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SkyrimとFallout4・76の二次創作メインブログです。 たまにMODの紹介も。
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04.25.19:08

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  • 04/25/19:08

05.07.20:39

Interdependence

 よく勘違いされる。
 お前は強いからどんな者にも決して畏怖を感じないだろ、と。
 その問いの答えは、馬鹿かお前? ──だ。デスクローやフェラル・グール等、連邦で生き延びるのは辛過ぎる要因は両手一杯どころか落ちるほどあるのに、生きる手段はほんの僅かしかない……そんな世界で怖いもの知らずだって? この俺が?
 そういう奴は大して俺のことなぞ見てもいないのだろう──いや、見る機会もないのだから仕方ない。しかし連邦では弱味を知られれば命取りになりかねない。だから普段からそういうものは隠しておくのだ──他人に知られないようにと。

 衣擦れの音一つ耳に入ってこない廃墟の中を、腰を落として忍び足でこれまた音一つ立てず歩く俺の背後をマクレディが同じ格好で歩いてくる。しかし彼は隠密行動があまり上手くなく、歩くたびにじゃりっ、とブーツと地面が触れる度に摩擦音を立てていた。
 連邦の北部にあるUSAF衛星基地オリビア──時々どこからともなくレイダーの一団がやってきては根城とされている。戦前は衛星基地として使われていたこの場所も現在ではただの鉄塔となんら変わらず、失われたテクノロジーの残骸として残っている巨大なパラボラアンテナがレイダーや柄の悪い連中を引き寄せる原因にもなっていた。
 なもんだから、時々付近の居住地から退治してほしいと要望がくるのだ──今回訪れたのもそのためだった。ミニッツメンの一員としてレイダーを駆逐する事に何の不満もないが、マクレディは相変わらず俺の無条件で引き受ける態度を見ていい顔をしていなかったのは言うまでもない。
「どうやら……レイダーの連中は全員倒したみたいだな」
 マクレディが背後を歩きながらぼそり、とつぶやく。煌々と明りだけが照らす衛星基地の内部に、俺とマクレディ以外人の気配は感じられない。姿を隠しながら玉を数発、相手に打ち込むだけでレイダーはまるで紙を容易く射抜くようにばたばたと地面に転がっていったため、気付けばあっという間に全滅させていた訳か。
 念のため、左右を確かめ──再度気配を察しないことを確認し、俺は中腰の姿勢から立ち上がった。それを見てマクレディも立ち上がり、腰を痛めたのか落とした姿勢で歩くのが得意でないのか、数回腰を回すように動かしていた。
「っと………じゃ、全部の部屋見て回ろうぜ、ジュリアン。もう敵は居なさそうだしな」
「ああ、そうしよう」
 首肯して見せると、マクレディは嬉しそうに辺りを物色し始めた。別段、俺より彼が先に戦利品を奪っても大して気にはしていない。マクレディの方もそういう俺のやり方を心得たらしく、必要最低限の銃弾と、使えそうな武器しか手にはしない。重すぎても持って帰れないし、所詮レイダーの装備なぞ売り払っても大したキャップにもならないと知っての事だろう。
 その代わり、俺は彼の拾わない物──彼がよく言う所謂“がらくた”の事だ──を好んで拾い、居住地に帰った後に加工する為のものとして得る事が多かった。そのため互いに得る物を得て、但し銃弾は分け合ったりと妙な分配具合で旅を続けている。
 一階へと降り、いくつかの部屋からスティムパックや弾薬を得た後、一番奥の部屋の扉が施錠されている事に気付いた。
「鍵がかかってるって事は何かありそうだな」
 言いながらヘアピンの箱から一つ取り出し、すぐさま鍵穴に差し込む。左手にドライバーを、右手にヘアピンを持つといった格好だ。
 ヘアピンを持つ右手に手ごたえを感じながら、ドライバーを半回転させると難なくぱちん、と錠が降りる音が立った。
「相変わらず素早い腕前だな。今度教えてもらわないと」
 いつも感心したように言ってみせるマクレディだったが、大雑把な彼にこんな細かい事が出来るとは到底思えないので俺は黙っていた。むしろ錠前を開ける技術より隠密の方を向上させてもらいたいものだ、折角音もなく忍び寄ってる最中にマクレディの姿が相手に見つかって煮え湯を飲まされた経験が何度もあるからな。
 黙ったまま俺は扉を開けた直後──耳に入ってきた音は俺の神経を逆撫でさせるに十分値する僅かな音だった。
 動く度にカサ、と、キキキ……と、鳴いているのか、口か触覚を動かしているかのように響く不快な音。
 全身が粟立つような感覚を覚えた。この部屋にあれが居る。
 思わず腰を落とし、こちらの気配を悟られないように俺は思わずじり……と一歩、また一歩と後退していくのをマクレディが見逃すはずがなく、
「おいジュリアン、どうしたんだ?」
 彼の声に反応したのか、彼らが動く気配が嫌でも伝わってくる。扉のある壁の奥にいるのか、開けただけでは彼らの姿は見えない。見えないままでいい。このまま下がってやり過ごせばいい──そう思っていたのに。
「この部屋から離れるんだ……マクレディ」
 小声でそう言ってみせたものの、彼は怪訝そうに眉をひそめ──その直後、
「ん、誰かいるのか?!」
 気配を察したらしく、声を荒げて部屋の中に入っていこうとするではないか。
「馬鹿! マクレディ!! 止め──」
 俺の声に反応してこちらを向いたマクレディと、その目前を巨大な緑色に光る──何かが床を這って近づいてきた姿を見て俺は戦慄した。ラッドローチ。俺のもっとも苦手とする生き物。
 ラッドローチが数匹、マクレディに襲い掛かるのと同時にこちらにも近づいてきているのを見て、
「く、く、来るなぁぁあああああ!!」
 プライドも何もかなぐり捨てて俺はその場から逃げ出そうと立ち上がろうと──しながら足を動かしたせいか足首を捻ってしまう。ぐきっ、と鈍い感触と共に痛みが全身を駆け巡った。
「ぐぁっ……!」 
 そのまま走る事も出来ず倒れこんでしまう。ラッドローチは既に俺の足元まできていた。俺はへたり込みながら構えていたコンバットライフルを突き付け、
「こっちに来るな! 俺に寄るんじゃねぇえ!!」
 いつもの冷静さは何処へやら──引き金を引くので精一杯だった。サイレンサー付きの消音効果のせいで、ぱしゅ、ぱしゅと僅かな音を立てながら銃弾は地面に打ち付けられるものの、近づいてくるラッドローチには全くといっていいほど当たっていない。冷静さを失った故に照準を狙えず、手当たり次第にあちこちに放っている形は無様を通り越して子供が悪い悪戯をしている姿同然だった。
「ジュリアン、大丈夫か、ジュリアン!」
 マクレディが数匹相手にしていたのを倒したらしくこっちに近づいてこようとしているのが目に入ったが、それを覆い隠そうかの如く──ラッドローチがジャンプして、へたり込む俺の足に乗っかってきたのと、それを払いのけようと照準をかまえようとするも、手が震えたせいで全くアタリが掴めない──声にならない声を叫び、俺が放った銃弾がマクレディの頬を掠った──所で俺の意識は途絶えてしまった。

