(ボウリング場)


支配人
「こちらなんですけど・・・。」

勇者
「失礼します。」


(レーンの真ん中に巨大な剣が刺さっている)


勇者
「これですか。」

支配人
「はい。」

勇者
「エクスカリバーですね。」

支配人
「一昨日までは何も刺さってなかったんですけど、
 昨日の朝、レーンを点検したら、これが刺さっていて。」

勇者
「なるほど。」

支配人
「一応、昨日はそのままオープンしたんですけど・・・」

勇者
「したんですね。」

支配人
「ボウリングでカーブをかけられる方は、
 剣に当たることなくピンを倒すことができるのですが、
 初心者の方はモロに剣に球が当たっちゃって・・・」

勇者
「なるほどねぇ。」

支配人
「このまま刺さりっぱなしなのは困るんです。
 これ、抜けますでしょうか?」

勇者
「大丈夫です。私は勇者ですから。」

支配人
「さすが勇者さま!頼もしい言葉ですね!」

勇者
「前料金制で3500円になります。」

支配人
「(お金を払う)よろしくお願いします。」

勇者
「(エクスカリバーに手をかけて)では、いきます。」

支配人
「お願いします。」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬ・・・っ!」

支配人
「頑張ってください!」

勇者
「ぬぬぬぬぬ・・・っ!」

支配人
「あ、少し動いた!」

勇者
「ぬぬぬぬぬ・・・っ!」

支配人
「どうだ・・・?抜けるか・・・?」

勇者
「(エクスカリバーから手を離し)無理ですね。」

支配人
「早いですよ。開始わずか10秒ですよ?」

勇者
「ちょっと外でレベルを上げてきます。(外に出る)」

支配人
「レベル上げですか。早めにお願いしますね!」

勇者
「(外から)うぉぉぉぉぉぉぉっっ!」

支配人
「あぁ。戦ってる戦ってる。」


(外からレベルアップのSE)


支配人
「あ、レベル上がった。」

勇者
「(帰ってくる)レベルを3つ上げて来ました。」

支配人
「はい。レベルアップ音聞こえました。」

勇者
「(エクスカリバーに手をかけて)では、いきます。」

支配人
「お願いします。」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬ・・・っ!」

支配人
「お、また少し動いた!」

勇者
「ぬぬぬぬぬ・・・っ!」

支配人
「今度こそ抜けるか?!」

勇者
「(エクスカリバーから手を離し)ダメですね。」

支配人
「だから、早いですよ。
 さっき10秒で、今7秒ですよ?」

勇者
「仲間呼んでいいですか?」

支配人
「仲間・・・?」

勇者
「仲間の魔法使いが力を上げる魔法を覚えているので、彼女の力を借ります。」

支配人
「別にいいですけど。」

勇者
「魔法使いのオプション代2000円になります。」

支配人
「オプション代かかるんですね。(お金を払う)」

勇者
「では、呼びます。」

支配人
「どうやって呼ぶんだろう。」

勇者
「(スマホを取り出し、電話をかける)あ、もしもし。勇者です。」

支配人
「あ、電話なんですね。」

勇者
「今、日暮里ボウリング場なんですけど、
 ボウリングのレーンにエクスカリバーが刺さってまして。
 はい。魔法使い1人手配していただけますか。
 はい。よろしくお願いします。(電話を切る)」

支配人
「魔法使い来ますか?」

勇者
「すぐ来るそうです。」


(5分後)


(外からレベルアップのSE)


勇者
「あ、来たかな?」

魔法使い
「お疲れ様です。」

勇者
「おぉ、こっちこっち!」

魔法使い
「レベル上げしながら来ました。」

勇者
「うん。レベルアップ音聞こえた。」

魔法使い
「これですか。」

勇者
「なかなかの難敵。」

魔法使い
「なるほど。」

支配人
「よろしくお願いします。」

勇者
「(エクスカリバーに手をかけて)補助魔法お願い!」

魔法使い
「OKです!」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬ・・・っ!」

魔法使い
「たぁぁぁぁーっっ!」

支配人
「おぉ!今度こそいけるんじゃないですか?」

勇者
「(エクスカリバーから手を離し)無理ですね。」

支配人
「だから、諦めるの早いですって!5秒ですよ。
 前より短くなってるじゃないですか。」

勇者
「いやぁ、無理だな。」

支配人
「無駄にしたぁ・・・。
 オプション代の2000円、無駄にしたぁ・・・。
 なんなら、最初の3500円も無駄にしたぁ・・・。」

勇者
「もう一人呼んでいいですか?」

支配人
「もう一人?」

勇者
「踊り子を呼びます。」

支配人
「その踊り子は何をしてくれるんですか?」

勇者
「私の隣で応援してくれます。」

支配人
「いらないでしょ、その人。
 応援くらいなら、私がやりますよ。」

勇者
「お前に何ができるっ!」

支配人
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。」

勇者
「踊り子オプションで2000円になります。」

支配人
「(お金を払う)もうなんだかんだで7500円払ってますからね。
 ちゃんと抜いてくださいよ。」

勇者
「(電話をかける)あ、もしもし、勇者です。
 踊り子一人お願いします。」


(5分後)


