ちばあきおの『キャプテン』という野球漫画が大好きです。
『キャプテン』 は、『月刊少年ジャンプ』で1972年2月号から1979年3月号にわたって連載されました。
また、1983年には日本テレビでアニメ化され、2007年には実写映画も作られました。
もう漫画本編の連載からはかなりの年月が経っているのですが、今なお、根強い人気のある作品だと思います。
この作品の良さはたくさんあるのですが、僕が惹かれているポイントは
1.等身大の少年たちが描かれている。
2.見事なまでに女っ気が無い。
の2点に集約されるのではないかと思います。
『キャプテン』の舞台となる墨谷二中野球部には、超越的なスーパースターは誰一人として居ません。彼らは、野球が大好きなごくごく普通の中学生であって、ごくごく普通に未熟ですし、欠点もいっぱい持っています。だからこそ、「ああ、そうだよなあ」と共感できるところもたくさんあります。
そんな等身大の少年たちが、摩擦や葛藤をひとつひとつ乗り越えながら、直向きに練習を重ねていきます。確実に、半分以上が、野球の練習か試合のシーンだと言っても過言ではないでしょう。
そして、出てくるのはひたすら、男・男・男……です。見事なまでに女が出てきません。レギュラー的に出てくる女性といえば、谷口タカオの母ちゃんくらいでしょう。あとは、応援に来た女生徒がちらちらと映る程度です。
恋愛要素など、入り込む余地はありません。もちろん、描かれていないところでは色恋もあったのでしょうけれど、徹底してそういうところを描かないのです。
『キャプテン』というタイトル通り、キャラの異なるキャプテンたちの奮闘が描かれています。
それぞれに愛着があって、語り始めたらきりがないので、ごくごく簡潔に紹介してみましょう。
(1)谷口タカオ
『キャプテン』の中核をなす重要人物です。すべては彼から始まったと言ってもいいのかもしれません。
野球の名門である青葉学院で“2軍の補欠”だった谷口は、2年生の途中で墨谷二中へ転校してきて、野球部へ入部します。当時の墨二野球部は弱小で、谷口は「ここならのんびりと野球を楽しめそうだ」と喜んでいました。
しかし、ふとしたことから彼が青葉学院からの転校生であることを部員たちに知られてしまいます。谷口は自分が“2軍の補欠”だったと言い出すことが出来ませんでした。周囲の期待に応えるために、夜の神社で父親と一緒に壮絶な努力を積み重ねていきます。この陰の努力が実り、谷口は力をつけることができました。そして、前キャプテンから次期キャプテンに指名された谷口は、様々な試練を乗り越えながらもチームを率いて、古巣である青葉学院を相手に善戦します。
ポジションはサードです。
谷口の父ちゃんがとても良い味わいを出していると思います。気弱な息子・タカオを鼓舞して、奮起させたのはこの父ちゃんです。神社で一緒に練習するシーンや、木陰から見守っているシーン、肩を抱き慰めるシーンなど、父親の厳しさとやさしさが描かれています。
また、先代のキャプテンも好人物です。人望もあり、冷静にものを見極める目もあり、なぜ彼がチームを立て直せなかったのかが少し疑問なほどです(^^;
なお、高校生になった谷口タカオを主人公に据えた作品に、『プレイボール』があります。こちらについては、また記事を改めて書いてみたいです。
(2)丸井
谷口の引退後、キャプテンに就任したのが丸井でした。セカンドを守る、小柄の選手です。
きわめて直情型の性格で、すぐ調子に乗ったり激高したりします。単純で熱い男ですね。
一年後輩のイガラシとは、当初は折り合いがかなり悪く、まさに犬猿の仲でした。
(よくよく見てみると、丸井は犬っぽくて、イガラシは猿っぽいような気もする)
しかし、次第に丸井とイガラシは、上手く連携し合うようになっていきました。リーダーシップを取りたがるものの、感情的で視野が狭くなりがちな丸井に対して、沈着冷静なイガラシが名参謀として機能するようになった感じですね。
丸井は情に厚いところがあって、面倒見の良さもあります。『キャプテン』では、引退後にもたびたびOBとして顔を出しては、後輩のためにあれやこれやと世話を焼くのです。そういうこともあって、おそらく登場期間が一番長い人物なのではないかと思います。
なお、丸井のファーストネームは分かりません。『キャプテン』では、ファーストネームが分からない人物が多いので、異例ということではないのですが、丸井ほどの重要人物ですら名字しか分からないというのも、すごいことのように思えます。
(3)イガラシ
丸井の次のキャプテンがイガラシです。彼もまた、たいへん小柄の選手です。
