まるちゃんの めざせ!快適シンプルLife

本当の幸せを見つけて・・・
  第2の人生を歩き出した
      まるちゃんの徒然日記
    
 

「すばらしい新世界」 オルダス・ハクスリー著 黒原敏行翻訳

2016年09月20日 | 読書

     すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

光文社古典新訳文庫 kindle版

【西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給によって、人類は不満と無縁の安定社会を築いていた。だが、時代の異端児たちと未開社会から来たジョンは、世界に疑問を抱き始め…驚くべき洞察力で描かれた、ディストピア小説の決定版!】

少子化問題は、徹底管理され計算しつくされた人間の工場生産で解決。(試験管ベイビーで、一つの卵から最大96人の人間ができる。双子ならぬ九十六子。しかも卵の成熟速度アップによって一人で2年で150個の卵ができる。2年で一人の女性から1万人以上の子どもを作ることが可能)正常な生殖機能は1200人に一人もってれば十分。残りの女性は不妊処置が胎児のうちにされる。

したがって、人間が子どもを”産む”ということは、「条件付け教育」(睡眠教育、刷り込み、、、)によって卑猥なことと洗脳される。親、母親、父親、という言葉も卑猥な言葉で、NGワード。死語。卑語。家族、家庭はない。毒親の問題も起こらない。みんな「条件付けセンター」でしっかり育てられる。

みんな仲良し。妊娠する心配がない(生殖機能を持つ人もきちんと避妊するよう洗脳)ので、肉体関係はただの遊び。誰とでも”遊ぶ”ことが奨励される。あなたはなんでみんなと”遊ば”ないの?みんな仲良し。孤独は奨励されない。”誰もがみんなのもの”

条件付け教育によって、死は恐れるものではないことが刷り込まれる。医学の進歩によって、60才ころまでは17才の体力を保ち若いまま、そして短期間で急激に老化してぽっくり死ぬ。終末医療センターで、多分安らかに。児童のセンターへの見学学習(条件付け教育の一環)あり。

胎児の間に、人工的に能力の差をつけられ社会階級が決定される。(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、エプシロン階級)資質によって最適人数を配分できる。能力にあった職業に就き、誰も自分の現状、運命に不満をもたない。それぞれに、あの階級でなくてよかったと満足。条件付け教育のおかげ。なぜ、高い知能のアルファ階級だけにしないかというと、その中でなぜ自分がこんな単純作業をしなくてはいけないのかなどと不満が出てくるから。

階級付けによって、厳しい環境で作業をする運命になった人間も、その環境を好むように条件付けされているので、それを不幸と感じない。誰もが自分がやらなければいけないことを好む人間になっている。

みんな満足して暮らしている。神も宗教も必要ない。

”誰もがみんなのために働く。いなくていい人などいない。エプシロンでさえ役に立つ”

それでも、ちょっと憂鬱になったりイラっとするときのために、「ソーマ」という錠剤が配布されている。これを飲めば気分は明るく愉しくスッキリ。”鬱かなと思ったら早めのソーマ”

自然は”無料で”楽しめてしまうので、大衆には自然を嫌うと同時に”経済的”で健全な田園地帯でのスポーツを愛好するように”条件付け”をしている。大量消費の奨励。

文学は奨励されません。非消費活動だし、感情的感傷的で、この世界になじまないから。古いからです。・・・誰もが今を生きるのです。なんの不満も疑問もなく。これがみんなの”常識”なのです。

 

・・・・・・と、ここまで読んで、この世界をどう感じますか?ユートピア?みんな不満がないならいい?確かに、寿命は恐れの対象ではないし、やるべきことを楽しめるのはいいこと。神を必要としないで、互いに今を明るく生きることができるのはいい。でも、

ここに大きな問題があることに気がついた?

この世界国家のモットーは”共同性、同一性、安定性”

資本主義国家(世界)が効率と人間の”満足”感(幸福と言っていいものかどうか)を追求し続けるとこうなる、可能性がある。

繰り返しの洗脳(条件付け)教育って、恐ろしいものです。
>一晩に100回、週に三晩、それを4年間、・・・・・6万2400回の反復で真理がひとつできあがる。馬鹿どもめ! 

