名産タケノコ、今年は「凶作」 京都・乙訓、大雪など響く

2017-04-30 16:05:15 | 木 plants
 京都府乙訓地域の名産タケノコの収穫が本格化している。昨年の豊作から一転、不作となっている。昨夏の小雨や今冬の大雪など天候不順の影響とみられ、出始めが遅かったうえに、収穫量も少なく、農家らは頭を抱えている。

■収穫量は半分以下や3分の1

 「これから迎えるピークで出てきてくれるか…。土の中のことは何ともわからん」。向日市寺戸町の農家長谷川秀和さん(63)は4月中旬、朝掘りをしながら表情を曇らせた。

 今年は地表の様子から判断し、収穫の開始を10日程度遅らせた。大豊作で手が足りず掘りきれない状態だった昨年と比べ、収穫量は3分の1程度という。「体は楽やけどな」と苦笑いしていた。

 タケノコ農家でつくる物集女出荷組合(向日市)の春田正之組合長は「不作を通り越して凶作。こんなに採れないのは初めて」と嘆く。収穫前から竹やぶのササが例年と違って枯れたように黄色く、収穫量は昨年の半分以下との組合員が多いという。

 量が少ない分、市場では高値がついているものの、「全国の得意先に直販している分もあり、今年だけ大幅値上げするわけにもいかず、収入減になる」と肩を落とす。

 不作は缶詰業者も直撃している。長岡京市神足の小川食品工業は、地元農家からタケノコを買い取っているが、今年は昨年に比べ6分の1の量という。「シーズン前に生産計画を立てているが、出始めが遅く、どの商品も受注分を作れていない」。ゴールデンウイークが収穫のピークと見込むが、「連休でパートやアルバイトが確保できず、付加価値の高い商品が作れない。今年は赤字になる」。

 向日市竹産業振興協議会が同市物集女町の竹林で始めたタケノコ掘りイベントでは4月上旬の初回、30分程度で掘り尽くすと見越して、途中参加者のために持ち帰り用のタケノコを調達した。

 同市上植野町の木村佳代子さん(36)は昨年も参加し、大物を次々と収穫できたが、今回は数本。「豊作と不作の差を実感できた。それもまた自然と楽しめた」と話した。4月中旬から生育が好転してきたといい、同会は「楽観できる状況になってきた」とする。

 府乙訓農業改良普及センター(京都市右京区)によると、タケノコの生育には前年の夏場の降雨が重要。昨年7月の長岡京市の降水量は平年の37%、8月も中旬までは27%と少なく、雨不足の影響を指摘する。加えて、今年1月の大雪で「雪解けの冷たい水が地中に染みこみ、生育が悪かったのではないか」とみる。

【 2017年04月23日 11時49分 】



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