忘れてしまうことと忘れられないこと、どちらが幸せなのか ~母の死と父の認知症~ | 小日向るり子の徒然ブログ

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心理カウンセラー小日向るり子のブログです。
職業「カウンセラー」としての枠を少し外して、人間心理、人間観察、恋愛心理、日々のことなどをつづります。

母が亡くなりました。

目に帯状疱疹ができたので医者に連れて行ったところ、医者からの帰りに意識が遠のいたので総合病院に入院させます、とケアマネさんから電話があったのが3月27日。

当日の検査では異常なく「ストレスでしょう」との診断だったのに、翌日も意識が遠のき、再検査をしたところ、胆のうがんで余命3ヶ月との宣告。

 

そしてがん宣告を受けてから、5日目の朝、亡くなりました。

 

父親は認知症なので、母が亡くなったことを10分経つと忘れてしまい、最後の瞬間はベッドの横で見ていたにも関わらず、葬儀の日まで

「母さんは死んだのか?」

を1日に何度も繰り返しました。

「そうだよ、死んじゃったんだよ」

と言うと、友引のために1日家のベッドで横たわっている母の頭に手をあてて

「ほんとだ、もう冷たいな」

というのです。

そして、

「はあー、死んじゃったのか・・・」

と言ってお線香をつけて手を合わせる。

 

しばらくすると

「おい、母さんは寝ているのか」

と聞く。

「そうじゃないよ、死んじゃったんだよ」

と私。

「そうかー、大家には報告した方がいいかな」

「さっきお線香あげに来てくれたでしょ、お父さん、自分で大家さんの家に報告に行ったでしょ」

「そうだったか?」

そして、寝ている母のところに行き

「おい、母さん、起きろ」

と言って、額をポンポンたたき

「あら、本当に死んじゃったのか」

といって大きくため息をつく。

 

葬儀の日まで

「これからどこに行くのか?」

「お母さん死んじゃったからこれから葬儀所にいくんだよ」

こんな会話を何百回としたかわからない。

喪服を出しても5分経つと「喪服はどこだ」「ここだよ」「なんだこれを着るのか」「そうだよ」

「で、どこに行くのか?」

「お母さん死んじゃったから葬儀場に行くんだよ」

 

お、お父さん・・・疲れる。

認知症というものは、ここまで一気に進行するものなのか・・・

 

でも、母の遺影を見ながら、母を一途に愛していた父は、認知症になって幸せだったのかもしれないと思いました。

父が認知症でなかったら、突然あの世に行った母の死を受け止めることができただろうか。

 

でも、そんな話を知人にしたら

「でもさ、10分毎にお母さんが死んだことを思い知らされるって、そのたびに絶望に突き落とされることなんじゃないかな」

と言われた。

そう言われると、ああそれもそうだなと思う。

父は私に「母さんは死んだのか」ときき、「そうだよ」と私がこたえるたびに深いため息をついていた。

 

忘れてしまうことと忘れられないこと

どっちが幸せなんだろうね。

 

 

母が「ひとみちゃん」と名前をつけすごくてかわいがっていたお人形。

『お母さんはひとみちゃんと一緒にあの世に行くから棺に入れてね』

といつも言っていたので、棺に入れようとしたところ、父が

「入れるな!」

と頑なに反対しました。なので

「じゃあ、これをお母さんと思って抱っこして寝たらいいよ」

と葬儀場の控室で渡したら、父は母が編んだひとみちゃんの帽子をかぶって幸せそうでした。

姪っ子たちと

「じいじ、癒し系」

と写真を見て大笑い。

 

何でもできて、マメで几帳面だった父の認知症が進行していくことを受け入れることができずに、ここ1年ほど母はいつも父に「バカオヤジ」「何度言ったらわかるの!」と怒鳴ることが多かった。

母もキツかったのだ。

これは本当なんだけど、母は亡くなってからどんどん顔が穏やかになっていきました。

火葬の前は本当に安らかな顔をしていた。

きっと母は色々なことから解放されたんだとわかり、私は悲しみよりも安堵の気持ちに包まれています。

 

昨日から仕事を再開しました。

そういえば、母が亡くなった4月1日は私が開業した日。

お母さん、応援しててね。

不思議と、肉体がなくなった方が母を身近に感じる。

 

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