「……ァン、……ジュリアン」
 漣のように、誰かが俺の名前を呼ぶ。──低い、しかし言葉に不安の色を滲ませた声。
 声に応じなければと思うのだが、目を──目を開けたくない。心がそう言っている。けど開けないと、不安を含めた俺の名を呼ぶ声はどんどん大きくなりそうで、俺は……一気に目を開けた。
 見慣れない天井が目に飛び込む。蛍光灯と、自分の間に鉄製の廊下があり、その僅かな間から光が差す感じだった。……どこだ、ここは、と頭を地面に転がすようにして周りの状況を確認しようとした時、
「ジュリアン、目が覚めたのか? ……よかった、心配したぜ」
 マクレディの顔が覗き込むようにしてぬっと現れたので、思わず俺は身を強張らせてしまう。
 逆光のせいと目覚めのせいで視界が若干ぼやけているものの、彼の表情は安堵したように口元には笑みが浮かんでいるのは分かった。……その顔の右頬に、血の流れた跡が見て取れる。
「……無様な姿見せちまったな」
 よろよろと半身を起こす。何の装飾もしてないむき出しのアスファルトの地面に横たわっていたため、腰が若干疼痛を訴えるがそれを無視して立ち上がろうとするが、瞬時に左足に激痛が走った。痛みに顔を歪ませつつ、マクレディに心配かけさせまいと俺は平静を装ったままちら、と痛む足首を見ると、捻った部分が見事に腫れている。これじゃ歩くのは難しい。
 仕方なく、左腕に嵌めてあるPip-boyの画面を指で操作しながら、スティムパックを一つ取り出した。小型携帯端末として扱えるPip-boyは自身の体調や身体に受けた損傷度、荷物の整理など出来る便利なものだ。戦前のテクノロジーを結集したものといわれているが、付けている者なぞ210年たったこの時代でも滅多にお目にかかれるものじゃない……らしい。マクレディは事あるごとにそんな事を俺に話してくれていた。
 スティムパックの針を、腫れている箇所へブーツ越しに突き刺すと、中の液体が即時注入され、注射器の上についているメーターが空になったのを示したところで俺は針を抜き、空になったそれを地面に放り投げた。生体賦活剤の一種であるスティムパックは瞬時に傷や打撲の痛みを緩和、治癒してくれる優れものだ。
 それ以外はどこも痛みは感じられない。とりあえずぱん、ぱんと背中と尻についた汚れを手で払っていると、
「いや、いいんだ……でも倒れた時は生きた心地がしなかったよ。まさかラッドローチ如きで殺されるようなタマじゃないだろうに、って思ってたしさ」
 マクレディの口から出た名前に、俺は身を竦ませる。……見ると、すぐ側に彼が倒してくれたのだろう、死骸が腹を出した形で横たわっていた。生きているのを見るのも嫌だが、死んでもなお、見たくもない横のスジがついた気持ち悪い腹を見せられなきゃいけないんだと嫌悪感が胃を圧迫しそうなため、俺は慌てて視線をずらす。
「すまない。どうしても……苦手で」
「ま、誰しも苦手なモノはあるよな」彼の口調は嫌味も軽蔑も含んではおらず、相変わらず気遣うような不安の色を滲ませていた。……早くここから出たほうがよさそうだ。
「……行こう、マクレディ」
 そそくさと立ち去る俺の足元は若干覚束なく、それがローチのせいだというのと、彼の前で無様な姿を見せてしまった自分の羞恥心からくるものだと思うと情けなかった。

