります??一度も無いわ。
これが、バイオリンを習うような人の常識感です。


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