クールな性格で、「学年で10番以内の成績」ということで、学力も高いようです。野球の技術も高くて、多くのポジションを守ることが出来ます。
1年生の時には、先輩に対しても歯に衣着せぬ生意気な言葉を投げつけては、部内に険悪な雰囲気をつくることもしばしばでした。特に丸井との折り合いは悪く、丸井には「猿かラッキョみたいなやつ」という形容をされていました。
2年生になると、少し大人になったイガラシは、名参謀としての役割を果たすようになりました。丸井 - イガラシ の体制は、実にうまく機能していたと思います。
3年生になったイガラシは、知将としてチームを引っ張り、全国優勝を果たすに至りました。この、優勝を果たすまでの一戦一戦は、どれも読んでいて面白いです。
僕が『キャプテン』で一番好きなキャラクターは、イガラシです。たぶん、僕自身に一番近いのも、イガラシだと思います。
中高生の頃は、イガラシに移入しながら読んでいたような気がします。今となっては、とてもかわいいキャラですね。イガラシの抱き枕とか、抱いて寝たいです(←黙れ
ところで、イガラシには弟がいます。シンジという名前です。
この兄弟、外見はそっくりなのですが、性格はだいぶ異なります。
イガラシ(兄)は先述の通り、我の強い人物です。それに対して、弟のシンジは、温厚で人当たりの良い人物なのです。
世渡りも、シンジの方が上手そうですね(^^;
イガラシ(兄)のファーストネームも不明なのですが、弟がシンジならば、シンイチあたりでしょうかね。
イガラシの実家は中華料理屋であることが描かれています。2階に兄弟の部屋があるようです。原作を見ていると、イガラシ(兄)はランニングと白ブリーフのままで寝ているのに対して、シンジはきちんとパジャマを着て寝ているようです。そういうところにも、性格が表れるのだなあと、なんだか興味深いところです。
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原作は、文庫本で15巻になります。
アニメは、全26話です。いろいろと差異はありますが、概ね原作に副った展開になっています。
実写映画は、およそ100分の作品です。原作とは違う部分も多いですが、原作の世界観は大切にされているのではないかと感じます。
『キャプテン』 は、『月刊少年ジャンプ』で1972年2月号から1979年3月号にわたって連載されました。
また、1983年には日本テレビでアニメ化され、2007年には実写映画も作られました。
もう漫画本編の連載からはかなりの年月が経っているのですが、今なお、根強い人気のある作品だと思います。
この作品の良さはたくさんあるのですが、僕が惹かれているポイントは
1.等身大の少年たちが描かれている。
2.見事なまでに女っ気が無い。
の2点に集約されるのではないかと思います。
『キャプテン』の舞台となる墨谷二中野球部には、超越的なスーパースターは誰一人として居ません。彼らは、野球が大好きなごくごく普通の中学生であって、ごくごく普通に未熟ですし、欠点もいっぱい持っています。だからこそ、「ああ、そうだよなあ」と共感できるところもたくさんあります。
そんな等身大の少年たちが、摩擦や葛藤をひとつひとつ乗り越えながら、直向きに練習を重ねていきます。確実に、半分以上が、野球の練習か試合のシーンだと言っても過言ではないでしょう。
そして、出てくるのはひたすら、男・男・男……です。見事なまでに女が出てきません。レギュラー的に出てくる女性といえば、谷口タカオの母ちゃんくらいでしょう。あとは、応援に来た女生徒がちらちらと映る程度です。
恋愛要素など、入り込む余地はありません。もちろん、描かれていないところでは色恋もあったのでしょうけれど、徹底してそういうところを描かないのです。
『キャプテン』というタイトル通り、キャラの異なるキャプテンたちの奮闘が描かれています。
それぞれに愛着があって、語り始めたらきりがないので、ごくごく簡潔に紹介してみましょう。
(1)谷口タカオ
『キャプテン』の中核をなす重要人物です。すべては彼から始まったと言ってもいいのかもしれません。
野球の名門である青葉学院で“2軍の補欠”だった谷口は、2年生の途中で墨谷二中へ転校してきて、野球部へ入部します。当時の墨二野球部は弱小で、谷口は「ここならのんびりと野球を楽しめそうだ」と喜んでいました。
