飛鳥時代の摂政・聖徳太子。
彼は一度に7人の話を聞くことができたという逸話を持つ。


太子の部下1
「太子さま。
 急に我々を集めてどうしたんですか?」

聖徳太子
「ふふふ。
 これから、君たちにある技を披露しよう。」

太子の部下2
「ある技?」

聖徳太子
「そう。
 君たち7人が同時に別々の文章を話す。
 その文章をすべて聴き分けようじゃないか。」

太子の部下3
「そんなことできるんですか?」

聖徳太子
「やってみせよう。」

太子の部下4
「お願いします。」

太子の部下2
「では、太子。いきますよ。」

聖徳太子
「お願いします!」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
(全員、同時にしゃべる)

太子の部下2
「・・・どうですか?」

聖徳太子
「うん。
 聴き分けられた聴き分けられた。」

太子の部下3
「ホントですか?」

聖徳太子
「ただ・・・」

太子の部下1
「ただ・・・?」

聖徳太子
「君たちの中に
 『聖徳太子、マジでキライ。』って言ったヤツがいるんだけど、誰?」

太子の部下たち
(首をかしげる)

聖徳太子
「やめなさい、どさくさに紛れて、摂政の悪口言うのは。」

太子の部下5
「で、他の6人は何て言ったんですか?」

聖徳太子
「・・・ごめん。
 『聖徳太子、マジでキライ。』が気になっちゃって、
 他の6つ全部飛んじゃった。」

太子の部下1
「メンタル弱いんですね。」

聖徳太子
「もう一度お願い。」

太子の部下2
「いきます。」

聖徳太子
「お願いします!」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
(全員、同時にしゃべる)

太子の部下6
「・・・どうですか?」

聖徳太子
「うん・・・。
 間違いなく一人、『聖徳太子暗殺しようかなぁ』って言ってるヤツがいるんだけど。」

太子の部下たち
(キョロキョロする。)

聖徳太子
「ホント誰?
 めちゃくちゃ気になるんだけど。
 今、目の前に暗殺企ててるヤツがいるの?!」

太子の部下たち
(首をかしげる。)

聖徳太子
「ちょっと!
 ちょっともう一回!」

太子の部下2
「いきます。」

聖徳太子
「お願いします!」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
(全員、同時にしゃべる)

聖徳太子
「・・・誰だ。
 『どうやって暗殺しようかなぁ』って言ってるヤツの他に
 『僕も参加していいですか?』って言ってるヤツがいるぞ!」

太子の部下たち
(首をかしげる。)

聖徳太子
「心当たりないの?!
 少なくとも2人は心当たりあるんじゃないの?!
 もう一度お願い。」

太子の部下2
「いきます。」

聖徳太子
「お願いします。」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
(全員、同時にしゃべる)

聖徳太子
「いやいやいや・・・。
 1人、『俺が太子を羽交い締めにするから』って言ってて、
 もう1人が『じゃあ、僕は前から斬ります』って言ってるんだけど。
 着々と暗殺計画が練られてるんだけど。」

太子の部下たち
(全員キョロキョロする)

聖徳太子
「あと、『では、私は脚を抑えますね』って言ってるヤツもいるし!
 暗殺に参加予定の人、増えてるし!」

太子の部下たち
(全員、首をかしげる)

聖徳太子
「なんで?!
 なんでみんな、心当たりない顔してるの?!」

太子の部下7
「太子、残りの4人の言葉は?」

聖徳太子
「ゴメン、今、それどころじゃない!
 目の前にいる7人のうち3人が私の命を狙ってるから!」

太子の部下2
「では、いきます。」

聖徳太子
「もう、私の動揺は無視なんだね。
 お願いします!」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
(全員、同時にしゃべる)

聖徳太子
「・・・。」

太子の部下4
「どうですか?」

聖徳太子
「・・・『僕が剣で斬る』
 『私がハンマーで殴る』
 『俺が弓で射る』
 『僕がヤリで突く』
 『私が首を絞める』
 『俺が毒を盛る』
 『僕がトレーラーで轢く』
 ・・・何これ?!」

太子の部下たち
「・・・。」

聖徳太子
「7人による完全犯罪じゃん!」

太子の部下たち
「・・・。」

聖徳太子
「とうとう7人全員、暗殺計画に参加しちゃったじゃん!」

太子の部下たち
「・・・。」

聖徳太子
「なんで?
 なんでみんな『コイツ、何言ってんだ』って顔でこっち見てるの?」

太子の部下1
「大丈夫!
 僕たちは全員味方です!」

聖徳太子
「その『僕たち』の中に私は入っているのかな?」

太子の部下2
「もう一回お願いします。」

聖徳太子
「ヤだよ。
 今、目の前にいる全員が自分の命を狙ってるのに、
 のんきに、かくし芸披露してる場合じゃないよ。」

太子の部下3
「あと一回だけ。」

聖徳太子
「イヤだ。」

太子の部下4
「次がラスト。」

聖徳太子
「イヤです。」

太子の部下5
「『いきます』『お願いします!』がGOの合図なんで。」

聖徳太子
「だったら、なおさらヤだよ!
 なんで、暗殺のキュー出しを私自らやらなきゃいけないんだよ!」

太子の部下6
「じゃあ、もうキューなしでやるか。」

太子の部下7
「やりますか。」

聖徳太子
「いいよ!やるよ!キュー出すよ!」

太子の部下3
「太子さま。
 一応、建前は『太子さまが7人の言葉を聞き分ける』という芸をやる体(てい)で。」

聖徳太子
「めんどくさいよ!
 じゃあやるよ。」

太子の部下2
「いきます。」

聖徳太子
「お願いします!」

太子の部下1
「せーの!」

太子の部下たち
「(武器を取り出し)覚悟ーーーっ!」

聖徳太子
「(逃げながら)なにこれ!なに、この暗殺!」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

聖徳太子は7人の言葉を聞き分けられるというエピソードをうまく広げられないかと考えたコント。

その後、「どさくさに紛れて悪口」という設定から、「どさくさに紛れて暗殺計画」という展開を思いつきました。

 

 

【上演メモ】

人数:1人~8人

聖徳太子

太子の部下1

太子の部下2

太子の部下3

太子の部下4

太子の部下5

太子の部下6

太子の部下7

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★☆☆☆
備考:部下を全部、声だけにして、聖徳太子の1人芝居にするのもアリです。

最後の武器を取り出すシーンは、なんらかのアレンジ、もしくは工夫が必要だと思います。

 

 

【お知らせ】

さて、先日、朗読劇として実演された「動物」の動画がYoutubeにアップされました。

こちらからどうぞ。

 


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コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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