ギリギリとゼンマイ仕掛けの夜に啼く
群れを外れた狼が
わたしの代わりの遠吠えが
あなたの名前を呼んでるようで
満月の夜なのに
あなたのいない夜だから
わたしのこころは
三日月ほどに満ち足りなくて
ギリギリとゼンマイ仕掛けの夜に啼く
さっきと別の狼が
あなたの代わりの遠吠えが
わたしの名前を呼んでるようで
どこかで、ゼンマイ仕掛けの小さな音が
ギリギリといつまでも時を刻んでいて
夜空を包み込むような満月の光の中で
時折、互いに確認し合う狼の声を聴く
あなたの名前を呼んでるように
あなたに名前を呼ばれるように