パナソニック中国TV生産撤退に思う。 | 日中ビジネスすごろく道中記

パナソニック中国TV生産撤退に思う。

<パナソニック>中国でのテレビ生産撤退 。これについてもいろいろな見方があるでしょうね。もともとは鄧小平さんに請われて進出した訳で、中国での日本の資本の呼び水。

よって井戸を掘った、という形容をされたりもする訳です(これも実はもう少し深い意味がある訳ですがそれはまた別の機会に)。それを忘れて反日デモではターゲットにされたりもしていますし、それが引き金だという見方もあるようですが、実際には企業ですから総合判定をしているはずで、それもリスクの一つでしょうが、もっとロジカルな問題ですよね。

結局のところ中国で製造するということについての限界ということもあるでしょうし、もう少し深く考えてみると
TVという製品の事業構造そのものの問題に行き着きます。勿論、厳しい価格競争にさらされているということも重要な点ですから、どこで作るのか、どの企業が作るのかというのもポイント。

為替や人件費も当然効いてきます。そういう意味で現在の状況に照らし合わせればやはり、付加価値がつかないものを製造する部分では、よほどのオートメーション化を進めるということでなければ中国では難しいと思います。

よって、撤退が正解。勿論、市場狙いは別の話ですし、パナソニックさんだって製造を止めても、諸々の商品を売っていくターゲットとしては見ている訳です。





同時に、単に安く作るということのためであれば、人件費を求めて点々とするのもいい加減にやめた方が良いとも思っています。日本人はそういう部分では優秀ですから、赴任された日本人の必死の努力などで、人材のレベルが高くないエリアでも教育をしながら品質を担保してしまう。

結果的にそれが新たなエリアの開拓にも向かわせてしまうのですが、それも限界がある訳で、どんな新興国であれ超長期で見れば人件費は平準化してきます。そうなってしまえば優位性は一時の話。

或いは、中国を例にとっても、仮にシャドーバンキング問題が爆発したら、為替も暴落するでしょうし、人件費も下がってくると思います。或いは、共産党がこけて、海外に富裕層が大挙して脱出したら、残されるのは貧しく海外に行けない層でして、これまた、為替も変動するでしょうし、賃金も大きく下がる可能性が高い。

要するに、過去と現在はわかっていても、これから先のことは不確定要因だということですね。あれだけ素晴らしい企業ですから、そういうことを総合的に考えた上で、ロジカルに撤退を決めておられると思う訳ですね。

中国での事業構造が転換期に来ているのは随分以前からの話。今起こってくる現象はそういうことに対応して相当前から手を打ってきた結果であり、自然な話だと思います。

同時に、今後の中国については、これまで以上にチャンスがある領域(市場等)と難しい領域(コストダウンセンター等々)、或いは業種なども明確になってきますので、柔軟にかつ大胆にかつ徹底的にロジカルに事業戦略を組み替えて行くことが大切だと思いますね。その際に例えば反日感情のマイナス面があるとすれば、それも感情的にではなく、合理的なマイナスファクターとして冷静にカウントする、そういうことですね。



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