 最も近い居住地であるサンクチュアリ・ヒルズに戻ったのは深夜2時前。
 辺りはしんとして──所々に置かれている警戒用タレットに内蔵されているラジエーターの僅かな機械音しか耳には入ってこない。居住地に住む者達は既に全員寝静まっていた。
 仕事の成果を報告するのは夜が明けてからのようだ。とりあえず俺は、元々は自分の家だった建物に荷物を置くと、軽く伸びをして──屋外に出る。マクレディは扉の前で神妙な顔つきをしてこちらを見据えていた。
「……どうかしたのか?」こちらから水を向けてやると、マクレディははっとした表情を浮かべ、
「えっ、あ、あぁ……いや、なんでもないよ」
 何か隠してるな、と察しがついた。彼の態度が余所余所しい。──けれどそれを問いただす前に、やらなきゃいけない事があるな。
 辺りを見回すと、ドリンク・バディーが体をがしゃん、がしゃんと音を立てて夜中に一人歩いていた。彼(?)の身体はプロテクトロンをやや改造したものだから他同様、寝る必要もなければある程度自分の意思で行動できるようになっている。元々はグッドネイバーのレクスフォード・ホテル所有のものなのだが、訳あって俺が所有し、サンクチュアリに身を置いている形となっているのだ。
「バディー、ビールを一本くれないか」
 挨拶もそこそこに、俺はバディーの身体についているボタンを押してビールを取り出す。何をしようとしているのか分からないまま背後に突っ立っているマクレディにそれを渡し、
「それを飲んでろ。痛みが緩和するぞ」
「え? 痛みって?」
 きょとんとしたマクレディを他所に、俺は再び自分の家へ戻ると、一組しかしつらえてないベッドに彼を座らせた。……何をするつもりだろう、と思われているのは自明の理だ、努めて冷静に俺はベッドサイドの壁に取り付けておいた、救急用の小箱から消毒用アルコールと脱脂綿を取り出し、瓶の蓋を開けると手にした脱脂綿に含ませ、彼の頬にあてがった。
「っいたたたたた! 何するんだジュリアン!」
 途端、アルコールが沁みるのに耐え切れず口を開けながら叫ぶマクレディ。俺は手にした脱脂綿を擦り付けるようにして押し当てると、更に悲鳴が上がった。
「だから手にしたそれを飲んでろって言っただろう、応急処置してないから爛れてるじゃないか……端正な顔がだいなしだ」
 俺の打った銃弾は彼の頬を掠っただけで済んだものの、熱傷のように頬に筋が入り、そしてそれを長時間ほったらかしにしたせいで若干化膿し始めている。跡に残ったらそれはそれで申し訳がない。
「すまなかった。──無様な姿もそうだけど、マクレディに銃口を向けてしまったこと、謝らせてくれ」
 会釈のようにも見えなくもないが、俺は頭を下げた。マクレディはというと、手に持ったままのグインネットのビール瓶を口に運ぼうともせず、黙ってこちらを見ている。……その表情がふっと緩んだ。
「さっきも言っただろう? 俺は気にしてない。……いや、むしろ、嬉しいんだ」
 嬉しい? 俺の怪訝そうな表情を見てマクレディがははっと笑った。
「だって、あんたがラッドローチだけは逃げ腰になる、なんて知ってるのは俺くらいじゃないか? 連邦中で? だから嬉しいのさ。どんな奴でも──デスクローだろうが、ラッドスコルピオンだろうが──平然と倒してしまうあんたが、ラッドローチだけは苦手だなんて、聞いた所で誰が信じると思う? 実際に見た俺以外誰も信じやしないだろう。
 ──だから嬉しかったんだ。ああ、ジュリアンも人間なんだって。いつもそんな姿をおくびに出さないあんたでも、やっぱり血の通った人間なんだって。人造人間ではあんな無様な姿見せられっこないもんな?」
 皮肉めいた事を言いやがって。俺は口元を歪ませてにやにや笑いながら、平然と彼にあてがった脱脂綿を再度擦り付ける。痛いじゃないか、とマクレディは反抗するも、彼の目は笑っていた。──妙に余所余所しかった原因はこれだったんだな。
「俺を人造人間だと思ってたのか?」
「ははっ……まさか。露ほども思ったことなんてないよ。ただ、ジュリアンが他の奴には見せない姿を見られたのが嬉しくてさ。……ああ、もちろん誰にもしゃべらないよ。さっきも言った通り、誰も信用してくれやしないだろうしな」
 彼にあてがっていた脱脂綿を交換しようと、力を緩めて頬から離す。脱脂綿には血とやや化膿したものが付着していたため、捨てて新しいものに取替える。アルコールを含ませながら、ぽつりと俺は言った。
「ラッドローチは……戦前はあんな巨大なもんじゃなかったんだ。さっき倒した奴の20分の1ほどのサイズだった。でも人々はアレを見て気持ち悪がったもんだ。──それがあんなでかくなるとはな。
