アルジャノン・ブラックウッドは20世紀前半に活躍したイギリスの怪奇小説作家だが、私はこれまで一度も読んだことがない。いや、より正確に、より正直に言うと、この作家の名前すら知らなかった——私のご贔屓俳優ロジャー・アラムが2005年にブラックウッドの短編小説「柳」を朗読したものが最近BBC Radio 4で再放送され、BBC iPlayerで聴けるようになるまでは。

 

　一話30分で、全4話。おっかない怪奇小説とか伝奇小説の類はあまり趣味ではないけれど、ロジャー・アラムが朗読しているというだけの理由で頑張ってリスニングしてみたところ、「ウィーンからブダペストに向けてドナウ河をカヌーで下っていく途中、人の気配のない柳に囲まれた小島に逗留したところ、謎の恐怖体験をすることになる」というお話で、いつかウィーンーブダペスト間を船で旅してみたいとぼんやり夢見ていた私と思いがけず（明後日の方向で）趣味が合致した。勿論、船旅といっても私が思い描いているのはカヌーじゃなくて素敵な客船だし、間違っても謎の小島なんかで下船したりしないけどね。

 

追伸／私はこの番組をiPhoneにダウンロードしたBBC iPlayerのアプリで聴いたが、このアプリだと番組はタイトルの最初の文字で検索されるため、'The Willows'とか'Roger Allam'ではなく'Algernon'と入力しないと見つからなかった。ちょっと不便。