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続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

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June 17, 2015
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ことの発端は、私のFacebookへのコメントだった。
懇意にしているオデミシュの公的権限を持つ人の奥さんで、オデミシュのイ―ネオヤ復興に尽力している女性。
「あなたたちがやっている機械製のイ―ネオヤは、こんな風に仕上がるかしら? 興味があるわ」
と、オデミシュで彼女が関係しているイ―ネオヤ製品の画像とともに、私には意味が理解できない、おそらく皮肉を交えたコメントを書いてきた。

その後のやりとりでわかったことは、今、トルコで出回っている「マシンメイドのイ―ネオヤのダンテル(レース編み)」のことで、これが価格面で市場を荒し、しかも質が悪いものをトルコの伝統手芸のイ―ネオヤとして売っていることへの怒りであった。とくにダンテルが有名なオデミシュにとっては無視できないことである。


・・・・いいけど、それと私が何の関係があって、なんで私がその罪を着せられなければならないの・・・・。
そんなものが作られていることすら知らなかったし、もちろん私も彼女に反論した。

彼女の言い分は、日本人がマシンメイドのイ―ネオヤ・ダンテルを作って、トルコの伝統文化を侮辱した・・・。そんなことして恥ずかしくないのか・・・ということ。


どうやらオデミシュ近辺の商人たちが、これは日本製のイ―ネダンテルだと言って卸しているらしい。
そしてそんなことができる日本人は、オデミシュに足しげく通っていた私で、オデミシュの技術を盗んで、日本で安価で質の悪いイーネオヤを作らせたに違いない・・・という勘ぐりである。


私がトルコのイ―ネオヤに関わった理由は、単純にこの素晴らしい伝統手芸を多くの人に知ってもらうためである。
また自分も知りたかったからである。
そのために公的な力を借りずに、自力でできることを何でもやってきた。
今さら恩を売るつもりはないけれど、現在のトルコのイ―ネオヤブームはどうやって作り上げられたものかを、考えてもらえば、「マシンメイドのイ―ネオヤを作るため」ではないことは、誰にだってわかることである。

ましてや、イ―ネオヤに興味を示した日本人の多くは、伝統手芸、精密な手作り品として、その成り立ちや女性たちが伝えてきた技術に尊敬と、愛情を持って接してきているはずである。
それを日本に持ち帰り、日本の技術でマシンメイドの安価なものを作って、売ってやろう・・・と思って取り組んだ人はいないはず・・・と信じているし、私の脳裏にそんなことがちらっとでも浮かんだことなど一度もない。


私の反論に彼女も納得して、謝罪してはくれたものの、これまでの私と彼女の関係や、私がやってきたことを知っているのにもかかわらず、そんな風に思われていたことは悲しかったし、がっかりした。
日本人がこれほどまでにトルコのイ―ネオヤに興味を持って、愛してきたことも、いったいなんだったのだろうと思わせるできごとであった。


先週と今週、用事があって2週連続でオデミシュのオヤパザールに出かけた。

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そしてそこで伝統的な古いイーネオヤ、新しいイーネオヤに混じって、大量に見かけたものは、彼女が言っていた「マシンメイドのイ―ネオヤ・ダンテル」であった。
ちょっと雑なダンテル・・・ぐらいにしか見えない出来で、そういえば同じものをアンタルヤのバザールでも女性が売っていたのを思い出した。

R-DSC_0025.jpg


これはリボンがついて、いかにも・・・なんだけど、普通に30×80cmサイズで作られたテーブルの上に敷くようなレース編みも売っている。
はっきり言って、マシンメイドのイ―ネオヤの存在を知らなきゃ、ハンドメイドの伝統のイ―ネオヤと思って購入してしまうだろう。
そして値段が10分の1。
もちろん値段を聞いて、ハンドメイド品だと思わなくても、お土産ならこれでもいいや・・・と買っていく人もいると思う。

