「俺が離婚したらお前は

 ミナトと別れるのか?」
「………。」
 これがバランスの本音。

 お互いを脅迫

 しあう状況で

 バランスを取る

 ようなものだとゆづるは

 思った。

 ゆづるが黙ってしまい、

 松坂も少し黙った。
 それから松坂が

 話し出した。
「難しいよな。

 お前を愛するのは。

 これが潮時

 なのかもしれないな。」
「なんでだよ?!!」
「子供を持ってみて、

 本当に可愛いと

 感じている俺がいる。

 親権を失うのが

 怖いんだ。
 愛する子供の成長を

 見ていたいんだ。」
「俺より子供を取るんだな。

 俺は父親から見捨てられ、

 母親から裏切られ、
 どっちも俺の親権なんて

 拒絶した。

 俺が金を得てさえどっちも

 無視だ。

 俺を愛せないんだ。

 両親に愛されてる

 あんたの子供が

 羨ましいよ。」
「ゆづる…。

 お前が不幸な家庭に

 育ったからって

 俺の子供まで不幸には

 できないんだよ。」

 ゆづるは心外すぎて

 傷ついた。
「違う!!そうじゃない!!

 そんな事を

 言いたかったわけじゃない。

 俺はそんな…。

 もういい…。

 あんたが別れたいなら

 いいよ。でも
 こんな電話一本で

 別れるなんて嫌だ。

 別れるならちゃんと

 顔を見て別れたい。」
「ああ、俺もだ。また連絡する。」

 電話は唐突に途切れた。


 

 

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