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チューリップス・シスター第15話

2016-09-13 08:04:53 | 小説チューリップス-シスター


チューリップス・シスター第15話 真理の罪悪感

大学病院の精神科に入院している美咲は真理の夢の絵や自然の風景や花の絵を描きながら、予兆の能力と感情、怒り、憎悪、復讐で自然の天候を操り、聖域外の大学病院を中心に周辺地域で暴風雨、竜巻、雷、地震、停電を起こしていた。
そして、大学病院内で罪なき苦しみの中で2人の犠牲者を出してしまう。
真理の予兆の能力と感情は、憂い、歓喜、慈悲であったが、この時の真理は神イエスと聖霊や天使による導きに従う事はなく、心の迷いにより慈悲の能力だけを美咲の復讐という能力に重ね合わせる事しか出来ない状況であった。
救命病棟にいた手術後に酸素吸入をしている患者は窒息死で命を奪われ、人工呼吸器を使用していた患者は人工呼吸器のスイッチが入らず窒息死で命を奪われた事で、
美咲の予兆の能力に全ての感情を重ね合わせる事が出来ず、真理は心に初めての罪悪感という傷を負ってしまった。
真理よりも美咲の予兆の能力の開化の段階は進んでいたが、初めての罪悪感という心の傷は、神イエスと聖霊や天使による導き方が変わり、真理の予兆の能力の開化の段階を進めていく。

大学へ進み医学部を専攻し精神医療を学ぶ真理は、講義を受ける前から、講義の内容を知ってしまう。
試験問題も先に知ってしまい、レポートの提出も書く内容が、すでにまとまっていた。
この頃には、神イエスと聖霊や天使による導き方も変わりながら、真理の持つ予兆の能力は動きはじめていくが導きは棘(とげ)のある茨(いばら)の道を歩かせ苦難と試練であった。
真理の心の中での迷いと心の弱さから心に強さを持てるよう、美咲と同じように覚悟を持たせる為、あえて苦難と試練を与える事になった。

真理が入学した大学は、美咲が入院している大学病院付属の大学である。
真理と美咲は聖域外の少し離れた場所にいるが、真理は、教会を中心とした半径5キロ圏内の聖域にある叔父夫婦の家から通っていた。
毎日のように真理は夢をみるようになり、その夢は神イエスと聖霊や天使、美咲が夢を見させながら予兆の能力の開化の段階を美咲と同様の段階へと導く事になる。

しかし、苦難と試練を与えられた真理は、自分の予兆の能力を気付いていたが何も知らないふりをするのだ。
何も見えない知らないという感情を持つ真理には、神イエスと聖霊や天使から苦しむ思いが強く与えられていく。
真理は、その強くなる苦痛感に耐えながら、大学へ通いながら人生を送る。
この苦痛感は、真理に罪悪感を与えると共に、美咲にはない心の強さを与えていく、真理は知らないふりをするが自然と苦難と試練を乗り越えていくようになる。
その強さを持てば持つほど、神イエスと聖霊や天使による導き方は、更に真理に罪悪感が強く感じるようにさせる。
神イエスと聖霊や天使による導き方とは、過去をさかのぼり自殺や殺人事件があった事、容疑者になった事を思い出させる。
真理の心の中にある更なる罪悪感を持たせる事で、直接的な真理自身ではなく真理の心の中にある予兆の能力へと侵入し美咲と同じ予兆の能力の開化の段階になるよう導いていく。
双子で進化する能力を持つ真理と美咲の繋がるバランスを保つ為、バランスが保てなければ、更に生命や運命に関わらず犠牲者が増えていく可能性があった。
また真理と美咲の3つの予兆の能力と3つ感情が重なり合う事が出来れば、現実の世界と次元の違う非現実の世界で人類を良き方向へ人類を導く事が出来る可能性もあった。

真理が持つ3つの感情と3つの能力は「平和」を意味し望んでいたが、美咲の持つ3つの感情と3つの能力は「破滅」を意味し望んでいた。

美咲が聖域外の大学病院での犠牲者をつくってしまった出来事は、全ての責任は美咲が負う事になるはずだった。
しかし、真理は現実の世界で生きている事で自分を隠しながら美咲からのメッセージは真理の持つ予兆の全ての能力には届かず、真理はどんなに努力しても慈悲の能力を美咲の復讐の能力に重ねる事しか出来なかった。
現実だけの世界で大学の医学部へ通う事で責任感という感情を持つ事で、真理は自分の責任だと思ってしまう。
美咲の心の中にある世界は現実の世界と次元の違う世界があった、大学病院の精神科の部屋の中、次元の違う世界の中で美咲は能力を使っていた為、責任感という感情は全くない。

現実の世界にはいない心の中にある神イエスと聖霊や天使は、真理と美咲の予兆の能力を試しながら様子を見ていた。

大学病院内での犠牲者には訳ありで事件を犯した前科を持った人物であり、刑務所で出会い出所後、犠牲になった2人は強盗殺人の事件捜査で容疑者でもあった。
たまに病院へ来ては美咲に会いに来る警察官達が捜査していた事は、美咲は心の中にある感情の悲しみと復讐という予兆の能力を使い、強盗殺人事件の容疑者である事を知っていた。
しかし、真理にも次元の違う世界が心の中にあったが現実の世界だけを信じていた為、真理は犠牲者の2人が強盗殺人の容疑者である事を知る事はなく責任感から罪悪感を抱いてしまった。

