土壌改良(=土づくり)という言葉に騙されるなー目標をはっきりもつべきだ | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

土壌改良(=土づくり)という言葉に騙されるなー目標をはっきりもつべきだ

 

土耕栽培の農業にとって、土壌改良や土づくりというのは必須だと考えられている。

しかし、土壌改良や有機物の投入が大事である、と強調され続けている理由を御存知だろうか。

理由は、かつて化学肥料全盛の頃、有機物や堆肥の投入が軽んじられ、土壌の劣化が激しくなったためである。現在では有機物を投入しつつ土壌を維持するというのは当然という意識が高く、むしろ過剰投入のほうがはるかに問題であるというのは何度もこのブログで書いてきた。

が今一度、有機物の投入の意味を簡潔に書いてみよう。

作物が育つ土壌というのは鉱物の塊ではない。砂と粘土を混ぜても砂混じりの粘土になるだけで、作物が育つような土壌にはならない。しかし、有機物→腐植が鉱物の塊である土に含まれることによって、微生物活動が活発になり、団粒構造が作られ作物が育つようになる。

多くの人の認識はこのあたりにあると思われる。

実をいえば、私自身も同じように数年前までは考えていた。土壌硬度が作物の生長に影響を与えるのは知っていたが、土壌の硬度を変えるのは長年に渡る土壌改良効果によるものであると考えていたのである。

もちろん、機械の耕起により物理的に土壌が変わるということは知っていたのだが、結果的に播種床は似たようなものになってしまっていて、機械による物理的に土壌を動かすというのはあまり土壌硬度に影響を与えないのかもしれない、つまり、すぐに戻るものだと思っていたのである。

何故そうなってしまうのか、多くの方は耕耘を割とラフにやっているために私の言う土壌改良(土壌硬度を適切にする)を無に返してしまっていたのだ。これは団粒構造も含め土壌改良効果を最小限にまでしてしまっているということになる。

しかし、ある時、耕耘する機器類の使い方の問題であると知ってからは、耕耘によって土壌の硬度をかえることはかなり自由にできるということに気づいたのである。

この時からは、有機物の投入というのは土壌の維持に必要な量の投入で十分で、耕耘の方法をいかに考えるかという方向で考えるようになった。

そして耕耘の方法に新しい工夫を加えることが土壌にとって最も重要なことであるのではないかと思うようになったのである。

私にとっては目標のない土作りはむしろ、害になるかもしれない、とすら思うようになった(=事実、堆肥などの過剰投入は害になっているだけである)。土壌団粒を作るはずの有機物であっても、耕起方法がでたらめでは台無しだからである。

もちろん有機物の投入を否定するつもりはないし、重要な要素であるがどのくらい何を投入するのか、適正な量はどのようなものなのか。どの層に入れるのか。

これに現在のところ答えはないが、優れた生産者はかつてに較べると漫然と有機物や土壌改良材を投入するのではなく、明確な目標を持っている方が多くなっているように思う。

また、機器類の活用にしても単なる機械好き(申し訳ないがそういう人も割といる)

で良さそうな機械を投入するということではなく、明確に播種床をどのように作るべきなのか、を考えている人も多くなってきているのである。

私が今回言いたいのは、土壌改良という長年かかると思われているものに対して、漫然と行うのではなく、どうしたら良いだろうか、と考えて行うべきであるということだ。私の言う土壌改良には耕耘も含まれる。

実を言えば私にもまだ答えはないし、どのように取り組むべきかもはっきりしない、私自身にとっても未知の領域なのである。

まあ、だからこそ、今後新しい技術革新が起こるとも考えているのであるが。

 

従来、土作りの方法論は断片的に行われてきたように思う。例えば有機物の投入と機器による物理的改善である。土壌改良材や緑肥もそうである。

土壌改良とは栽培にとってベストな状態の土壌を作るためのものであるから、何が必要かの取捨選択が必要だ。しかし、その目標が曖昧であれば取捨選択が出来ないはずだ。

少なくても土壌改良効果を無にするような耕耘の仕方は改めるべきだ。

今後はこの融合が必要で、ベストな播種床とはどんなものであるのか、この模索が始まるだろう。その時に、栽培の幅は大きく広がることになると思う。

 

あなたはどのような土壌を目標にして、資材を投入し、耕耘しているのだろうか。

あなたには明確な目標があるだろうか。


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