豪は後ろから

 梓の手の

 ペットボトルを取って、

 カバンにしまうと

 背中に立って、

 絶対に一成の顔を
 見せないように

 両肩に置いた

 手に力を込めた。
「おにいちゃま…。」
 やっぱり兄は少し

 変わってしまった。

 梓ははしゃぐ気持ちが

 しぼんできた。
 すると向こうから誰か、

 人がやってきた。
 もしも人違いだと

 最悪の失敗に

 繋がると思った豪は、

 さりげなく
 梓の背後から両手で

 梓の目を覆った。
「なあに?」
 なんの遊びかと

 戸惑う梓に応えず、

 豪はブツブツ呪文を

 唱えた。
 そこに田村豪の姿が

 やってきた。

 薄暗くなった境内に、

 やってきた「自分」の姿に
 豪は勝利感を抱いた。
 俺だ!!やった!!!
 人違いではなく、

 約束の時間通り

 一成がやってきた。
 

 

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