長友、体幹トレーニングの問題点 | サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

15歳以上のサッカー選手向けトレーニング情報

今日は、FC東京時代から長友選手を格別に応援してきた自分だからこそ、言わせてもらいます。あえてね。


長友佑都のトレーニング理論は、(一部)間違っている!!


長友選手が東福岡時代、ウェイトトレーニングをやり込んでいた話は有名ですよね。長友はサッカー部で1人だけ、東福岡ラグビー部(全国制覇メンバー)と一緒に鍛えていたそうです。

長友選手は著書「長友佑都・体幹トレーニング20」の中で、高3の選手権の経験を踏まえ「ウェイトでつけた筋肉は使えないと気づいた」のように述べていますが、



そもそも長友選手がやってたウェイトトレーニングは、完全に間違ったウェイトトレーニングなんですよ!!

当時の長友のウェイトトレーニングは、トレーニング量、トレーニング法、食事法、睡眠時間といった、ウェイトトレーニングに最低限必要な基本ルールが、全くクリアできていませんので。

実際、ウェイトトレーニングには「使えるウェイトトレーニング」「使えないウェイトトレーニング」の2パターンがありますが、彼がやってたのは使えないウェイトトレーニングの方。次に詳細を書きます。


▼トレーニング量・睡眠時間について

同書にある、高校時代の長友選手のトレーニングメニューは、次の通り。

5時に起床し、個人でランニング、ダッシュなど。その後、授業・部活。部活後の16時~22時まで、ウェイトトレーニング。(その後、推薦で明治大学に合格するほどの勉強)

まず、ウェイトトレーニングを6時間も続けるということが大間違いなんですよ。そもそもウェイトトレーニングって、本気でやってたら6時間どころか2時間も続けられませんから。きっと友人たちとダラダラ話しながら、質の低いトレーニングやってたパターンでしょう。

基本的に、ウェイトは長くても、集中して1時間30分以内で終わらせるべき。それ以上やるとホルモンの関係で、逆にトレーニング効果が低下します

長友選手の具体的なウェイトメニューまでは分かりませんが、トレーニング種目の選択、回数、セット数、1週間の頻度など、かなり無駄の多いメニューだったであろうことは容易に想像できます。

そしてもし仮にコレを毎日やってたのであれば、トレーニング効果は激減、というか回復が追いつかず、試合だけでなく普段のサッカー練習にも致命的な悪影響を及ぼします。

さらに部活・トレーニング以外に、明治大学現役合格(推薦)に必要な勉強の時間を差っ引くと、本来は回復に必要だった睡眠時間も、1日に3~4時間も取れていなかったはず。ロナウドなんて、1日8時間は寝てるのに(⇒ロナウド8h睡眠の理由)。




高校サッカー選手によくありがちなパターンですが、長友選手は常に疲労が抜けきらず、筋肉も回復せず、慢性的なオーバートレーニング状態だったことが推察されます。




▼トレーニング・メニューについて

上記のように、高校時代の長友選手のトレーニングメニューは、決して褒められたものではありません。もし私が隣にいたら、胸ぐら掴んででも中止させるほどの粗悪メニュー。

またラグビー部の基本練習には、姿勢や1対1スクラムなど、ラグビー独自の体幹トレーニングが毎日の全体練習の中に組み込まれています。でもサッカー部の長友は、これをやらない。

ただでさえサッカーとラグビーは競技特性が違うのに、体幹を鍛えずウェイトやるのは失敗しても仕方がない。

っていうか、そんな糞メニューで、ウェイトの効果が得られるわけねーだろ!!!




▼食事について

自分はこれまで数多くの高校サッカー選手のトレーニング相談を受けてますが、基本的に日本の高校サッカー部員の食事って、トレーニング効果を引き出すのに必要最低限の栄養素・カロリー量を、クリアできてないケースが非常に多い。

上記の長友選手の誤ったトレーニング法からも推測しても、マトモな栄養法ができていたとは考えにくい。十分な栄養を摂らないと、トレーニング効果を引き出すことなど、まず不可能。

こんなんで「筋トレやり込みました」「ウェイトやりまくりました」とか、ドヤ顔で語ってんじゃねーよ!!ベンチプレス100㎏が自慢?仮にマトモなウェイトやってたら、余裕で120㎏は届いてたろうし、プレーの質も向上してたはず。悪いけど、質も効果も低クオリティ。

もう一度ハッキリ断言しますが、長友選手が高校でやってたウェイトは、間違ったウェイトトレーニングです!!

