金持ちになって

 女にモテて、

 「田村」のしがらみと

 永遠に縁を切りたいと

 最初の最初は
 思った事もある。

 それが今は

 痩せた母の胸に

 しがみついて

 泣きたいくらいだ。
 コンクリが所々

 剥がれた階段を上がり、

 3階の一番奥の

 家に向かう。
「俺んちだ。

 やっぱ俺は田村豪なんだ。

 帰りたいよ母ちゃん。」
 千堂を捕まえて

 無理やり体液交換して

 元に戻って、

 この悪夢を終わらせたい。
 もう二度と

 誰か別の人間に

 なろうなんて考えない。

 自分は自分だ。

 自分が一番大事だ。
 奥の家の前に来て、

 やっと帰った

 我が家のドアを

 開けようとした。
 いつものように

 カギはかかっていないと

 思い込んで

 思い切りドアノブを

 引っ張ったら
 しっかり鍵が

 かかっていてガンっと

 大きな音がしてしまった。
「なんだ?鍵掛かってるぞ?」
 普段鍵を

 かけない家なのに。

 仕方なくドアをガンガン叩くと

 鍵が開いて玄関に

 出てきたのは工だ。
「…???」

「工、俺だ!!」
 弟は目を丸くしていた。

 

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