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私が新入社員研修で学んだ時の資料を30年ぐらい経った今でも大事に持っていて、いまだに判断や行動の指針になっています。
【システム設計者に求められる能力】というテーマで、出典がもはや不明なのですが、以下、そのまま引用させていただきます。
--------------------------------------------- ここから引用
【システムエンジニア=医者?】
システムエンジニア(SE)は、しばしば医者に例えられます。
その場合、利用者が患者ということになります。
世の中には様々な医者がいるように、SEにも色々なタイプの人がいます。
さて、あなたは次のようなタイプのSEではありませんか?
<利用者の判断優先型SE>
患者が病院にやってきました。
患者:「そこで車に乗っていて追突されました。ショックで足を傷めました。
私は前に足をねんざしたことがあります。この痛みはねんざです。
ねんざ用のはり薬を下さい」
医者:「わかりました。ねんざ用のはり薬を出しておきます。では次の方」
これでは利用者の判断がパーフェクトでない限り、
正しい方向には進めないことになります。
SEの仕事には、このような利用者のひとりよがりを是正することも含まれます。
<利用者の希望優先型SE>
患者が病院にやってきました。
患者:「そこで車に乗っていて追突されました。ショックで足を傷めました。」
医者:「それは大変だ、折れているかもしれないからレントゲンをとりましょう」
患者:「先生、私はレントゲンの放射線を浴びるのは嫌いなんです」
医者:「そうですか。では、とりあえず添え木を当てて固定しておきましょう」
患者:「先生、固定すると格好悪いので、いやなんです」
医者:「・・では、あなたは一体何をして欲しいのですか?」
患者:「そうですね、とりあえず鎮痛剤をください」
医者:「では鎮痛剤を出しておきますので、持って帰ってください。では次の方」
利用者の希望したことをそのまま実現して成功するのは極めてまれです。
利用者に必要なことと利用者の希望は必ずしも一致しません。
希望をそのままシステム化するのであれば、SEという職業は存在しません。
この例はやや極端ですが、現実には希望をそのままシステム化してしまうケースが
少なくありません。
このようなステップを経て構築されたシステムが実用に耐えるはずはなく、
修正につぐ修正を招き、メンテナンスに膨大な時間と労力を要します。
医者の世界では、上の2つのケースは存在しません。
このような人は医師の資格が取得できないので、
『無資格医』として処罰を受けることになります。
患者の立場で考えると、無資格医が診察や治療を行うことは深刻な問題であるからです。
それに対して、SEの世界では明確な資格や処罰が存在しないため、
かえって難しい事態が生じています。
『無資格医』がいないとは限らないのです。
<利用者に必要なこと優先型SE>
患者が病院にやってきました。
患者:「そこで車に乗っていて追突されました。ショックで足を傷めました。」
医者:「吐き気や頭痛がしませんか?」
患者:「いえ、痛いのは足なんです」
医者:「わかっています。しかし、追突された時に一番警戒しなければならないのは
ムチ打ち症なんです。足は検査をしますが、たいしたことはないようです。
すぐに首周辺の精密な検査を行いましょう。」
SEに求められるのは、このように利用者に必要なことを最優先する姿勢です。
たとえ、患者(利用者)自身が気づいていなくても
「利用者にとって何が一番必要か」
というポイントを見抜くことに神経を集中させて下さい。
このポイントをどこまでつかめるかが、SEとしての腕の見せどころです。
--------------------------------------------- 引用はここまで
私は現在、専門学校で講師をしていますが、教職員が学生に対する姿勢もこの通りではないかと思っています。
学生の判断や希望を鵜呑みにしてはいけません。
学生に【必要なこと】は何かを見極め、助言や指導をすることが大事です。
ただし、この【必要なこと】は、医者やSE、教職員ひとりひとりが違う考えを持っています。
教師の体罰が原因で学生が自殺した事件がありました。
教師は、体罰が学生に【必要なこと】だと思ったのかもしれません。
本当に【必要なこと】を正しく見極めるためは、同僚の考えを聞いたり、第3者へ助言を仰ぐなどの方法で、価値観を磨く必要があります。
医者やSE、教職員という職業に限らず、相手が存在し、責任ある対応をすべき立場の人はすべて、相手に【必要なこと】は何か?
よく考えてみるとよいでしょう。
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