農業は水質汚染の元凶 -ゲームからみた農業- | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

農業は水質汚染の元凶 -ゲームからみた農業-

 

SimCityというゲームをご存じだろうか?

プライヤーは市長のような立場で道路、鉄道、電力、水道をつくり、住宅地や商業地を作って税金を徴収し、街を発展させるというゲームである。発展と言ってシミュレーションゲームなので、プレイヤーはインフラの整備をするだけで後は勝手に住民が住み着いたり、工場を立てたりする様子を見るという、何か箱庭を作っているような感覚になるゲームだ。

ゲームと言っても終りがあるわけではなく、町が破産しない限りは継続して続けることも出来るし、隣接して新しい街を作ることも出来る。

需要と供給のバランスが崩れると失業者が溢れたりするので、工場や商業地、住宅の需要を考え、更に町の財政状態を考えてインフラ整備をしてゆく必要がある。

仕事の合間の休憩に時間を区切ってやっているのだが、これが面白い。

SimCity4Ddeluxe Edition と言うものだが、それぞれの住民がどの経路を使ってどこに通勤してるのかまでシミュレートしている。また、道路や鉄道をどの住民がどのような経路を使用しているのかまでわかるようになっている。商業地のビルや工場から、どこから通っているかまでわかるよう細かなシミュレートがされているのだ。

その為、住民が増えると渋滞緩和が必須になったりする。

便利な場所にはどんどんビルが立ち並び、反転が進むと巨大な高層ビル群が出来上がる。

面白いのは税金で産業別、住民の富裕層別などで税率を変えることが出来るので税率を下げて誘致などをすることも可能だ。

もちろん、現実とは違うがかなり現実に沿った形でのシミュレートがされているのだと思う。

 

さて、ゲームの紹介が長すぎた。

このゲームにおいて農業という産業も存在する。製造業ということなのだろう、工業に分類されていて、工業の中で農業、公害工場、製造業、ハイテク産業に分かれている。

農業の町を作って電力は風力発電、申し訳程度の町並みで全面畑なんて言う街を作ることも可能なのだが、税収が面積を使う割には非常に少ない。待を発展させるためには畑を潰して住宅地や工業地などにしていかないと町が発展しないのである。

実際にもそうなのかもしれないな、などと思わされる。

もう一つ、ちょっと衝撃なのは公害というものが存在するのだが、畑を作ると水質汚染になるのである。

そのために水源地の近くに畑を作ると、水道水が汚染され住民からクレームが出る。このゲームはアメリカ製だと思うが、畑というのは水質汚染の原因になると考えられているのだということだ。

農業による水質汚染は非常に深刻であり、先進各国では対策が講じられている。

 

西尾道徳の環境保全型農業レポート

No.203 OECD加盟国における水質汚染~農業による水質汚染に対処する政策

http://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=1485

 

もちろん知っていたが、ゲームから再認識したというのが正しい。

日本よりも遥かに投入量が少ないはずの各国で問題になる理由というのは、水が少ないという事情もあるだろう。西尾先生が指摘されているように日本は雨が多いために、投入量が多くても希釈されているためだろう。

私は農業というのは最大の環境破壊産業であると考えているが、水質汚染の問題においても最大の要因であるのだ。

国によって農業による水質汚染の原因はかなり違う。

畜産業によるものもあるし、乾燥地帯では森を畑に変えたことで表層塩類集積の問題も起こっている。

日本では先に上げた肥料と堆肥などの大量投入によるものが大きいだろう。

また農薬の溶脱による水質汚染もかなり問題になっている。

野菜の硝酸態窒素の問題が再燃しつつあるが、これは農産物に含まれる硝酸態窒素よりも、地下水汚染をしていることのほうが遥かに重要だ。作物にとって硝酸態窒素は必須栄養源で農産物には必ず含まれるので、よほどの高濃度でない限りは問題にはならないだろう。しかし、地下水汚染においては、かなり問題だろうと思う。

農業経営にとってこういったことに対策を割くのは、経営上においてはコスト高にしかならないが、いずれ問題になるのは間違いない。

この手の規制は今後、厳しくなる一方でゆるくなることは考えられない。日本は諸外国の後追いをしているに過ぎないが、諸外国の対策などを参考にして今から少しずつ対処方法を考えておくべきであると思う。

個人的には土耕の場合、なるべく多くの炭素源を投入し、土壌の維持を図りつつ圃場外への流出を避けるという方法が最も理にかなっていると思っている。

口先だけの環境保全というよりも土壌の維持を図りつつ、外の環境に影響を与えないという営農を行おうと思えばいくららでもできるだろう。


農業を科学する研究会

 

 

 

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