鍼灸師はツボに針を刺す人というイメージがあるようですが、あまり知られていない事に鍼灸師の正式名称が「はり師」と「きゅう師」の二つの国家資格有資格者であることと、そのため巷に出回る健康情報よりもちょっとだけ突っ込んだ現代医学を専門機関で学んでいるということがあります。
それを知って知らずか（当院に来る患者さんにはさりげなく伝えているので知ってるはず
）
鍼灸院に来る患者さんはそれなりに健康に関心の高い方達でして、
たまたま今日は３人の患者さんから脳梗塞関連の質問を受けました。
人の不幸に関する事なのでちょっとブログでは扱いづらい内容だとは思ったのですが、知っていれば善処できて命が救われたかもしれないし、まだ他にも知らない人がいるかもしれないということで、以下の会話を基に今回はシェアしときます。
【開業当初から利用して頂いているOさんとの本日の会話より】
Oさん:「ね～先生、座骨神経痛で死ぬことってあるのかしら？怖いわね」
私 :「はぁ、それは・・・聞いたことはないですね」
Oさん:「こないだ近所のご主人が亡くなったでしょ、その前の日曜日にうちの主人と野球していてね、そのときに腰から下の足まで痛くなったから近くのA医院へ行ったんですって。そしたら座骨神経痛って言われたらしくて、それからすぐに亡くなっちゃったのよ。」
私 :（ああ、そういうことですか）「その時おかしかったの足だけだったのですかね？」
Oさん:「いや～詳しいことは分からないけど・・・座骨神経痛だって湿布渡されたけど、それから寝込んでたって」
私 :「A医院行く前に、手とか目とか話し方とかで何か変だったとか言ってませんでした？」
Oさん：「前は分からないけど、そういえば寝込んでからうちの主人が心配して電話掛けたら、元気ない感じで言葉が聞き取れないぐらい弱々しかったって・・・。その４時間後よ亡くなったの。もう主人もショックで・・・」
私 ：「う～ん、それって呂律が回ってなかったのかもしれないですね。そうすると、座骨神経痛じゃなくて脳梗塞の前兆だったんじゃないですかね～」
Oさん：「エ～！！あらぁ～脳梗塞なの～。じゃあ、座骨神経痛って言われたのはなんだったのかしらね？」
私 ：「今聞いた話しだけなので見てないからホントに脳梗塞だったかどうかは分からないですよ。でも脳梗塞の前兆症状ってずーっとあるわけじゃなくて、まだらに出ることがあるんですよ。診察されている時には出てなかった症状だったから、そこの先生も気づかなかったんじゃないですかね～。それで足と腰が痛いってことなので座骨神経痛になったんじゃないですかね」
Oさん：「あらそう～。。。私も足痛いの脳梗塞が原因かしら。わたしも死んじゃうのかしら！？」
私 ：「いやいや、Oさんのはケガじゃないですか」
Oさん：「そうだった」
私 ：「それにこう話していても普通だし、手とかシビレたりしてないでしょ？大丈夫ですよ」
「あとね、今は脳梗塞になっても、tPAっていい薬があるから大体３時間以内なら後遺症も出ないように治せるっていうので心配ないですよ。だから、もし身近な人が急に足が痛いとか手が痛いとか言い出して、さっき言った事をまた言い出す様な短期的な健忘症状がみえたら、すぐに大きな病院に連れて行って検査したほうがいいので覚えておいてくださいね」
Oさん：「分かったわ、これからはうちの主人のことよく観察するわ」
という内容だったのですが、まず確認しておきたいことは
脳梗塞が全て命に関わると言う事ではありませんので誤解しないでください。
ただ、脳の出血の場所によっては身体に後遺症（麻痺）が残ってしまうし、命に関わる場所で出血している可能性もゼロではないということです。これは病院でCTを撮らないと分かりません。なので、脳梗塞の前兆かな？と疑問に思ったら、経過観察などしていないで、すぐに救急車を呼びましょう。tPAにも適応条件（ワーファリンを服用していないなど）がありますがそこら辺は病院に任せることにして、素人判断すべきではないでしょう。
３時間以内の早期発見早期治療ってかなり慌ただしいですので、迷っている暇はないですよね。少しでも知識があれば意外と冷静にすばやく対応できるってものです。
ちなみに鍼灸にも「脳圧を下げる鍼」というのがあって、うちの鍼の師匠（元看護師）は病院で結構効果をあげていたそうです。
なので、「あんたも何かあったときは必ずやりなさいよ」と言われてるけど、幸いにもまだその様な場面には当たってません。
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