しかし、ふとしたことから彼が青葉学院からの転校生であることを部員たちに知られてしまいます。谷口は自分が“2軍の補欠”だったと言い出すことが出来ませんでした。周囲の期待に応えるために、夜の神社で父親と一緒に壮絶な努力を積み重ねていきます。この陰の努力が実り、谷口は力をつけることができました。そして、前キャプテンから次期キャプテンに指名された谷口は、様々な試練を乗り越えながらもチームを率いて、古巣である青葉学院を相手に善戦します。
ポジションはサードです。
谷口の父ちゃんがとても良い味わいを出していると思います。気弱な息子・タカオを鼓舞して、奮起させたのはこの父ちゃんです。神社で一緒に練習するシーンや、木陰から見守っているシーン、肩を抱き慰めるシーンなど、父親の厳しさとやさしさが描かれています。
また、先代のキャプテンも好人物です。人望もあり、冷静にものを見極める目もあり、なぜ彼がチームを立て直せなかったのかが少し疑問なほどです(^^;
なお、高校生になった谷口タカオを主人公に据えた作品に、『プレイボール』があります。こちらについては、また記事を改めて書いてみたいです。
(2)丸井
谷口の引退後、キャプテンに就任したのが丸井でした。セカンドを守る、小柄の選手です。
きわめて直情型の性格で、すぐ調子に乗ったり激高したりします。単純で熱い男ですね。
一年後輩のイガラシとは、当初は折り合いがかなり悪く、まさに犬猿の仲でした。
(よくよく見てみると、丸井は犬っぽくて、イガラシは猿っぽいような気もする)
しかし、次第に丸井とイガラシは、上手く連携し合うようになっていきました。リーダーシップを取りたがるものの、感情的で視野が狭くなりがちな丸井に対して、沈着冷静なイガラシが名参謀として機能するようになった感じですね。
丸井は情に厚いところがあって、面倒見の良さもあります。『キャプテン』では、引退後にもたびたびOBとして顔を出しては、後輩のためにあれやこれやと世話を焼くのです。そういうこともあって、おそらく登場期間が一番長い人物なのではないかと思います。
なお、丸井のファーストネームは分かりません。『キャプテン』では、ファーストネームが分からない人物が多いので、異例ということではないのですが、丸井ほどの重要人物ですら名字しか分からないというのも、すごいことのように思えます。
(3)イガラシ
丸井の次のキャプテンがイガラシです。彼もまた、たいへん小柄の選手です。
クールな性格で、「学年で10番以内の成績」ということで、学力も高いようです。野球の技術も高くて、多くのポジションを守ることが出来ます。
1年生の時には、先輩に対しても歯に衣着せぬ生意気な言葉を投げつけては、部内に険悪な雰囲気をつくることもしばしばでした。特に丸井との折り合いは悪く、丸井には「猿かラッキョみたいなやつ」という形容をされていました。
2年生になると、少し大人になったイガラシは、名参謀としての役割を果たすようになりました。丸井 - イガラシ の体制は、実にうまく機能していたと思います。
3年生になったイガラシは、知将としてチームを引っ張り、全国優勝を果たすに至りました。この、優勝を果たすまでの一戦一戦は、どれも読んでいて面白いです。
僕が『キャプテン』で一番好きなキャラクターは、イガラシです。たぶん、僕自身に一番近いのも、イガラシだと思います。
中高生の頃は、イガラシに移入しながら読んでいたような気がします。今となっては、とてもかわいいキャラですね。イガラシの抱き枕とか、抱いて寝たいです(←黙れ
ところで、イガラシには弟がいます。シンジという名前です。
この兄弟、外見はそっくりなのですが、性格はだいぶ異なります。
イガラシ(兄)は先述の通り、我の強い人物です。それに対して、弟のシンジは、温厚で人当たりの良い人物なのです。
世渡りも、シンジの方が上手そうですね(^^;
イガラシ(兄)のファーストネームも不明なのですが、弟がシンジならば、シンイチあたりでしょうかね。
イガラシの実家は中華料理屋であることが描かれています。2階に兄弟の部屋があるようです。原作を見ていると、イガラシ(兄)はランニングと白ブリーフのままで寝ているのに対して、シンジはきちんとパジャマを着て寝ているようです。そういうところにも、性格が表れるのだなあと、なんだか興味深いところです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原作は、文庫本で15巻になります。
アニメは、全26話です。いろいろと差異はありますが、概ね原作に副った展開になっています。
実写映画は、およそ100分の作品です。原作とは違う部分も多いですが、原作の世界観は大切にされているのではないかと感じます。
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