枝から落ちた林檎の実は何故、地面に落下したのだろう。

それはリンゴの実に、力が加わっていなかったから。

もし、その実を天高く投げ上げようと。

高く 高く 押し上げたら林檎の実は、地面に落下しなかったのかもしれない。

いやそうでなく、ダルビッシュ君のようなピッチャーが思い切りその実を遠くに放り投げたなら。

林檎の実は永遠に空を飛び続けたかもしれない・・・、いや。

彼はいつか落下した。

LET IT BE.

あるがままに 林檎は 地面に落下する。



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ところで地球と林檎の実の間に働く引力の関係は。

ボクらの間にも存在し、働いている。

例えばそれは、ボクが綺麗なおねえさんに引き寄せられることや。

サルに似たNか村君がバナナに引き寄せられることとよく似てる。

そう。ボクらもまた、引力によって互いを引き寄せ合っている。

なぜ引力が働くのか。

ボクらはそれを知っている。

LET IT BE.

あるがままに 林檎は 地面に落下する。

 


引力が働く理由、それは。

互いが孤独だからだ。

孤独で、誰とも話が出来なくて。

絶望の淵に身体ごと投げ出されそうになった夜。

枕元に、マリア様が現れてこう言った。

LET IT BE.

あるがままに 互いを引き寄せ合いなさい。

それは宇宙が生んだ偉大な力、引力によるものなのだから。

その身を「力」に任せなさい。

 

 

ジョンが凶弾に倒れた。

ニュースはその日。世界を駆け回った。

ジョン、あなたは。

いったい何に引き寄せられたのでしょう。

あなたを失ったことによる損失は、ボクらの明日に大きな債務を残した。

それを返済するためボクらは。

今後、人生における多くの時間を費やさなければならない。

新宿のラーメン屋さんの厨房に吊り下げられたラジオから貴方の訃報を聞いた時ボクは。

何もできず。

ただ、何かに引き寄せられるように、バイトの衣装を脱いで、店を飛び出した。

あの日浮遊したボクの魂は。

居心地の悪いまま今日もボクの体の中に、取り残されたままでいる。