聖書は世界中の芸術や文学に広範囲な影響を与えています。歴史を通して、聖書に出てくるテーマに関連したオペラ、音楽、詩、映画、絵画、彫刻、小説などが数多く存在しています。聖書が世界各地の文化と密接に結び合っているのは、否定することができません。
今回は聖書に関連したオペラ・バレイ音楽・その他を紹介したいと思います。
聖書を題材としたもっとも有名なオペラはサン・サーンス saint-saens の「サムソンとデリラ」であると言う人もいます。 「サムソンとデリラ」のストーリーは旧約聖書の士師記に基づいています。
オペラではデリラの妖艶さが魅力的な音楽と演技により強調されているということです。オペラは聖書から少し離れているかもしれません。
Saint Saens arie My heart opens itself to your voice from Opera Samson and Delilah
イタリヤのベルディのオペラに「ナブッコNabucco 」があります。これは、フィクションで聖書に正しく基づいた物語ではありませんが、聖書に登場するバビロンの王や、エルサレムの祭司、バビロン、エホバ神などを劇に取り入れています。
(verdi)ナブッコの作曲者ベルディ
スカラ座での「ナブッコ」の初演時、聴衆がアンコールを求めた合唱曲は第4幕第2場の「偉大なるエホバ」であったとされています。
Il nome di GEOVA nel Nabucco di Verdi: Immenso Jehovah (sottotitoli del testo)
『放蕩息子』は、ロシア・バレエ団 バレエ・リュスによる最後のバレエ作品です。セルゲイ・プロコフィエフが同バレエのための音楽を作曲しました。
バレエ・リュスの主宰者から、誰もが理解できる簡単なストーリーを考えるよう求められたボリス・コフノは、聖書のルカによる福音書に登場する放蕩息子の寓話を主題にすることを提案し、このアイデアが採用されました。
1929年、バレエ・リュスのパリ公演において、プロコフィエフ自身の指揮により初演されました。
『シバの女王ベルキス』は、オットリーノ・レスピーギが最後に手掛けたバレエ音楽で、1930年から1931年にかけて作曲されました。シバの女王とは、ソロモンの知恵を聞くために遠路はるばるエルサレムにやってきた古代の女王です。
『神の国』は、エドワード・エルガーEdward Elgar が作曲した複数の独唱者、合唱と管弦楽のためのオラトリオです。初演は1906年のバーミンガム音楽祭において行われ、作曲者自身が指揮しました。この作品は特にイングランド国内では優れた合唱団体に歌われ続けています。
曲は5つの部分から成ります。テクストは使徒言行録からエルガーが抜粋したものですが、福音書をはじめとする他の資料から採られている部分もあります。
Calliope: Highlights from Elgar's The Kingdom
舞踊音楽「サロメ」は、1948年(昭和23年)に伊福部昭が貝谷バレエ団創立10周年記念として作曲したバレエ音楽作品です。1987年に演奏会用作品『舞踊曲「サロメ」』として改訂されました。
銚子商業 1979年 楽劇サロメより 7つのヴェールの踊り
『ヨハネの黙示録より』Apocalypsis は、アナトーリ・リャードフ Liadov が1912年に完成した管弦楽曲です。演奏時間は約9分です。リャードフの最晩年にあたる1910年から1912年にかけて作曲されました。
標題は「ヨハネの黙示録」第10章から採られており、天使が地上に降り立ち、その叫びにあわせて雷鳴がとどろく様を表現しています。1912年にジロティの指揮によりサンクトペテルブルクで初演されました。
A. Liadov -2/2- Fragment from the Apocalypse, op. 66 - Utrecht Studenten Concert - Bas Pollard
『世の終わりのための四重奏曲』は、1940年にオリヴィエ・メシアンが作曲した四重奏曲です。第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、ゲルリッツにあった収容所に収容されていたときに作曲されました。曲想は『ヨハネの黙示録』10章に基づいています。
リストはオラトリオ「キリスト」を作曲しています。ブルックナーは「詩編第150編」を作曲しました。
このように、聖書を題材としたオペラ、バレイ音楽、オラトリオなどは少なくありません。聖書は世界中の芸術に影響を与えています。キリスト教の文化の存在を否定するべきではないでしょう。