羹に懲りて膾を吹く | 会計事務所応援 ブログ

羹に懲りて膾を吹く

みなさん、こんにちは。

 

事務所に一人退職者が出て、
慌てて欠員補充のために募集をかけ
たまたま良い人材にめぐり合えて
事なきを得るのはよくあることです。

 

しかし、ほっとしたのも束の間、
一ヶ月二ヶ月しないうちにまた退職。

 

その間に引継ぎの担当件数をめぐって
揉めに揉めたのち二人目の欠員発生。

 

一気に所内体制に危機感が生まれます。

 

そんなことが数か月の間に
何度か繰り返されると...

 

そこまで入社する人材の資質や保有資格は
厳密にチェックし、

また、所内の人件費についてもシビアにシビアを極めたような
切りつめ方をしてきたはずの
所長先生のこれまでの基準や感覚が
突然崩壊してしまうことがあります。

 

採算度外視で、

現職員さんの給与体系など全く考慮に入れていないかのごとく
いまだかつてない好条件を提示のうえ
税理士資格者や経験者の獲得に走り、

 

あるいは顧客件数との兼ね合いなどは
無視されているかのごとく人数集めに奔走する場面に
私たちは何度となく遭遇してきました。

 

“たかが一人の退職者が出るだけで、
 事務所内が右往左往するのはもうこりごりだ”

という先生のホンネが見え隠れする状況ですが、

 

身の丈に合わない待遇、
基準に合わない人材をどんなに集めたところで、

これまで積み重ねてきた事務所の文化に
簡単になじんでくれるほど甘くはありません。

 

そして、また振り出しに戻ってしまう。

 

退職者が出る理由を、
「退職者個人の問題」として片づけてしまうと
このような『負のスパイラル』から
なかなか抜け出すことができないのです。

 

これを「事務所の運営方法(しくみ)の問題」と
捉えることさえできれば、どこかの時点で

必ず『負のスパイラル』に
歯止めをかけることができると私は思うのです。

 

例えば航空業界の場合、

航空事故が起きた際、
その事故原因を「パイロット個人の問題」として
片づけていたような時代は、
なかなか事故件数が減りませんでしたが、

 

パイロット個人を断罪するのに終始するのではなく、
なぜ事故が起きてしまったのかを
パイロットからの証言や事故検証をもとに

業界全体として
操縦技術や配置するスイッチの位置や機能、
運行のルールの改善を繰り返してきたことから
現在の安全運航の体系が
確立されていったのではないでしょうか。

 

もちろん個人個人の能力は高ければ高いに
越したことはありませんが、

その能力をいかんなく発揮してもらうためにも、

 

組織としてのしっかりとした
ルール、仕組みが必要なのです。

 

立て続けに退職者が発生し、
つい感情的になって、
冷静な対応ができなくなってしまう背景には、
このような問題が潜んでいるのではないでしょうか。


複数の人間が同じ場所で
同じカテゴリーの仕事をしているのが
会計事務所です。

 

ということは、たかが仕組みされど仕組みなのだと

私は思うのですが...。

 


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