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 また、このブログでは専門の天気図を多用し、あえて回りくどいコメントをしていますが、難しいと思われた方は飛ばし読みして、理解できる図だけをお読みください(これがブログの良いところ)。
 それでも、普通の天気マークの天気予報だけをチェックするより、ずっと多くの情報が得られる・・・はず??










 1、「里雪型」の冬型と「山雪型」の冬型・・・雪の降り方覚書

 今日は目先の天気をチェックする前に、先週末から今週前半にかけて続いた寒波に伴う雪の降り方を簡単にまとめておくことにしました。

 ところで気象の教科書を読むと、同じ冬型の気圧配置にも「里雪型」と「山雪型」の気圧配置があって、「里雪型」の気圧配置では日本海沿岸の平野部中心の雪、「山雪型」の気圧配置では脊梁山脈周辺中心の雪になるなんて書かれています。

 この区別・・・なかなか理解しにくく、ご質問をいただくことがあるので・・・
 イメージしやすいよう動画を作ってみました。



 これは西~東日本でも寒波の影響が始まった14日(土)0時から、寒波が抜けた16日(月)23時までの中部地方のレーダー映像。

 気圧配置の変化に伴い、日本海の雪雲が流れ込んでくる方向が西方向(里雪型)、北西方向(山雪型)と周期的に変化することが分かります。
 そして、雪雲が流れ込む方向が北西方向(山雪型)になると、中部山岳地帯奥深くまで雪雲が流れ込んでくることに気付かれたと思います。

 また、関ケ原を通って、東海方面に流れ出す雪雲の量も、気圧配置とともに変化。

冬型のパターン模式図170119

 天気図のカタチを里雪型、山雪型に区別してパターン化するとこんな感じになります。

 少しは疑問が解消したでしょうか???

 天気予報番組では「西高東低 冬型の気圧配置が強まって、強い寒気が南下してくるので・・・」というお題目のような解説が多いですけど・・・
 雪の降り方がこれだけ違うわけですから、そろそろもう一歩踏み込んだ解説が必要だと思いませんか?

 はじめて天気図上に上空の寒気が掲載されるようになった時には「ちょっと難しすぎるんじゃないの?」という意見もありましたが、今では当たり前になっています。

 解説者はコンピューターのシミュレーションをカッコよく見せたり、気象情報をデフォルメすることだけに執心するのではなく、勉強している(本当に気象情報を必要としている)視聴者に応えられるよう、解説の内容に頭を絞るべき時期になっていると思います。


 2、今日から序章・・・寒波の全体像

 では、今日から南岸低気圧として序章が始まり、月曜日頃から強い冬型の気圧配置として本編が始まる今回の寒波。

 今日も寒波の全体像を、北半球上空の寒気と気圧配置でチェックしておきましょう。
北半球上空の寒気アニメ170119
(スマホ版のブログではアニメが動きません。PC版に設定してご覧ください)

 今季最強の寒波が抜けた一昨日~昨日・・・日本上空から大雪をもたらす-36℃以下の寒気も抜けましたけど・・・
 早くも昨夜から-36℃以下の寒気(中心に小さな-42℃以下寒気塊も)が北日本に流れ込み始めています(序章)。

 そして大陸では次の寒波が成長中
 一昨日は-36℃以下の寒気エリアの拡大が見られましたが、昨日は-42℃以下の寒気のエリアも拡大し始めたようです。


 3、寒波の序章は南岸低気圧・・・今日~明日の空模様

 では、寒波の序章・・・天気予報番組でも騒がれている南岸低気圧の影響を中心に、今日~明日の空模様をチェックしていきたいと思います。

 (1)予報のスタートライン・・・今朝の実況

 Kasayanの住む長野市・・・

菅平170119

 南の空には青空が見えるものの、新潟県方面から低い雪雲が断続的に流れ込み(写真 左から右方向)、長野駅付近でも小さな雪粒が舞っています。

 最低気温は-2.3℃(07時48分)。
 平年より2℃ほど高めと言ったところです。

 そんな今朝の実況ですが・・・

実況170119

 津軽海峡付近前線を伴った低気圧が東進中
 北日本は冬型の気圧配置になり始めていて、北陸以北の日本海側には雪・雨雲が観測されています。

 また、南西諸島から紀伊半島沖には、停滞前線と南岸低気圧2つが北東進中
 北側の雲が西日本沿岸にかかり・・・推計気象分布(リンク)を見ると、四国山地や紀伊山地など標高の高い所でになっているようです。

 衛星の水蒸気画像を見ると、悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持った上空の気圧の谷(赤の点線:偏西風の南側への蛇行域)が北海道を通過中
 また太平洋岸では、南岸低気圧を押し流す偏西風の強風帯(水色の矢印)に沿って、上空の浅い気圧の谷が接近中

 天気はまだまだ下り坂に向かう感じがしますけど・・・・?

 (2)今日これからの空模様・・・気象庁GSMモデルでポイントチェック!