少なくとも、クリスティアーノ・ロナウドが若い頃にマンUで行ってきた正しいウェイトトレーニングとは、クオリティが全く違う(ロナウドを育てたマイク・クレッグは優れたプロ・トレーナーですから)。




▼トレーニング効果について

私はラグビー競技経験者ですが、そもそもラグビーには、サッカーと比べて、ウェイトの効果が試合結果に結びつきやすいという競技特性があります。

ウェイトトレーニング効果と試合結果への直結性というものを考えると、感覚的な数値ですが、ラグビーを100%として、サッカーは20~30%くらい。ラグビーは、スクラムやモール・ラックでの攻防において、とにかくウェイトの重量がモノを言いますから。

一方のサッカーでは、ウェイトの効果について、事実ラグビーほどメリットはありません。だけど確実に、一定のメリットは存在します。またそれは、局面の競り合い、一瞬のスピード、わずかなジャンプ力の差など、数値には表しにくい要素です。

ウェイト効果の試合結果へのプラス影響度合い(FRの実感値)
ラグビー=90~100%
サッカー=20~30%
野球=30~70%
ウェイトリフティング=100%
自転車競技=80~100%

なので長友選手が高校時代、なかなかウェイトトレーニングの効果が実感できなかったのも、むしろ自然な話。ラグビー部と違って、体幹トレーニングもやってなかったし。

長友選手は著書で、高3の選手権で市立船橋と戦ってボロ負けして「ウェイトのアウター筋肉が使えないのを実感した」と述べていますね。

でも市立船橋と言えば、ペナルティのワッキーが市立船橋時代、ウェイトトレーニングでブルース・リー的にガチガチに鍛え上げ、高3の選手権で名波浩(清水商業、のちの日本代表10番)をマンツーマンで徹底マークしてゲームを作ったエピソードが思い出されました。
クリック


また内田篤人(シャルケ)選手がいた清水東高校サッカー部では、伝統的にウェイトトレーニングを積極的に行うそうです。ちなみに清水東高校(武田、西澤、高原ら)、藤枝東高校(ゴン中山、長谷部ら)は、どちらも静岡県内屈指の進学校でもあります。毎年東大合格者を輩出するなど、学業のハードさは東福岡以上。ウェイトは、限られた時間で高い効果を得るための有効な手段です。


(清水の次郎長。イラストは尾田栄一郎先生!!!)

とりあえず長友選手は、個人的なウェイトトレーニングへの被害妄想が強すぎ?それともお金が欲しいだけ?とにかく、単に自分が間違ったウェイトやって失敗しただけなのに、当て付けみたいにウェイトが全部ダメみたいに言うなよな。

実際、できれば高校生のうちに、瞬発力を爆発的に向上させるクイックリフト(ハイクリーンやスナッチ)のウェイトトレーニングもやれてると理想的。野球だと元NYヤンキース・松井秀喜氏は、星稜高校時代からハイクリーンやってましたよ。

ハイクリーンはC・ロナウドもやってますし、こちらのインテルFCのトレーニング動画でも、選手がハイクリーンしてるのが確認できます(00:28秒から)。

⇒ハイクリーンのやり方。短距離スピード、瞬発力向上


以上、ざっくりと長友選手のウェイトトレーニングについて考察してきましたが、

そもそも長友は、ロナウドやドログバ、ルーニーら世界最高峰の選手たちを抑えられてもいないのに、そしてW杯ではGpリーグでボロ負けしたのに、あたかも体幹トレでサッカーのトレーニングを極めたかのように誇大宣伝するのは、やっぱりおかしい。

過去にフッキを抑えられたという話も、ファウル基準が世界で最も生ぬるい、Jリーグだったからってだけでしょ。

事実、木場トレーナーが日本サッカー界に与えた実績・影響は素晴らしいものですが、

最近の木場トレーナーの体幹ビジネスは、体幹トレーニングの効果を水増し宣伝した誇大広告が多すぎるのが現実です。

長友選手も、その体幹ビジネスの広告塔として主要パートを担っていますが、


物事には良い面と悪い面があるわけで、こういう体幹ブームの裏側にあるダメなポイントをシッカリ見極めないと、

本当に質の高いトレーニング効果を得ることは難しく、いずれ失敗を繰り返すだけだと思います。




っていうか著書でウェイト批判している長友選手ですが、実際には今もウェイトトレーニング(レッグエクステンション)をやってるようですし、






このFinoaトレーニング・チューブだって、細胞レベルで考えれば、ウェイトトレーニングと同じく、筋肉に通常以上の負荷を与えるトレーニング器具です。




いくらビジネスとはいえ、こんな大ウソついちゃ駄目でしょ。

マツダCMの体幹トレの出来レースも、正直かなり酷かったですし。

長友選手には、自分の置かれている立場と責任について、もうちょっと考えて発言してほしいと思います。

(ずっと応援してきた長友選手をDISるのは、精神的にしんどいけど、ここは本当に大事なことだから頑張って書きました)


(⇒当ブログ目次)

※ツイッターはじめました
https://twitter.com/fr_talk