真理が神イエスと聖霊や天使によって導かれている事は、様々な能力を開化した神イエスが認めた神父の甥が伝道師として受け止めていた。
神父の甥は心や体全体には神イエスと聖霊や天使が完全に宿り、伝道師となり他に多くの能力を持つようになると、神父の心の神の言霊には木霊のように伝令し、コナン・グレードの霊と接触できる霊能力へ伝令し、伝道師として真理の全てを伝えていた。
真理の罪悪感は海の渦のうねりに吸い込まれるように、心の中で黒い陰(いん)を作り出し苦しみ迷いながら幼き頃からの陽(よう)の笑顔が消えていく。
この頃の真理の哀れみや楽しさや喜びでの感情は陰陽(影と日向)を創り出し、自分自身の大切な感情を心の中の奥底に閉じ込めてしまう。
 
美咲の状態は感情や能力を一時的に落ち着かせ、真理の予兆の能力が美咲に近づくのを待つ事になる。

美咲の状態は一時的に落ち着くと、罪悪感から不眠状態が続いていたが布団に入る真理は寝つきが良くなり同じ夢を見る様になった。
真理は現実の世界に存在している、しかし真理は育ての親の叔父夫婦ではなく、美咲と影だけの別人の姿を夢なのか幻想なのかオーロラのベールに包まれている感覚があり、それは美咲からのメッセージか、それとも神イエス、それとも、いったい誰が?

真理と美咲は、聖人として認められ20才になり成人式を迎える事になるが、双子姉妹の成人式に出席する事が出来なかった。
美咲は、入院をしている為、成人式に出席をする事はないが、叔父夫婦からの贈り物とメッセージカードや修道院の施設の職員や子供達から花束が病院へ届けられた。

真理の成長と共に美咲の事を記憶から薄れ忘れかけていた叔父夫婦は神父の言葉に従い、叔父夫婦の姿は真理と同様に罪の意識を持つようになり教会で許しを求めていた。

真理は叔父夫婦が仕立ててくれた和服を着て成人式へ向かったのだが、素直で正直で優しい風に乗り入院している美咲の声が聞こえた。
「真理、おめでとう」
本来であれば、2人で成人になった喜びと成人式を迎えるはずだった。
美咲の囁く声を聞いた真理は、式場にはいかずに教会へ向かう。
真理の持つ罪悪感から救われたいという気持ちが教会へ足を向けたのだ。
真理は和服姿で駆け込んだ教会には、初めて教会に入ると以前の神父はいなかったが、教会の中ではローソクの灯火で輝いていた。
神父のいない教会で和服姿で膝をつき、神イエスキリストや聖母マリヤに罪の許しをもらいたくて、溢れる涙を抑えながら祈りを捧げ続ける。
真理は、美咲があのような状態におかれているのは自分のせいだと思っていたが、罪悪感を全く感じる事はなかった。
双子の姉妹の間には、心の奥深くにある信じられない能力で繋がっていたからかもしれない。

美咲は、真理に対して、憎しむ感情は持たず、苦難と試練の苦しみに耐え続ける姿に尊敬の気持ちを持っていた。
真理は、その苦しみに耐える事で、美咲にはない能力を与えられる事になるが、その能力は暖かく揺り篭の中で揺れている。
真理は、罪悪感ではなく苦難と試練で苦しみながら心の中で叫んでいた。
「これまでの生活が壊れていくのは、人として精神科医として、どうしてもできない」
3才の真理は、美咲から離れた事で導かれる運命が別れてしまった。
真理があの時、美咲から離れなければ同じ運命を辿ったはず。
美咲は、自分を正直に生きている姿を見せているが、真理にも同じものが見えているのに、見えないふりをして美咲のようになりたくなかった。
「真理も見えるでしょ」と、美咲に良く言われている。
真理は、不信な思いを人に気づかれたくなくて、何も見えないふりをしていた。
真理は自分のせいで、美咲に苦しい思いをさせてしまっているのだと思ってしまう。
真理は、両手を握りしめ胸に手を当て祈りを捧げると教会の中にチューリップがたくさん咲き誇り始め、そして何かに暖かく包まれるような感覚に陥った。
その感覚に陥った時、真理に見えるものは母のお腹の中にいた頃から現在までの人生が映し出された。
真理は、時間が止まったような、時間が流れるような感覚であった。
離れていた美咲の生活の状況や父の直継の姿、母の高子の姿が鮮明に映像化され脳裏に流れていく。
その映し出されるものによって、一時ではあるが、苦しみから解放された。
真理は、多くの苦しみを感じ耐える事で教会にいる間は、苦しみから解放されたのだと思った。
そして、新たな時間がまわりはじめる。
暖かく包み込まれた真理に、ある出会いがあった。
真理の後ろの教会の観音扉が静かに開いていく事に、暖かい輝く光りが拡がってきた。
その光りと共に、後ろからゆっくりと足音が近づいてきたのである。
「カツンッ、カツンッ、カツンッ、・・・」
ここで真理の夢の中の幻想の世界が終わり、目が覚めると真理の心の中の苦しみの罪悪感は消え、棘(とげ)のある茨(いばら)道も消えた。
「どうして眠れるの、いつも同じ夢ばかり」と、真理は思った。
「真理さん、いつの日か、会いましょう」という言霊が真理の脳裏を通り過ぎた。

夢を見続け罪悪感を真理から解き放ったのは、神イエス、聖霊、天使、女神、美咲、神父、フリーランスの精神科医ではなく、真理が今後に出会う多くの能力を持った相手だった。

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