 では今日これからの空模様・・・こちらも気象庁が普通の天気予報(短期予報・週間予報)の作成に用いているGSMモデル(スーパーコンピューターによるシミュレーション)を使って詳しくチェックしておきましょう。

GSM19日170119
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・北海道を通過中-40℃以下の寒気を伴う上空の気圧の谷、そして東北を通過中-30~35℃以下の寒気を伴う上空の気圧の谷が、今夜にかけて東海上へ
 代わって、好天パワー(地上の高気圧や晴天域を強めるチカラ)を持った上空の気圧の尾根(水色の点線:偏西風の北側への蛇行域)が、日本海を北東に進んで北日本に接近

 北日本は日中下り坂で推移するものの、夜にかけて回復に向かうと思われます。

 一方、西~東日本では・・・強弱変化はあれど、太平洋側に2本の偏西風強風帯が停滞
 夜にかけて上空の浅い気圧の谷が断続的に通過することが予想されています。

 このため地上では・・・下段の図・・・津軽海峡付近低気圧が東進
 北日本は一時的に西高東低 冬型の気圧配置になって、等圧線が混雑する秋田県以北の日本海側中心に降雪が予想されていますけど・・・上空の気圧の尾根が接近する夜には概ね回復することがわかります(実況でチェックした北陸の降雪も弱まる)。

 一方、偏西風強風帯が停滞する西~東日本では・・・
 夜にかけても偏西風強風帯が東西ストレートに流れる(ゾーナルなんて言います)ので、南岸低気圧や前線は真東に進むことに。
 上空の浅い気圧の谷の影響も弱いため、雨・雪雲も北側に発達することなく、そのまま東海上に抜けていくことが予想されています。

 幸いなことに、今日通過する南岸低気圧の影響・・・
 実況でチェックしたように、四国山地や紀伊山地に雪を降らせる程度で済みそうです。

 (3)気象庁MSMモデルで空模様を具体的にイメージ!

 ということで・・・解像度の高いMSMモデル(スーパーコンピューターによるシミュレーション)を使って、今日~明朝の空模様を、具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ170119
(スマホ版のブログではアニメが動きません。PC版に設定してご覧ください)

 紫色は下層雲。

 MSMモデルでも、南岸低気圧の降水域は海上主体
 ただ、低気圧東側下層に暖気が流れ込むため、伊豆諸島方面では大気の状態が不安定になって、局地的な激しい現象があるかもしれません。

 また、低気圧が通過する北日本も回復傾向ですけど・・・

 問題は明日朝から
 -40℃以下の寒気を伴う上空の気圧の谷の接近に伴い山陰沖に低気圧が発生
 さらに太平洋側で強まる偏西風強風帯に対応して、紀伊半島付近にも南岸低気圧の発生が予想されています。

 (4)明日の空模様・・・気象庁GSMモデルでポイントチェック!・・・西日本も要注意!!

 では、天気予報でも騒がれている明日の空模様・・・こちらもGSMモデルで詳しくチェックしておきましょう。

GSM20日170119
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 上段の図、下段の図ともに、今日の空模様と同様(上空の気圧の谷の位置は必要な所だけ)。
 念のため、15時の予想も加えておきました

 詳しくは図中の描き込みをお読みいただくとして・・・

 気象庁発表の短期予報解説資料(プロ用の資料)には、今日の空模様の解説より明日の空模様の解説ほうが沢山記載されています

短期予報解説資料170119

 内容が簡単だったので、明日の「予想根拠と解説上の留意点」を抜粋しておきましたが・・・

 「太平洋側の平地でも積雪のおそれがある」と記載されています。

 気象庁発表の明日の予報は、降水域が予想されている地域の沿岸ギリギリ(南岸低気圧東側:三重・愛知・静岡・神奈川・千葉・茨城)までは雨主体
 沿岸を少しでも離れると(東京以北)雪の予報

 キー局の天気予報では「関東の雪」が声高に伝えられていますけど・・・
 Kasayan的には、関東の降雪を心配するより、日本海の低気圧が通過した後、西日本に急速に南下してくる寒気のほうが心配です。
 今回は西から冬型の気圧配置が強まり始め、山陰だけでなく瀬戸内方面(広島あたり?)でも再びまとまった雪になるかも?

 四国山地の瀬戸内側も、驚くほど急速に積雪が増えるかもしれませんから、今夜以降の予報は必ずチェックしてくださいね。

13時45分追記
 やはり 西日本に「暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報」(リンク:「・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」というニュース原稿のもとネタ)が発表されました。
気象情報170119

     府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
     府県天気予報(マークの予報 天気分布をチェック: http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
       気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
      (マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
     府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/     
      (マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

 アメリカ気象機関(NOAA)GFSモデル: http://mag.ncep.noaa.gov/
 アメリカ海軍 HP GFSモデル: https://www.fnmoc.navy.mil/wxmap_cgi/index.html?tab=global#global
 ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF): http://www.ecmwf.int/en/forecasts/charts/catalogue

     専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
                 http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2

 KasayanのYouTubeチャンネル(タイムラプス映像集):https://www.youtube.com/user/kasayangw

拡大GSM20日170119 拡大GSM19日170119  
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

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