多様性個人の自由がない。多様性を認め合って補い合うという自由がない。多様性を苦しみの元だとして否定してるのです。

自由の中には苦しむ自由というのも含まれるけれど、苦しむ自由より苦しまない不自由を選択しているのです。なんで二者択一なの??多様性の中にあって苦しまない自由だってあるでしょうに。なんで社会が決める??(戦争や争いがないのはいいことだと思うけど、、、)

苦しまない=快楽、ではないし、苦しみは乗り越えるもの。
みんな仲良しで
快楽はあるけど、無償の深い愛や慈しみを感じられない・・・(家族愛など存在しない)。 

条件付け教育、洗脳教育。自ら気づき、自ら能力を向上させるのではないのです。総合的な理解や広い視野をもつことは奨励されない、必要ないからって、、、。

あ~、違うんだなあ・・・。行きすぎてるし、(強制感はないだろうけど)自然じゃない。『一九八四年』の監視社会は嫌(怖)だけど、お仕着せの幸福(なのか?)も嫌だなあ。薄っぺらいんだなあ・・・。

生かされるのではなく生きたいのです。自分の意志で、自分で選択しながら、自分の人生を。それがどんな世界であっても。(完全洗脳されてたら、自分の意志だと信じこんでるからいいのか?いやいや、欲も無知も乗り越えてないし・・・薬に依存してるし・・・気づきや学びが・・・やっぱり理性的ではないし・・・)
これって、個人(ワタシ)の好みの問題? 

しかも、未開の社会は残ってるわけで(人間工場での手違いも)。どっちがいいとも言えない。 

結局、人間”社会”ではユートピアを”作る”ことは無理ってことかな。
ユートピアは必要ないってことかもね。 

この作品、昭和七年(1932年)の作です。びっくり。全然古くない。
現代社会と比べてみると考えさせられて面白いです。

こちらも参考に、より詳しい解説→クリック  

星5つ 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ スローライフへ 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最新VRゲームについて | トップ | 「ヴィンセントが教えてくれ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (ふく)
2016-09-20 14:07:02
びっくりしたので久しぶりにコメントしてます
この本、私の大学卒業論文のテーマでした。担当教授の勧めで何となく選び、一応原書は買ったもののちんぷんかんぷんなので日本語訳を読んで初めて内容を把握してぎょっ
「私、こんな本いやだ~!」と思いながらも仕方なく論文というより感想文めいたものを綴り、あやしい英訳をし、英文タイプを練習して(ワープロじゃないよ、タイプだよ)清書して、ぎりぎりに提出するという、悪夢のような日々を思い出しました。
あの当時は、こんな世界ありえないと思っていましたが、今は、こんな世界に通じるような人間のいろいろな心の闇が、あちこちに見え隠れしているような気がします。
今、読み返したら、私もまた違う視点で考えることができるかな。
ま、あのバタバタの悪夢が蘇りそうなので、きっと二度と読まないだろうけど・・・
それにしても、まるちゃん、こんな本にどうやって出会ったの???
ふくさん、こんにちは。 (まる)
2016-09-20 16:35:29
ええ~、ふくさんの卒論のテーマでしたか。
英語で書いたんですか?す、ご~い。

これは、←のブックマークにある「読書ログ」というサイトに参加してるのですが、「一九八四年」というSF小説を昔読んでて、そのレビューのコメントの中で興味をもって、読んでみようと思ったのです。kindleで読みました。
新訳だからか、とても読みやすかったです。
ふくさんもまた、読んでみてください。ん十年前とはちがう感想をもつかもしれないですよ。^^
映画 (都月満夫)
2016-09-21 13:54:47
これと似たような内容の映画がありました。
チャールトンヘストンの主演で「グリーン・・・・・なんとか?」という映画です。
ある年齢に達すると。幸せの絶頂を味わいながら殺されるというものです。
人は生産され、一部は食料とされるというものでした^^
したっけ。
都月さん、こんにちは。 (まる)
2016-09-21 15:37:47
調べてみました。「ソイレント・グリーン」という映画ですね。
これは人口が多くなりすぎて、格差がすごく広がり、食糧難になって・・・という話らしいです。2020年という設定で。
DVDあったら借りてみようかな。
でも、妙にリアルでこわいような・・・。^^;

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事