私自身が可愛がってもらい、
母の時にも、お世話になった方が亡くなった。
父から、知らせを受けた時は、
何と言うか、無心だったのに、
祖母の手を引いてお線香を上げに行ったら、
ボロボロと涙がこぼれた。
優しい人だった。
祖父の葬儀の時、
私を母と間違えて、母の名で呼んだ人だった。
複雑な思いながら、私は嬉しかった。
故人とは、犬と散歩している時によく出くわしたものだったが、
犬を可愛いがる私を、犬を、嬉しそうに楽しそうに見ている人だった。
散歩していた故人に話しかけるのも、
連れている犬を撫でるのも、
仕事から帰った私の楽しみだったのに、
その楽しみはもう、なくなってしまった。
仕方がない事なのだろうけど、
人を失うのは、悲しい。
悲しみの涙を流すと、
不謹慎ながら、疲れて眠くなる。
なんというか、書きにくいが、
祖母を連れて行くという口実で故人の自宅を訪ねてお線香をあげられたのは、
私にはありがたかった。
私は、今でもまだ、
他人様の家に一人で行く勇気がない。
どんな風に挨拶したらよいのか、
三つ指ついてご挨拶するのはどの雰囲気なのか、
どんな言葉をかけたらよいのか、
よくわからない、自信がない、怖い、
からだ。
でも、自分の母の、葬式や葬儀を思い出せば、
おのずとわかる事かもしれない。
ただ、悲しんで涙を流してくれる人がありがたかった。嬉しかった。
私は、あなたがこの世からいなくなって、
悲しい。
淋しい。
不謹慎だけど、この言葉を贈ります。
『いいヤツほど、早く死ぬ』
ご冥福を、お祈りいたします。