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岩手県北自動車「106急行」~盛岡と宮古を結ぶ基幹路線

2017-02-26 | バス[東北]

先月MAKIKYUが三陸沿岸一帯へ足を運ぶ機会があり、その際にはJR在来線の普通列車(快速含む)が乗り放題となる格安乗車券・青春18きっぷを利用したものでした。

この乗車券を利用して岩手県の内陸部に位置する県都・盛岡市と、三陸沿岸北部の基幹都市・宮古市の間を移動する場合は、平時ならJR山田線を利用する事になり、MAKIKYUは随分前に盛岡→宮古を山田線普通列車で移動した事もあります。

しかしながら両市間の途中は険しい山間で沿線人口も限られている上に、両市間は都市間バスが頻発している事から、列車本数は指の数も…という状況となっており、レールファンや青春18きっぷユーザー、首都圏や仙台など~盛岡間を東北新幹線利用で宮古方面との間を往来する需要を除くと、公共交通機関で両市内を移動するのは至便な都市間バスが主流となっています。

また現在JR山田線は土砂災害の影響で上米内~川内間で運転見合わせ(他に津波被災区間の宮古~釜石間も不通)となっており、上米内~川内間では代行輸送も実施していませんが、その代わりに盛岡市内を除くと大半の区間で並行する都市間バスへの振替輸送を実施しています。

この都市間バスは国道106号線を運行し、盛岡・宮古両市内の市街地では一部停留所のみ停車の急行運転を行う事もあって「106急行」と呼ばれており、岩手県北自動車(県北バス)の基幹路線となっています。

MAKIKYUが先月盛岡→宮古を移動する際には、JR盛岡駅窓口で青春18きっぷを提示→106急行バス振替乗車証交付を申請し、この振替乗車証で106急行バスに乗車したものでした。


106急行バス振替乗車票は定期券サイズ、首都圏の輸送障害発生時などによく発券される白無地のエドモンソン券サイズに比べるとサイズが大きく、緑色でJR地紋入りになっているなど、振替乗車証にしては結構高級な印象を受けたものでした。

ちなみに106急行バスは整理券方式(運賃後払い)による全車自由席制での運行、バスカード(以前は岩手県交通との共通カードでしたが、現在は自社単独となっています)での運賃支払いも可能となっています。

市内利用不可としている路線も多い高速バスなどとは異なり、停車各停留所間なら乗降停留所制限はありません(盛岡駅~盛岡BC間でも乗車可能です)が、全線一般道路を運行する路線ながら片道約100㎞・所要2時間強を要する事もあり、高速バスと同等のリクライニングシート車が充当されます。


ただ途中で1回トイレ休憩を設定している事もあり、基本的にはトイレなし車両による運行となっており、活躍車両もトイレ付車両での運行が案内されている特定便(3往復)と「バスものバス(貨客混載車両)」での運行便を除くと、県北バスで活躍する新旧様々な車両が充当されます。
(写真は途中の区界付近ですれ違った盛岡行の106急行バスです)


県北バスは元々日野と日産ディーゼルの2メーカーを導入していた事業者という事もあり、一般路線をはじめ都市間バスでもこの2メーカーの比率が高く、MAKIKYUは新型セレガ(写真は宮古からやって来た盛岡駅終着の106急行バスです)が充当されればアタリかな…と感じていました。


この様な路線ですので、盛岡駅で106急行バスを待っている際も、どの車種がやって来るのか非常に気になっていましたが、乗車便に充当されたのは三菱製の新鋭エアロエース、個人的には想定外の大アタリ。


この車種が106急行で複数活躍する姿を見ると、県北バスも随分変わったな…と感じたもので、このエアロエースもトイレなしなのは少々残念な所ですが、充電用コンセントも装備している辺りは新鋭車両ならではと感じたものでした。


乗車時間が長く盛岡・宮古両市内間を乗り通す乗客が多い事もあってか、運賃箱脇に乗客が自由に読める新聞が置かれているのも特徴的と感じたものでした。

また106急行バスは山田線が旧国鉄だった頃から運行、永年の実績を誇る路線で、旺盛な利用がある事から、時間帯によっては積み残しが発生する事もあります。

MAKIKYUが乗車した便は、盛岡駅出発時に乗務員が無線で「乗車人数26名」と営業所に伝達しており、途中停留所で数名乗車が加わっても盛岡市内で降車する乗客も居た事から、満席にはならない状況でしたが、乗車翌日に宮古駅を発車する盛岡行の106急行バスでは定員超過で積残客が発生していました。


しかしながら永年の実績を誇る路線だけあり、定員超過となる盛岡行106急行バスの発車前に「106急行 盛岡行」の紙を掲出した岩手県北観光の車両が増便として宮古駅前に出没、このバスが定期便に乗り切れなかった乗客を乗せ、定刻の5分後に盛岡へ向けて出発する姿も目撃しています。

概ね毎時1本(時間帯によっては2本)という高頻度や、盛岡市内では盛岡駅だけでなく県庁前や盛岡BCなども経由する中心部へのアクセス性、古くから冷房付リクライニングシート車による運行で、JR山田線と大差ない運賃設定などに加え、旺盛な需要に応えるための増便体制も確立している事も106急行バスの強みと感じたものでした。

これに対しJR山田線は、MAKIKYUが今世紀に入ってから乗車した際には手動ドアで冷房装置もない車両に乗車した事を踏まえれば、現在のキハ110系列は半自動押しボタン式ドア・冷房装置完備であるなど、車両面では大幅に進化していますが、それでも化粧室の存在と新幹線接続の定時性を除くと、かなり苦しいのでは…と感じたものでした。

また106急行バスへの振替乗車は、盛岡駅窓口で確認した限りでは、JR山田線列車の運行時刻に近接した便だけでなく、振替乗車票の発行当日中ならば、106急行バスの任意便に乗車できるとの事でした。

JR山田線・上米内~川内間の復旧見込みもまだ暫く先ですので、今春や今夏の青春18きっぷ設定期間は、青春18きっぷでの盛岡~宮古間の移動が平時よりも便利なのでは…と感じるのは皮肉な限りです。


106急行バスで盛岡駅~宮古駅間を移動するだけでも片道2000円強(実質価格はバスカード利用+差額現金払いで1800円強)を要しますので、青春18きっぷ設定期間に首都圏~宮古の移動で、東京駅や大宮駅など~盛岡駅間で東北新幹線を利用する場合でも、利用区間次第では新幹線乗車駅までのJR在来線+106急行バス振替乗車でオトクになる事例も多数出て来るのでは…と感じたものですが、この様な使い方を考えている人物がどれだけいるのかも気になる所です。

ただネット上の経路検索で首都圏各地~宮古間を検索すると、不通となっているJR山田線・上米内~川内間を経由する時刻や運賃は算出されず、最初から106急行バス利用で案内されますので、事情通でなければ振替乗車自体を思い付かないかもしれませんが…



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