 ──Vault111から出る時はあれを倒しまくって脱出せざるを得なかったけど、怖いなんてもんじゃなかった。なんであんなに肥大化したのかは恐らく放射能のせいだろうけど……俺が生きてたかつての時代に、ラッドローチが出現してたらさぞかし大スクープになっていただろうよ」
 アルコールを湿らせたそれを再び頬に、とした矢先にマクレディがそれを奪うようにして手に取って自分の手であてがってしまった。それでも時折痛そうに顔をしかめている。
 しょうがないので、他の脱脂綿にもう少しアルコールを含ませたものを渡し、手で抑えてもらっている間に俺はサージカルテープを貼り付けて留めてやった。これで落ちることはない。
「……その時代から、あんたはラッドローチが嫌いだったのか?」テープを貼る俺を見上げながら、マクレディが問いかけてくる。
「ああ。大嫌いを通り越して見るだけで身の毛がよだつ程だよ」
 昔はかつての妻がその処理をやっていた。けど──彼女はもういない。息子もいない。今居るのは心を許した僅かな友と、ミニッツメンを頼りにやってくる見ず知らずの者達だけ──
 ほとんどの人が救いの手を欲していた。そんな人の前で弱気を出すなんて出来ない──いつからそう思うようになってしまったのだろう? マクレディがさっき言ったように、“俺は平然とデスクローもラッドスコルピオンも倒す”奴になっていたのだろうか。
 見ず知らずの俺を助けてくれたニック、BoSの在り方を教えてくれたパラディン・ダンス、持ちつ持たれつでやってこれたマクレディ、新聞記者のパイパーや、コンバットゾーンであった孤独な女性、ケイト──彼らに自分の弱さを見せればどうなるか──そういえばそんな事考えたことなかった。彼らは彼らで弱味があり、それを俺に話してくれた。けど、自分は──自分の事を、境遇を、話した事はあった。けど弱味は?
「そうか。……なら、俺も謝らないといけないな。ジュリアンがラッドローチ苦手だと知らなかったせいで、あんたを失神まで追い込んだのは俺だ」
 どうしてそうなる?「いや、マクレディは悪くない。俺が元々──」
「だから!」俺の声を掻き消そうとばかりに、マクレディが声を張り上げた──瞬間、辺りが無音になる。
「だ、だからさ……これからは……そのぅ、教えてほしいんだ」先程威勢のいい声を飛ばしたくせに、今度の声はぼそぼそと呟く感じで聞き取りにくい。
「……何を」
 マクレディは帽子を取ろうともせずに左手で後頭部をしごきながら、照れくさそうにいった。「あんたのそういう所を」
「そういう所って?」さっぱり話が分からない。しかしマクレディは察しろよ、といわんばかりに視線をこちらに向け──直視できないのか再びぱっと逸らして見せた。変な奴だ。
「あ、あんたの事だよ。ジュリアン。あんた自身の事だ。俺は知りたいんだ。……あんたの事を人造人間なんて思いたくないからさ」
 ……最後の一言は余計だぞ、マクレディ。
 しかし俺は自然と頷いていた。今まで会った者達は、自分や、自分の境遇を良くする事に懸命で、俺はそれに手を貸す形を取っていた。マクレディにしてもそうだ。彼の息子を助けるために薬を手に入れ、それを送るように手筈を整えた事も。
 ニック。俺に手を貸してくれた最初の……人造人間。俺の事を慮ってくれたのは彼が初めてだった。彼が一人で歩いていけると知ってから俺は一時別れたものの、思えばそれ以来、自分の事をあまり話す機会は無かったな──目の前にいるマクレディを除いては。
「つまり、俺に興味がある、って事か?」
 別に他意を含めた言い方をしていないのにも関わらず、マクレディは何故かその一言で顔を赤らめた。今回は間近に居るのと座っている事もあって背を向けようにも向けられず、彼の視線はあちこち泳いでいる。……俺何か変な事言っただろうか?
 しばし、互いに黙ったのち、
「──ど、どう取ったって構わない。た、ただ俺は、俺を雇った奴の事くらい知っておいたって何の損もないだろう、ってことだ」
 雇った、と言われてもマクレディの方から金を返したんじゃなかっただろうか、と言おうとしたが──やめておいた。まだ20代そこそこのマクレディにとって、感情を曝け出すのは勇気が居ることだろう。前に俺に素性を明かしたときもそうだった。つまり俺は彼の心に何かしら残せた、って事か。
「おかしな奴だな」
 けど、嫌いじゃない。
 そう心の中で付け足して俺は立ち上がった。何処へ行くんだ、といわんばかりにマクレディも立ち上がろうとするも、俺は片手でそれを制し、
「疲れただろう、そこで休んでろ。俺はこっちで寝てるから。……おやすみ」
 制した片手をひらひらとさせて、俺はその向かい側、かつてはショーンの寝室だった場所においてある寝袋に横たわった。途端に眠気が瞼を襲う。自然と瞼を閉じて意識を委ねる頃には、マクレディの微かな寝息が耳に入り──不思議と安心しながら眠りに落ちた。




