『小さな家のローラ』 | First Chance to See...

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 ローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな家」シリーズの第1巻『大きな森の小さな家』が、『小さな家のローラ』というタイトルで出版された。絵と監訳は安野光雅さん。

 

 

 実際に本を手に取ってみると、どのページにも安野光雅さんのカラーイラストが載っているという贅沢さにまず驚く。文章だけではわかりにくい、当時の道具の仕組み等についても詳細に描かれていて、参考になることこの上なし。こんなにもたくさんの絵が描かれた理由というか経緯については「あとがき」で安野さんご本人が説明されているが、結果としてこんなにもきれいな本が作られたことは、読者としてはめでたい限りだ。

 

 私はテレビドラマ「大草原の小さな家」をほとんど見たことがない。見たかったんだけど、私が子供の頃は家にテレビは一台しかなくてねえ。もちろん当時は録画装置なんてものもなくて、親が興味も理解も示さない番組を見るのは至難の技だったのだ。で、代わりに中学校の図書館でテレビドラマの原作本を見つけて嬉々として飛びついたのだけど、第1巻『大きな森の小さな家』を読んで驚いたことが二つ。

 

・「大草原の小さな家」の原作なのに、この本では「小さな家」は大草原じゃなくて深い森の中にある!(←うん、だからそういうタイトルになってるよね?)

 

・誰もが楽しめる健全なテレビドラマの原作なのに、いきなり豚の解体シーンがリアルに描写されてて、結構グロい………。

 

 その後、一応残りのシリーズも全部読むには読んだのだが、当時ものすごくハマっていた『赤毛のアン』ほどにはハマらなかった。で、レンタルしてまでテレビドラマを見たいという気持ちも起こらず、今日に至っているのだが。

 

 さて、安野光雅さんの装丁につられて久しぶりに読んだ本書は、こちらが大人になったせいなのかそれとも訳文のせいなのか、開始早々に飛び出すブタの屠殺シーンにも別段グロさを感じなかった。私の記憶では、昔読んだ読んだ本の中では腸とか血とかいう生々しい単語も出てきたような気がするんだがな。単なる記憶のすり替えかしら?

 

 あと、中学生の頃は少女ローラの目線で読んでいたけれど、大人になった今はつい「クマが家の周りをうろうろするような森の一軒家で子供二人を育てる親」のほうに感情移入してしまい、自力でブタは解体するわ、パンもバターも一から作るわ、服はすべて手縫いだわ、単発式の銃でクマと対決しなくちゃならないわ、それでいてバイオリンも弾けてダンスもできるだなんて、読んでてただただ「昔の人ってすごい」と感心してばかりいた。もっとも、ローラ・インガルス・ワイルダーが1932年にこの本を出版した当時の人もすでにきっと、「昔の人ってすごい!」と思ったんだろうけどね。