プシュニク監督 最後のトレーニング!!(広報ブログ)

とうとうこの日が来てしまった。

マリヤンが指揮を執る最後のゲーム。

勝とう。

マリヤンのためにも。アビスパ自身の未来に続く栄光のためにも。



思えば最初は何も情報がない中で、いきなり信じたわけじゃない。

指揮官は、その言葉で、その態度で、その自らが信じるサッカー観と体現して見せた戦術で、そして、その熱い情熱でファンの心を惹きつけた。

前年、見るも無残な結果に終わり、元J1のプライドも、九州最強と自負していたわずかな自信も、粉々に砕け散ったチーム。
いわゆる負け癖が染みついたチームには、強烈なキャラクターのリーダーが必要だったんだと思う。
時には父親のように優しく、時には鬼軍曹の様に厳しく、ただ、いつもまっすぐに選手に訴えかける姿は、頼もしさとともに、いつしかチームの未来を信じても良いと、傷心しきったファンの心にすら、熱いものを焚きつけていった。

そして、選手はピッチで躍動した。

まるで一試合が90分とは考えていないかのように、試合開始から相手のボールを奪うために走り続け、奪ったらすぐさまゴールに向けて突進する様は一見無謀にも思えたが、ただひたすら勝利に向けて自分たちの戦術を全うすることは、それまで負けて負けてきたチームにとっては、元J1のクラブがまさかの18位に沈んだチームを蘇らせるためには、必要なことだった。

確かに試合終了間際には足をつる選手が続出したし、ひどい時には前半終了時点で2人を変えてしまう早め早めの交替策では、フィールドプレーヤーにGKをさせるというアクシデントも発生させたが、確実に指揮官の戦う姿勢は選手に植えつけられていったように思う。

吐くまで走る選手がいた。

相手を凌駕するために、自分たちの持てる力以上のものを出そうとしたとき、おそらくそれを阻害するメンタルのリミッターを自ら解除した、強い思いの結晶だったと思う。
プロの選手が吐くまで走る。
そこまで勝利にこだわった選手が集まったチームになった、そう思っていた。

サッカーは技術や戦術が鍵を握る競技だが、そこには必ずそれを駆動させる人の思いがあることを思い知らされ、そしてその思いをピッチで発露させてくれた指揮官に殊更思い入れが強くなった。

そして今季、指揮官の二年目のシーズンに大いに期待をして、開幕した。

指揮官は、一年目に様々な実績をチームにもたらした。

地元の高卒一年目の選手、ユースからトップ昇格したばかりの選手を、今まで一度も年代別の代表に絡んでいなかったにもかかわらず、その年の終りに二人も代表に送り込んだ。
その前年、不振に喘ぎ、結果が出ないチームの戦犯のように扱われた選手を見事に再生させ、守備の屋台骨を支えるところまで成長させた。

だが、順位は奮わなかった。

二年目こそは、前年活躍した選手の上に、補強選手が加わって、大いに躍進することを期待されたが、結果的には一年目と同じように夏場過ぎに失速し、昇格争いから脱落していった。

確かに、一年目と同じように、それまでJの舞台でほとんど実績のなかった選手にチャンスを与え、チームの中心としての出場機会を得られるところまで押し上げたし、相変わらずツボにはまった時の爆発力は見ごたえのある内容を披露はしたが、その強烈なリーダーシップゆえか、それとも少々のことでは曲げない信念ゆえか、一見奇策とも取れる指揮官流の選手起用ゆえか、夏場以降、急速に現場の求心力を失っていった様に見え、とうとうシーズン終了を待たずして今季限りでの退任が発表された。

確かな情報はないが、ネット界隈での噂話では、指揮官自らが退任を持ちかけたと言う。

おそらく、現場の信任を得られていないことを自ら感じていたのかもしれない。

また、現場だけでなくシーズン中に筆頭株主が変わるという異例のクラブの財政状況の影響もあったのかもしれない。

ただ、ファンの中にも限界説を唱える人がいたことは確かで、それが正解だったか、間違っていたかは、結局のところ誰にもわからない。

そんな中で、周りに多大な影響を与える指揮官の指導方法では、来季は同じように信念を持って戦えないと判断したのはおそらく事実だろう。

残念ではあるが、指揮官が決めたこと。

あとは、この最終戦で勝利し、しかも、指揮官が正しいと信じた方法で勝利することが、彼がこの二年、アビスパを導いてきたことに何ら間違いも、不足もなかったことへの証明になると思う。

この指揮官の二年間をベースに、我々は次のシーズンを戦わなければならない。

それは、何も感傷的なことではなく、チームがこの二年、この指揮官に投資してきたものを生かすためには、それしか方法がないということ。

何も同じ戦術で戦わなければならないということではない。

指揮官から教わった、サッカーにかかわるあらゆることが、これ以降のアビスパに生かされていればそれで良いと思う。

ハードワークすること。
負け癖を払拭し、失点してもそれ以上得点すれば良いし、得点してもそれで満足しないこと。
1対1で必ず勝つこと。
セカンドボールを拾うために相手より走り、ポジショニング、味方同士の距離感に気をつけること。
仲間を信じること。
仲間を讃えること。
相手を尊敬すること。

その多くが、当り前の基本的なことだが、アビスパがそれまで曖昧にしてきたことでもある。

指揮官は、おそらくチームを離れてもアビスパのことを気にかけてくれるはず。
たとえば、何年後かに、アビスパの試合を見たときに、あの時の指導が生きていると実感してもらえるチームになりたい。

この二年で、クラブが難しい時に監督を引き受けてくれ、少なくともエンタテインメントとして映えるチームを作ってくれた、我々のチームから代表に選手を供給するという夢を見させてくれた指揮官に、何としても報いるためには、まだ我々はチャンスを失っていない。
これからのチームがもっと良くなっていくことが、それに値するし、そういうチームを来季以降も作っていくことを、この最終戦の勝利で指揮官に誓いたい。

難しい試合になる。

相手も主力選手の引退に花を添える勝利を奪いに来るはずだ。
そうでなくてはならない。
たとえホームでも、全力で勝ちに来る相手をねじ伏せてこそ、その勝利にさらなる価値が与えられるというもの。

何より、選手には全力で勝利に邁進してもらいたい。

それが、アビスパの一員たる選手の誇りでもあり、プライドでもある。


紺色のマリヤン・アビスパは、今日がラストゲームだ。

勝とう。

マリヤンのためにも。アビスパ自身の未来に続く栄光のためにも。

さようならではなく、また会える日を楽しみにして。

ゆう

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