まったり まぎぃ

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『力道妖精キム・ボクジュ』9話まで

2017-07-25 12:05:08 | 韓国ドラマのエトセトラ

                                  

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咄嗟にジュニョンが声をかけました。

「着いたら電話しろよ。」

留学前に自分の大学を案内する約束をしてたんだ・・・なんて、苦し紛れの言い訳。

でもね、ボクジュはもう嘘をつき続ける事は出来ませんでした。

この大学の学生で、重量挙げ部です。チェロ専攻も、留学も全部ウソでした・・・と。

「すみません、先生。」

それだけをやっとの事で言ったボクジュは、背を向けて歩きだしました。涙がこぼれました。ジェイの前で、よく我慢できたね、ボクジュやぁ。

 

ジェイは、決して怒ってはいませんでした。戸惑うばかりでした。

ジュニョンは、説明しました。

理由は?・・・と聞かれ、好きな人が出来たらしい・・・とだけ答えました。

 

ボクジュは今さらながら、恥ずかしい思いをしていました。

自分がついた嘘のせいで、こんな事になってしまって・・・。ジェイは自分を嘘つきだと思っただろうな・・・とね。

そうです。シホがあんな行動に出たのも、ボクジュの嘘があったからで。嘘さえなければ、シホもしなかったわけで・・・。

でも、シホはこれじゃ無くても、何かボクジュを痛い目に合わせようとしたでしょうけどね。

ボクジュは、この何ともやりきれない思いを忘れる為に、必死に練習しました。

でも、なかなかふっ切る事は出来ません。

 

ジュニョンに電話しました。自分が告白した後のジェイの気持ちが気になっていたのです。

ジュニョンは、無理やりテグォンに合コンに連れ出されていましたが、この電話を口実に、とっとと抜けだして来ました。

ジェイに説明したとジュニョン。ただ、好きな人が誰かまでは言って無い・・・と聞いて、ボクジュはほっとしました。

 

ジュニョンは、気分転換に、ボクジュをゲームセンターに誘い、その後お酒を飲みました。

ボクジュ、やっぱり気分が乱れてる所為か、まー悪酔いしまくり。

ジュニョンがねぇ、面倒見が良いんですよ、これが。なんだかんだと言いながらも、飲んだくれるボクジュを最後まで面倒みて、家まで送り届けてあげました。

 

シホに妹から連絡が入りました。

とうとう父親が家を出て地方に仕事で行ってしまったとか。

妹は、原因がシホなのに、何も手を打たないと怒っていました。そしてその後、、家を出てしまったのです。

妹が家を出たと母から連絡が入り、シホは夜の街を探しました。

見つけて連れ帰ろうとしたんですが、タクシーで逃げられてしまいました。・・・どうなったのかしらね。

シホは、もう何もかも嫌になっていました。

そんな時、声をかけて来たのが、水泳部でジュニョンと仲が悪いギソク。実はギソク、大学でシホを最初に見かけた時から、好きだったようですね。

近づきたいけど、シホに相手にされていない感じです。

だけど、この時は、ギソクでも良いから一緒にいてほしいと思ったのかもしれません。シホは一緒に遊ぶと言いました。

 

ジェイがアヨンを訪ねて大学に行きました。その時、偶然ボクジュと会いましてね。

アヨンは、ボクジュを食事に誘ったのです。

行きたくはないけど、断りきれなくて、渋々ついて行ったボクジュ。

そこにジュニョンも呼ばれてやって来ました。

ジュニョンは、そのメンバーを見て、すぐさまボクジュの心境を察しました。

 

アヨンはボクジュのことを、ジェイから聞いていました。

で、好きな人というのがジュニョンだと誤解してるんです。だから、二人をくっつけようとお膳立てしたつもりでいるんです。

遠慮なく、そして悪気なくボクジュにあれこれと質問するアヨン。

それをにこにこして見ているジェイ。

ボクジュはいたたまれない思いになりました。そして、それを見ているジュニョンも、心が痛みました。

どーにかその場をやり過ごし、ジェイとアヨンと別れた時、ボクジュはどんよりと落ち込んでしまっていました。

 

ジュニョンはそれを見て、何とかボクジュを励まそうと、ドライブに誘ったのです。

海に出かけた二人。

子供のように騒ぎ、ボクジュは気分が軽くなって行きました。

「あなたに何もかも知られた。」

と、ボクジュ。恥ずかしい事も、辛い事も、全てジュニョンは見ていましたからね。

ジュニョンは、初めてボクジュに自分の事を話しました。

小学生の頃、時々ボクジュの机にお菓子が置かれていたのは、自分がした事だった・・・とか。

そして、ジェイが従兄で、両親だと言っているのは、伯母と伯父だ・・・と。実母は再婚してカナダに行った・・・とね。

 

あまりにも思いがけない話に、ボクジュはジュニョンを憐れむような目で見ました。それをジュニョンは咎めました。

自分は幸せだったから・・・と。

「誰でも心の底には傷を抱えているもんだろ。その傷に向きあいながら生きて行けば、そのうち強くなれる。お前も大丈夫だ。」

うんうん・・・とボクジュは頷きました。

 

その日以来、ボクジュは練習にいっそう励み始めました。

そして、試合の日。

不安がるボクジュを、ジュニョンが励ましました。

 

そして、ボクジュの最後の試技になりました。

 

ボクジュは、自分にできる・・・と言い聞かせ、バーベルの前に立ちました。

その時、目に入って来たのは、なんと、ジェイの姿。花束を抱えたジェイが会場に入って来たのです。

一瞬躊躇したボクジュ。

でも、チェコーチの声に我に返り、バーベルを握ったのです。

そして、必死の力でそれを掲げました。

 

“重い鉄の塊を持ちあげるから、その瞬間血管が浮き上がって顔が真っ赤になるし、二重あごになってベルトから肉もはみ出す。好きな人には見せられない”

そう言っていたボクジュ。

だから、重量挙げの先輩も、恋人を試合会場に呼ぶ事はしないんだ・・・とボクジュはドライブに行った時、ジュニョンに説明しました。

それが頭を過ぎった事は確かです。

思わず自分の姿を隠すようなそぶりをしましたから。

でもね、次の瞬間、自分が積み上げて来た努力を、皆の期待を無にするようなことはしなかったのです。それは、ボクジュが初恋に別れを告げる意志表示でもあったでしょう。

 

その時会場に駆けこんで来たジュニョン。

一瞬、結果は?・・・とボクジュを見つめました。

壇上のボクジュはジェイを見ていました。その視線を追ったジュニョンは、ジェイを見つけたのです。

ボクジュが言っていた言葉を思い出しました。

きっと、ボクジュはジェイだけには見られたく無かっただろう・・・と。

 

壇上から下がる時、ボクジュは泣いていました。

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