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 今回は趣向を変えてうちのパパ(ジュリアン)のラッドローチ嫌いを表に出して見ましたよ。
 FO3とかではぜんぜん気にもならなかったラッドローチですが、4であまりにリアリティありすぎて大嫌いになった中のヒトのせいです。ごめんちゃい。

 いやーでもだって、俺がもしパパだったとして、かつては小さいながらも見ると不快感丸出しにさせてくるゴキブリが巨大化して、しかもそれを倒さなきゃならんなんて俺絶対無理ですよ。そもそも多分Vault111を脱出すら出来ませんよ、ラッドローチと戦いたくないし(笑)

 だから戦前のヒトっぽくゴキブリ・・コックローチが嫌いな部分があるって設定(設定にしなくても中の人が大嫌いなだけ)にしてます。うちのパパさんは。あんなの平然と戦えないよーーたとえ元軍人だとしても俺はゴキブリ嫌いです。

 まぁマクレディも好きか嫌いか、って言われりゃ大嫌いだと思うけど、ジュリさんほど逃げたりはしないだろうと。
 作中で手当たり次第に銃弾ぶっ放してますけど、ゲーム中でも俺それやったことあるのですいません(汗焦

 で、肝心の「お前はパパ×マク派か?」というご質問が飛んできそうですが、
 あまりホモホモしい事は書きません。だってつまらんもん。非生産的とかそういう事じゃないですよw
 マクレディはまだ20台そこそこのガキに毛が生えた(笑)程度ですから、憧れと好意をごっちゃにしてる感じで書いてるだけです。というかそういう部分が見え隠れしてるとゲームの中でも思ってます。ロマンス入った後は特にw
 ジュリアンさんは特に何も思ってません(笑)。ただマクレディのことは好きです。LikeであってLoveではない。そんな関係のまま多分今後もだらだーらと書いていくんじゃないかな。

 なんだか変な方向に話がイッちゃいそうなのでこの辺で。
 最近木曜日の更新になかなか間に合わずすいません。ではまた。

おまけ。
タイトルは和訳で「持ちつ持たれつ(の関係」ですw

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