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いずれキャッシュカードを作成してもらい、僕がATMで引き下ろすようにする必要が出てくるかもしれないが、
今のところ母の年金は、振り込まれた金融機関に母自身が通帳と印鑑を持って出かけておろしている。 もちろん僕が付き添ってではあるが。 先月末も一緒にその金融機関に出かけ、待っているあいだ何気なくカウンターのほうを見ていた。 カウンター台の部分に何枚かのポスターが貼ってあった。 そのうちの1枚が何となく場違いな、弦楽四重奏団のコンサートのポスターだった。 よく見ると、その金融機関が主催する招待コンサートのようだった。 手帳を見るとその日には予定が入っている。 残念、縁がなかった、と思ったが、さらによく見ると、開始時刻が夕方ではなく昼間である。 それならば都合が合う。 申込み方法は、というと、ホームページからできる、とある。 しかも締切がまさにその日だった。 帰宅後、忘れないうちに申し込んだ。 完了後は安心して、すっかりそのことを忘れていたが、今月になって招待状が送られてきた。 もしポスターが店外に貼られていたら、あるいは新聞などで広告されていたら、きっと大勢の応募者がいて、僕は外れる可能性が高くなっていただろう。 しかし小規模金融機関だけあって、顧客以外にはあまり知られないように店内に貼っていたのだろう。 ということは、僕はその金融機関に口座を持っていないから、もし母の付き添いをしなかったら、コンサートの存在すら気づかなかっただろう。 いやあ、孝行は親のためならず、であった。 今日がそのコンサートだった。 平日の昼間だけあって、どう贔屓目に見ても、周りはコンサート会場と言うよりは、幼稚園の学芸会会場に集まった近所の老人たちといった雰囲気である。 しかし良い意味で予想は裏切られた。 きちんとクラシック・コンサートの客席マナーになっていた。 演奏も良かった。 会場が狭いこともあって、間近に聞くこともできた。 対照的に思い出したのが、15年ほど前に聞きに行った隣町のコンサートだった。 友人が安くて掘り出し物のコンサートを見つけたので、その町の公民館に一緒に出かけた。 ウィーン・フィルのメンバーで構成されている弦楽四重奏団のコンサートである。 だが周りの客層がどうもおかしい。 ほかに娯楽のなさそうな町だから仕方ないような気もしないではないが、 それにしても家族そろって弦楽四重奏を聞きに来るだろうか? やがて主催者の挨拶が始まり、僕らは事態をあるていど把握した。 どうやらその町の少年少女合唱団が、ヨハン・シュトラウスの曲に歌詞を付けて、弦楽四重奏団の演奏に合わせて歌うという趣向があるらしい。 それでウィーン・フィルのメンバーか・・・。 それで運動会に集まった家族のような客層なのか・・・。 安いとは言え、有料で学芸会に付き合わされるのか・・・。 たしょう悪い予感がしたが、だが、まだ甘かった。 弦楽四重奏団の演奏が始まった。 シューベルトの「死と乙女」だった。 4楽章の楽章ごとに客席のほぼ全体から拍手が鳴った。 しかも楽章を追うごとに、明らかに「早く終われ」という雰囲気があらわな、おざなりの拍手になっていった。 僕と友人は「安いとは言え、有料で学芸会に付き合わされる」と思っていたが、 おそらく会場のほとんどの家族連れは「孫(あるいは子供あるいは兄弟姉妹)の晴れ舞台を見るのに高い金を取って、しかも訳の分からない陰気な長い曲を4曲も聞かされた」と思っていたのに違いない。 幸いなことに、その後、この時ほどクラシック音楽のコンサートに出かけて居心地の悪かった経験はしたことがない。 よろしければクリックください。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.11.26 00:06:28
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