1000円以下で防振マット自作!工作機械の響きを抑えるDIY静音化のはなし | iven works

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ないなら作ればいいじゃない。

 
ここ数日、作業場を作り変えておりますが、ちょど出てきたのでコレを紹介します。
 
切断や穴あけ、切削など、ちょっとした工作機械を導入するとモノづくりって楽になったり、作れるものが増えますよね。私も、卓上ボール盤、卓上糸のこ盤を導入して、いろんなものが作っています。綺麗な加工が速くできるようになりました。

ところが、住宅に設置するとなると困るのが騒音です。
特に、ゴロゴロ…とかブーン…ってな、床に響くような低音。
こいつを防がないことには近所迷惑で苦情が来かねません。
家内制手工業としては死活問題です。

今回は私がしている音対策の話をしましょう。特に、重くて低い音。
この静音化策、簡単に言うと「工作機械を浮かせて設置」します。
 
 
使ってるのがコレ。
ホームセンターで普通に売っている12mm厚のコンパネです。
 
手で歪ませようったって簡単に変形しない、硬い木の合板。
この、簡単に歪まない、変形しないっていうのがポイント。高剛性。
 
振動の減衰をする意味で、金属板よりも木材のほうが良い気がします。
ついでに言うと合板のほうがさらに良いです。
 
大きさは工作機械がきれいに乗るくらいがいいかな。
 
だいたい畳みたいな大きさ(1820x910mm)で2000~3000円。
ホームセンターだと有料でカットして売ってくれます。DIY的に使い勝手の良い板材ですが、今回はカット後の端材を100円くらいで買いました。
 
この板、この後ご紹介する「柔らかいクッション材」の能力を活かすのが目的です。
 
 
で、板の下に3枚の敷物を挟んでいます。これがクッション材。
滑り止めマット、梱包用のプチプチ、もう一枚滑り止めマットの3層構造。
 
そう、梱包用のプチプチを使うのです。
「柔らかいクッション材」ってのがコレ。
 
 
これもホームセンターでロールで売ってるし、なんなら梱包材として使われてたやつの再利用でもオッケー。プチプチが潰れてないやつを使いましょう。
 
つぶつぶの一つ一つは、指でぷにぷにできてしまう柔らかさ。
その柔らかさはつまり、振動を吸収・追従できるっていうこと。この柔らかさを生かすために上述の板で圧力を分散して使うのです。
 
余談ですが、以前これをカーテンレールから下げて遮熱カーテンにしたことがあります。
寒さに対してはかなりの威力を発揮する断熱素材にもなるんですよ。
こんどまたそれもご紹介しましょう。空気の層を手軽に作れる面白素材だと思います!
滑り止めマットは単純に滑り止めとして用いていますが、これ自体も爪を立てると潰れるような柔らかさ。ただ滑り止めにするならそのまま機械の下に敷けば十分ですが、板を介して挟むと滑らないし、そこそこ振動を吸収します。
 
アストロプロダクツで800円くらいだったかなぁ。
近所の100円ショップでも似たようなシート売ってました。
 
床に響くような重い音って、たいていは周波数が低くて、波長が長いもの。
高くて軽い音は硬いものにあたると反射します。
高校物理を思い出すに、周波数が高く、波長も短いからエネルギーも少ない。
 
対して、ブーン…とかゴロゴロ…っていうのは、機械の振動そのものです。
モノを丸ごと、卓上機械ならテーブルを揺らしてしまう。
なら、振動を遮断すれば良いのでは…っていう発想で作ったのがコレ。
 
2017/1/26追記
吉野石膏のウェブサイトにわかり易い音の考え方が出てたのでリンクさせていただきます。
 
車だったら路面のガタガタからくる振動はバネを介して乗員に伝えられます。
おおざっぱに車のサスペンションは、振動を許容するバネと、振動を減衰するダンパーからなります。
 
その二つの機能をまとめて、梱包用のプチプチを空気バネとして使う作戦です。
 
車の世界だとシトロエンのハイドロニューマチックが有名ですよね。あとレクサスはじめいろんなメーカーに採用されるエアサス。中古車市場では壊れがちかつ、高額な修理費用を嫌って敬遠されがちなエアサス(汗)
 
もとい、空気バネは圧縮されるとそれ自体が熱を生んで入力を減衰したハズ…。
空気を入れたボールを弾ませると、段々弾む高さが小さくなるやつ(の、一部)。
 
機械の下にゴム板を敷く方法も考えて売り場でウロウロしましたが、だいたいみんなゴムが硬すぎて、程よい硬さのものを探すのが大変!あるいは経年劣化が心配。
 
プチプチのいいところは、素材の硬さに由来しない空気ばねであるところ。
載せるものの重さを気にせず、ほどよく潰れて、ほどよく浮きます。
 
 
我が家で一番重い11kgの卓上糸のこ盤を載せるとこんな感じ。
 
コンパネと機械の間に、試しに買ってみて満足な効果がなかった防振ゴムも挟んでいます。
糸のこ盤をコンパネにネジ止めしているのですが、それの緩み止めの、つもり…。スプリングワッシャかましてるから正直なくても良いけどさ…。
 
コンパネは歪まずに、面積全体に加重を伝えています。
 
 
端をぎゅっと押さえると、2mm程度沈みます。
機械を載せただけでは少し沈むくらい。
バネとして硬すぎないし、潰れきってもいません。
バイクでいうところの「サグ」が適切な状態じゃないかしら。
 
仮に、プチプチ一つがどのくらいの加重でどのくらい変形するのかを検証すると本当に適切な設定重量がわかるでしょうが、プチプチはビニール?の膜に空気を包んでいるので、だんだん膜が伸びて潰れます。ビニールが塑性変形できる負荷が本来は適切かと。
 
どのみち経年劣化が予想されますが、なんだかんだ2年くらい使ってみて、十分静かです。
プチプチ安いし、作る手間もないからダメになったら交換すればいいんじゃないかしら。
 
ちなみにプチプチシートやノンスリップマットみたいなシート状のものは、ハサミやカッターで切れますがロータリーカッターを使うと超はかどるよ。
 
 
服を作る先輩から布用にはこれだよ!って教わって買いましたが、綺麗によく切れる!
今回に関してはギザギザに切れても見えるとこじゃないし、なければ無いで買うほどでもないです。
 
さてさて、これで机に全く響かなくなりました。
名付けてプチプチフローティングマウント。
3Dプリンタもこれを使ってみるよー。
お試しアレ。
 
Youtubeを漁っていたら、同じく身近なテニスボールを空気ばねとして利用している作例があったので合わせてご紹介。
 
 
ではまた