子宮破裂の経験を話します

 

順天堂の提訴の

話題もあるしね・・

 

子宮破裂っていうのは

文字通り子宮が

破裂してしまうこと

 

帝王切開や子宮筋腫の手術など

子宮にメスを入れた経験があったり

 

陣痛が強すぎたり

(過強陣痛と呼びます)

 

もともと子宮壁が脆弱だったり

 

そういう状況だと

子宮が収縮の圧に耐えきれず

子宮が裂けてしまい

 

腹腔内に大出血して

母体の命を脅かし

 

胎児に血流がいかず

胎児死亡のリスクもかなり高い

 

そんな疾患です

 

帝王切開後の経腟分娩

(VBAC・正確にはTOLAC)

筋腫核出後

子宮収縮剤投与

 

上記のケースでは

もちろん破裂のリスクを

頭に入れつつ管理が必要です

 

あっ・・ちなみに

自分は陣痛促進剤って言葉

絶対使用しません

 

あくまで子宮を収縮させる薬で

何も陣痛を起こすためだけに

使われる薬では無く

 

現在のガイドラインでは

産後全ての妊婦(褥婦)さんに

投与が勧められている薬剤だから

 

陣痛促進剤って言葉を使っている記事は

大体が印象操作を目的にしているものだと

私は思っています

 

子宮収縮剤投与については

今までもマスメディアに

散々不当に叩かれまくっているので

 

学会からも

説明・同意書を取ること

投与方法の厳守

を散々注意喚起されています

 

子宮破裂の頻度って??

特にリスクの無いお産で

0.05%と言われていて

 

帝王切開後経腟分娩では

0.2-0.7%

(ガイドラインから)

 

数字だけみると

リスクは5-10倍!

となるけど

そもそもの頻度がかなり低いので

どこまで倍数に意味があるかはわかりません

 

年間600件お産がある病院で働いても

実際に関わるお産は100ー200件程度

 

そもそも最近は

帝王切開後経腟分娩は

激減しているので、

年間多くても数件

 

普通の産科医で

子宮破裂を経験する頻度は

 

数年に1件

 

ってところでしょう

実際私も10年間で思い返しても

 

2−3件あるかなあ

という感じです

 

それも

いかにも破裂!

というものではなくて

 

一部が裂けたり

切迫破裂といって

子宮を包んでる膜が

ペラペラに見えているケースが

ほとんどです

 

一回だけ

ものすごい子宮破裂

を経験しました

この経験は

将来妊娠を考えている女性は

子宮筋腫に対するUAE

(子宮動脈塞栓術)

はやらない方がいい!

 

矢部美穂さんのUAEって?

ダウンダウンダウン

https://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12212348620.html

 

と思うに至る大きな出来事でした

 

妊婦さんは32−3週だったかな?

切迫早産傾向があって

入院してた方

 

子宮筋腫に対してUAE既往あり

 

当直してた夜

助産師さんから電話

 

突然腹痛を自覚して

助産師さんが胎児心拍モニターを

取ろうとしたんだけど

 

胎児の心拍が取れません!

 

って言うんだよね

 

すっごいやな予感がして

超音波をしたら

なんとか赤ちゃんは生きてる

 

だけど

心拍はかなり弱い

 

お母さんの

お腹の痛がり方も

尋常じゃ無い・・

 

うわ・・

やばい・・・

 

ソウハク

注)常位胎盤早期剥離

  胎盤が突然剥がれる病気

 

病院内に

産科医は自分一人

 

近くに住んでいる医者を

全員電話で呼び出して

手術室直行

 

タイムリミットは30分

 

全身麻酔で手術を開始して

お腹を開けたら

血の海

 

え・・

なんでソウハクで

大量の腹腔内出血??

 

違和感を感じながらも

考えている時間はない

 

子宮に切開を入れて

赤ちゃんをとりあげようとしたけど・・

 

 

え・・・

 

え・・・・・・

 

赤ちゃんがいない・・・

 

 

そんなことありえない

と思いながら

 

手術に入ってくれた

目の前の先輩医師に

かなり間抜けなセリフをはく

 

「先生

赤ちゃんいません・・」

 

先輩

「んなわけあるか!

よく探せ!!」

 

そうだよね・・

 

でもいくら子宮に

手を突っ込んでも

本当に赤ちゃんがいない・・

 

・・・

ってか

なんでこんなに

子宮に手が入るんだ??

 

嫌な予感がする

 

・・・

子宮破裂してんじゃない??

 

「先輩・・

破裂してるかも・・」

 

そう言いつつ

子宮を持ち上げて

裏を見てみると

 

胎児は羊膜に包まれたまま

子宮から完全に脱出していた

はるか胃の方まで

 

子宮の裏側は

縦方向に真っ二つに裂けていた

 

今まで見たことがあった

子宮破裂のほとんどは

子宮下部が横に避けるパターンで

こんな光景は人生でも見たことない

 

・・・

ちなみに今でも無い

 

幸い

胎盤は子宮に

ついたままだったので

赤ちゃんは助かった

 

お母さんには

輸血が必要だったけど

命に別状はなかった

 

子宮は縫合して

その時は手術を終えたけど

数ヶ月後、やはり子宮に血流は戻らず

結局子宮は摘出することになった

 

そんな経験です

 

後から思い返してみれば

助産師さんが上手く

心拍モニターを付けられなかったのは

胎児が子宮から脱出してしまい

普通の位置にいなかったから

 

腹腔内出血が異常に多かったのは

ソウハクでは無くて

子宮が破裂したから

 

まあ

ソウハクにしても

子宮破裂にしても

胎児が生きていれば

やることは変わらず

 

超緊急帝王切開

 

はっきりと言えば

 

誤診はしたけど

対応は正しくて

なおかつ

結果が良かった例

(最終的に子宮は摘出したものの)

 

です

 

ただ

・もしもたまたま入院していなかったら?

・お母さんが腹痛をもっと我慢してしまったら?

・助産師さんがなんとか心拍モニターを取ろうと

 もう少し時間をかけて粘っていたら?

・最初にとりあえず痛み止めを使用してしまっていたら?

・破裂に伴って、胎盤が剥がれてたら?

 

結果は全く異なっていて

胎児は亡くなってた可能性は

非常に高い

それどころか

母体の命も危なかったかもしれない

 

結果次第では

自分は訴えられていたかもしれない

 

(・・その時の患者さんは

 間違ってもその様な方向に

考える様な方では無かったですが・・)

 

正直

そもそも高い確率で

起こりえない様なアクシデントを

ドラマの様に正確に診断することは困難だ・・

 

自分の経験例だって

おそらく

100人の産科医中99人は

ソウハクと診断したと思う

 

また一つの判断で

結果が全く異なることも多々ある

 

最近の参加医療訴訟は

結果が全て!

という感じがします

 

正直

働く側も怖いなあ

と思う今日この頃

 

まあ

みんなで産科医療

頑張っていきましょう

 

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