彼女が怒っているのは、これだったのである。

バザールのおばちゃんたちはほぼ全員が知り合いなので、話をしているとマシンメイドのイ―ネオヤの話になり、それらを扱わない正統派のオヤ売りの女性たちは、直接的には言わないけれど、「そういう話を聞いている・・・」と。
私自身と日本人の名誉のために、反論してきたけどね。
多くの商人やおばちゃんたちは「あなたのおかげでこのパザールに日本人をはじめとした外国人もたくさん来るようになったし、またここで商売ができるようになったのよ」と好意的で、それだけは安心した。


そこへ、顔見知りの地元の新聞記者の女性が声をかけてきた。
先日のパザールに来ていることを聞いていたので、探したけどあなたのこと見つけられなかった、と言った。
「いったい、どうしたの」と尋ねると、マシンメイドのイ―ネオヤの件が、オデミシュのイ―ネオヤ関係の女性たちのみでなく、市民の間で大きな話題になっているという。
あなたの見解を聞かせて欲しい・・・・ということであった。

まずは私のやったことではないことを告げた。
新聞記者の彼女が言うには「ブルサの卸問屋が、日本で作られたマシンメイドのイ―ネオヤを取り扱っている。それを運び屋たちが各パザールに持ち込んで、オヤを売る女性たちに渡している。女性たちも値段が安く、売りやすいためにそれらを受け入れている・・・・ということであった。

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ブルサが一部のテキスタイルを地元ではなく、工賃の安い中国やインドに生産させて戻しているのは業界では周知の事実。
日本だってアジア諸国や東欧、南米などにさせていることだから、それ自体は非難されることでもなんでもない。
一時流行ったトルコのパシュミナや(偽)シルクショールもそういう経緯で売られていたものである。
イーネオヤを作らせていても不思議ではない、と思った。
現在は事実関係は私にはわからないので、どこの国で生産されたものかについては、特定しないけど、今、多方面から調査中だから事実はそのうち明らかになる。
新聞記者の彼女も、ちまたの噂話でなく、きちんと調べて記事にするからね、と約束してくれたけど、恩を仇で返されたとはこのことだよね。
でも怒りよりも、悲しいだけ。

ただね、このマシンメイドのイ―ネオヤ・ダンテルが、まるでトルコの女性たちが手作りしたかのように言われて売られることは、絶対あってはならないことだけど、ハンドメイド品がマシンメイドに変わっていくことなんていつの時代もどこにでもある話。
それじゃミシン刺繍はいけないの? 機械レースはいけないの? 機械織りの絨毯はいけないの? ってことになる。
ちゃんと市民権得ている。
それを好んで買う人たちもいるし。
イーネオヤにもそういう段階が訪れたのか・・・ってことなんだと思う。

ただ本当に素人目にはわからないので、本物の手作りのイ―ネオヤ・ダンテルを欲しいと思って購入する人はちょっと気をつけてください。
想像するにパシュミナなどと同じブルサの問屋なのでグランドバザールや観光地などにも出回っているはず。

糸質と目の粗さぐらいです。判断基準。
でも本物のイ―ネダンテルを見たことも、触れたこともなければ、比較しようがないので、それもわからないよね。
イーネオヤを自分で作っている人でも「これ機械製だよ」と言うまではわからなかったほどですから。


最後に、パザールに出入りしている運び屋のおっちゃんたちの大きな黒いバックに「それ」がたくさん入っていて、パザールに出店している村のおばあちゃんたちに提供しているのを目撃した。

個人のレベルの問題だから、オデミシュの一部の人のやっていることを、オデミシュの女性たち全体の責任にはできないけど、不確かな情報で私を責め、日本人を責めるぐらいなら、まず、オデミシュでオヤを売る女性たちに「STOP!マシンメイドのイ―ネオヤ」を根付かせることからはじめるべきじゃないのか。

と思うのですけど、どうでしょう・・・・・。


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Last updated  June 21, 2015 06:07:53 AM
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