米金融市場の熱狂を支えているのは、同景気や企業業績への期待などではなく、先述のとおり、やはり日本・・・の日銀だった、ということなのでしょうね・・・
先週9日の米債券市場では米国債価格が急落(利回りが急上昇)しました。米長期金利(10年物国債価格)は前日から7ベーシスポイント(bp.:0.07%)も跳ね上がり、昨年3月以来9か月ぶりに2.5%のラインを越えてきました。日本時間10日昼間の時点では2.55%前後と、直近1か月の利回り上昇幅は18bp.(0.18%)ほどと大きなものになっています。
このように米金利が急上昇、となれば日米金利差が急拡大してドル投資の妙味が増すだろうから、ドルが買われて円が売られる―――急激にドル高円安が進む・・・と思ったら、さにあらず、まったくその逆で、米為替市場では円がドルに対して一気に買われ、前日比で0.5%も円高ドル安水準の1ドル112.56円になりました(その後、10日の日本市場ではさらに円高が進んで同111円台に突入)。
なお同日、ドルは円以外の他の通貨に対してはおおむね上昇しています。1ユーロは1.1939ドル、1英ポンドは1.354ドルと、いずれも0.2%、ドルに対して安くなりました。このあたりは「法則」のとおり、つまりマネーが金利の高いほうへ―――ユーロ等から国債利回りが上がったドルへ流れた結果という解釈が成り立ちそうです。
ちなみに、この日の金(ゴールド)ですが・・・N.Y.金先物相場は続落し、同商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比で0.5%安の1トロイオンス1313.7ドルになりました。これまた上記と同じく、米金利が上がったことで、これを生まない金の魅力が下がったことの反映でしょう。当然ながら金は円に対してはもっと下げ幅が大きくなりました。
以上により、当日の米市場の各値動きからもっとも注目すべき現象は、アメリカの金利が上昇するなかでも、円が金をも含むすべての通貨に対して買われた―――高くなった、ということかと思います。ではこの日、何があったからこうなったのか・・・
じつは日本時間の同日、日銀は10年超長期国債の買い入れ額を昨年12月28日よりも200億円ほど減らしました。マーケットでは、これが現行の「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)の手仕舞い開始(テーパリング)の合図なのではないかとの憶測を呼び、同国債価格が低下(利回りが上昇)したので円高ドル安になったもようです。
日銀の同購入減額は、たった200億円―――これが何と!?海の向こうのアメリカの長期金利の急騰(米長期国債の急落)まで引き起こしてしまいました・・・