(外からレベルアップのSE)


勇者
「あ、来たかな。」


(外からレベルアップのSE)


支配人
「あ、またレベル上がった。」


(外からレベルアップのSE)


魔法使い
「すごいレベル上がってる!」


(外から宿屋のSE)


勇者
「あ、宿屋で休憩した。」

支配人
「まっすぐ来い!」

踊り子
「すみません。」

勇者
「おぁ、こっちこっち!」

踊り子
「レベルアップしながら来たんで、遅くなりました。」

勇者
「うん、レベルアップ音聞こえてた。」

支配人
「あと、宿屋に泊まる音もね。」

踊り子
「(エクスカリバーを見て)これですか。」

勇者
「なかなか抜けない。」

支配人
「まだ累計で1分もがんばってないんですけどね。」

勇者
「(エクスカリバーに手をかけて)よし、いきましょう!」

支配人
「お願いします!」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬ・・・っ!」

魔法使い
「たぁぁぁぁーっっ!」

踊り子
「♪がーんばれ!がーんばれ!」

支配人
「頼みますよ!
 30秒くらいしか仕事してないのに、7500円払ってるんですから!」

勇者
「ぬぬぬぬぬっ!」

魔法使い
「たぁぁぁぁーっっ!」

踊り子
「♪がーんばれ!がーんばれ!」

支配人
「いいよ!15秒いったよ!記録更新だよ!」

町人
「(外から)モンスターが現れたぞー!」

勇者
「なにっ!(作業を中断し、自分の剣を抜き、声のした方向を向いて構える)」

魔法使い
(勇者の後ろで杖を構える)

踊り子
(勇者と魔法使いの後ろで短剣を構える)

支配人
(レーンに刺さっていたエクスカリバーを抜き、3人の後ろで構える)

勇者
「(外を見ながら)こっちに来るかな?」

魔法使い
「(外を見ながら)わからない・・・」

踊り子
「(外を見ながら)もし、モンスターがこっちに来たら、逃げてくださいね。」

支配人
「(エクスカリバーを構えて)はいっ!」

町人
「(外から)大丈夫!モンスターは逃げていったぞー!」

勇者
「(外を見つつ、剣を鞘に収めながら)なんとかしのいだか。」

魔法使い
「(外を見ながら)危ない危ない。」

踊り子
「(外を見ながら)突然だったから、びっくりしました。」

支配人
「(エクスカリバーをレーンに刺しながら)ホントですよ。」

勇者
「(エクスカリバーに手をかけて)よし、抜いちゃいましょう!」

魔法使い
「こっちは準備OKです。」

踊り子
「こっちもです。」

支配人
「お願いします!」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬ・・・っ!」

魔法使い
「たぁぁぁぁーっっ!」

踊り子
「♪がーんばれ!がーんばれ!」

支配人
「いきましょう!
 とりあえず1分目指しましょう。
 抜けるかどうかはそれからです。」

踊り子
「♪がーんばれ!がーんばれ!」

勇者
「(抜くのを一旦止める)ん?」

支配人
「どうしました?」

勇者
「さっき、一瞬エクスカリバー抜きました?」

支配人
「いいえ。」

勇者
「気のせいか。」

支配人
「早く抜いてください。」

勇者
「ふんぬぬぬぬぬっ!」

踊り子
「♪がーんばれ!がーんばれ!」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「地面に刺さった剣を抜く仕事」という発想から、こんな形になりました。

ものすごくベタなオチになっちゃいました・・・

 

【上演メモ】

人数:5人

支配人

勇者

魔法使い

踊り子

町人

 

所要時間:5分~6分
難易度:★★★★☆
備考:エクスカリバーの準備。実は簡単に抜けるが、終盤まで抜けないように動くパントマイム。衣装。

単純なコントですけど、実演するには意外と難易度高いかもしれないです。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】乙姫と浦島と玉手箱#2
【コント】天使と悪魔の2択の話#4
【コント】コピー
【コント】消えたマーライオン
【コント】避難訓練

 

 

 

【お知らせ】

先日実演された「ランプの魔人」「ランプの魔人#3」がyoutubeにアップされました。

こちらからどうぞ。

 

【お知らせ2】

11月はお題コントを一旦お休みして、毎週新作コントを公開していく予定です。

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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