今日は、「とも」のドリブル練習のうち、「ゴリラのドリブル」のお話です。
でも、ゴリラのドリブルって何?と言う方もいらっしゃると思います。
それについては、ゴリラの姿勢から来たネーミングなんですが、詳しいことは、次の過去記事をお読みください。
1.小二のころのゴリラのドリブル
このころは、4m四方のグリッドを作って、その中でドリブルを続ける練習です。
練習のポイントは、大きく分けて4つあります。
(1)ゴリラの姿勢を維持すること。
(2)ボールを足から離さない(足から離れるのはボール1個分まで)。
(3)真ん中の3つのマーカーのあたりで、突破のドリブルを意識させる(狭いところでも慌てない)。
(4)それ以外のエリアでは、運ぶドリブル(ルックアップ、ボールから目を離す、周りを見る)。
ちなみに、このころは右足も使っています。
でも、4つのポイントを身に付けることを優先したので、「利き足で!」などとは、うるさく言いませんでした。
2.現在のゴリラのドリブル
基本的には、小二のころの練習方法とあまり変わりません。
でも、現在は先ほどの4つのポイントが身に付いているので、どちらかと言えば、コーディネーショントレーニングの要素を取り入れています。
コーディネーショントレーニングとは7つの要素(リズム、バランス、変換、反応、連結、定位、識別)を持ったトレーニングですが、詳細については長くなるので省略します。
(1)運ぶドリブルと突破のドリブルの切り替え
切り替えは10秒間隔で私が合図し、それに応じてドリブルの動きを瞬時に切り替えます。
一人でやる時は自分で10秒間数えます。
(2)タッチの切り替え
ドリブルのタッチは自由ですが、3m以上同じタッチをしないという条件付きです。
つまり、タッチをどんどん切り替えるということです。
イン・アウト、アウト、つま先、スピードの強弱、歩幅を小さくしたドリブル、触らないドリブルなどを繰り返します。
このうち、触らないドリブルとは、足から離れたボールをすぐに触るのではなく、触らないことで自然にボールスピードを落としてからタッチすることです。
他にも、足裏を使ったり、シャペウのように浮き球を使ったり、リフティングからトラップしてドリブルに切り替えたり…。
いろいろなメニューがありますが、よく練習するのはこの2つです。
ここで注意点があります。
① 1セット1分間。
② インターバルは3~5分間。
③ 一日3セットくらいまで。
※心身ともにリフレッシュした状態で練習しましょう。
その理由は、試合を想定すれば分かります。
90分間の試合でも、一人の選手がボールを持てるのは、長くても1回あたり10~20秒間くらいだからです。
一つのメニューを際限なく練習するのではなく、試合を意識した短時間の練習を繰り返した方が良いと思います。
3.練習のための練習にならない工夫を
次の動画は、どこのチームでもスクールでも見られるドリブル練習ですよね。
でも、こんなにマーカーを並べて練習するのって、意味があると思いますか?
たぶん「タッチを覚えるためにはたくさんやった方が良い!」という意見が多いと思います。
それに、みんなやっているはずだから、子どもにも同じようにやらせる…という意見もあるでしょう。
でも、それって「練習量を増やせば技術が向上する」という昔の考え方と変わらないと思います。
言い過ぎかも知れませんが、つまらない根性論と同じなんです。
それに、サッカーの試合中って、全員が全力で動いてますか?
動いているのは、ボールを持っている選手や、オフザボールで動く選手たちですよね。
プレーに関わらない選手は、頭は働かせていても、身体は動かしていないはずです。
要するに、何が言いたいのか?というと、練習量は集中力が続く時間の範囲内で決めるべきだと思うんです。
こうした場合、もしご自分の子どもさんが10個のマーカーのうち、最初の3~4個までは上手く出来るとしたら、それが現在の能力です。
だったら、3~4個を速く正確に、集中力が続く時間の範囲で練習した方が良いと思います。
その方が試合の時でも活かせます。
つまり、ここ一番というときに自分の能力を発揮出来れば良いんです。
それに、10個のマーカーで練習するということは、試合中に5~6人を連続でドリブル突破するようなものですよね。
「とも」のカットドリブルだって、せいぜいマーカーを5~6個使う程度です。
2~3往復しかやりません。
突破のドリブルで、2~3人の相手を連続して抜くようなイメージで練習します。
それとは別に、10個のマーカー練習が速く正確に出来たとしたら、その練習を続けるよりも、どんどん違う練習に切り替えた方が良いと思います。
いつまでも同じことを続ける必要はないと思います。
なぜなら、同じ練習は惰性になりやすいですし、練習のための練習にしかなりません。
練習方法を変えることで、子どもは新たな興味と好奇心が刺激されるので、別の意味で集中力が働きます。
当たり前のことなんですが、すでに出来ていることは、たまにやれば良い程度だと思います。
いちど身に付けたものは、そう簡単には忘れませんから(笑)。
だって、水泳を始めて泳げるようになった人って、一年経ってもふつうに泳げるでしょ?
スポーツ理論って、そういうものだと思います。
同じことを毎日繰り返すよりも、出来ているかどうかをきちんと見極めたうえで、練習メニューを変えて行く…。
そうした、練習のための練習にならない工夫をすることで、試合に活かせる技術が身に付くのではないでしょうか?
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