本間
「いやぁ、デカいなぁ。牛久大仏!」

桜澤
「ホントだな!
 これ、中に入れるんだぜ。」

本間
「そうなんだ。」

桜澤
「スゴイだろ。」

本間
「来てよかったな!」

桜澤
「だろ?
 そして、敢えてスマホを家に置いて来たことによる、誰にも縛られない開放感!
 これだよ。」

本間
「だな。
 ・・・それにしてもスゴイな、牛久大仏。」

桜澤
「写真撮る?」

本間
「おぉ。撮ろうぜ。
 カメラは?」

桜澤
「ちゃんと持って来たよ。(カバンの中を探る)」

本間
「さすが。」

桜澤
「はい。(カバンから、長いチューブのついたカメラを取り出す)」

本間
「(カメラを見ながら)・・・。」

桜澤
「(カメラを差し出した状態で)・・・。」

本間
「(カメラを見ながら)・・・。」

桜澤
「(カメラを差し出した状態で)・・・。」

本間
「・・・え、
 ・・・なにこれ。」

桜澤
「・・・カメラ。」

本間
「・・・カメラっていうか
 ・・・胃カメラじゃん。」

桜澤
「胃カメラだよ。」

本間
「え・・・、
 何で胃カメラ持って来たの・・・?」

桜澤
「旅行の話をしたときに『カメラどうする?』って話になって、
 『どうせなら、高性能のカメラを持っていきたいね』って話になったから・・・。」

本間
「確かにその話、したけどさ・・・。」

桜澤
「で、『高性能のカメラなら、俺持ってる』って言って。」

本間
「で、胃カメラ?」

桜澤
「胃カメラ。」

本間
「胃カメラはわかったけどさ、

 普通のカメラは?」

桜澤
「これしかねぇよ。」

本間
「それしかねぇの?」

桜澤
「これさえあれば十分かと。」

本間
「十分じゃねぇよ!
 この後も写真撮るとき、ずっと胃カメラかよ!」

桜澤
「胃カメラだよ。」

本間
「どうするんだよ!
 スマホ自宅なんだぞ!
 これしかカメラないんだぞ!」

桜澤
「いや、これ高性能なんだよ。
 鼻から入れるタイプの胃カメラで・・・」

本間
「観光地にその性能いらねぇんだよ!」

桜澤
「いや、ホント、『オエッ』ってならないから。」

本間
「ならなくていいんだよ。
 観光地で写真撮るごとに『オエッ』とはならないんだよ。」

桜澤
「『オエッ』ってならないの?!」

本間
「今まで何にエヅいてたんだよ!」

桜澤
「それにこの胃カメラ、もう一つ、スゴイ機能があるんだよ。」

本間
「スゴイ機能?」

桜澤
「タイマー機能。」

本間
「いらないんだよ、タイマー機能。」

桜澤
「自撮りしなくてもいいんだぞ。
 スゴくない?」

本間
「スゴくないよ。
 そもそもタイマー機能っていうのは、写真に撮影者が写ることが目的なんだよ。
 なんで、胃カメラに撮影者が写りこもうとしてんだよ!」

桜澤
「とりあえず自撮りで1枚撮ろうぜ。」

本間
「結局、撮るのかよ・・・」

桜澤
「はい、撮りまーす。」

本間
「う、うん・・・(カメラに向かって困惑した顔でピース)」

桜澤
「息止めてくださーい。」

本間
「なんでだよ。」

シャッター音
「カシャ。」

桜澤
「はい、OKでーす。」

本間
「せっかくの牛久大仏を背に、何で胃カメラにピースしてんだよ・・・俺・・・」

桜澤
「(遠くを見て)あ!」

本間
「何?」

桜澤
「あれ!ガダルカナル・タカさんじゃない?」

本間
「え?どこ?」

桜澤
「あそこ!うわ、どうしよう!芸能人だ!」

本間
「そうだね。」

桜澤
「一緒に写真撮ってもらおう!(走っていく)」

本間
「写真って、お前が持ってるの胃カメラだぞ!(追いかける)」



(5分後)



桜澤
「(戻って来ながら)いやぁ、ガダルカナル・タカさんだったなぁ。」

本間
「そうだな。」

桜澤
「握手してもらって、手帳にサインしてもらって、胃カメラで写真撮って。」

本間
「『写真いいですか?』の直後に胃カメラを見た瞬間の、
 タカさんの『正気か?!』って表情が目に焼き付いているんだけど・・・。」

桜澤
「どうせなら、胃カメラ飲んで欲しかったなぁ。」

本間
「なんでだよ。
 なんで牛久大仏の前で、ファンに差し出された胃カメラ飲まなきゃいけないんだよ。」

桜澤
「パソコンにデータ取り込んだら、タカさんにメールで画像送ろう。」

本間
「送るの?」

桜澤
「『胃カメラの件』って件名で。」

本間
「大丈夫?

 人間ドッグの案内だと思われない?」

桜澤
「あ、あれ、筑波山じゃない?」

本間
「そうだな。まだ、紅葉してるんだ。」

桜澤
「よし、筑波山バックに写真撮ろう。(胃カメラで自撮りの構え)」

本間
「あんまり、胃カメラ持って、この辺ウロウロしないでほしいんだけど。」

桜澤
「はい撮りまーす。」

本間
「撮るんだね(胃カメラに向かってピース)」

桜澤
「息止めてくださーい。」

本間
「だから、何でだよ。」

シャッター音
「カシャ。」

桜澤
「よし撮れたー。」

本間
「さっきの『息止めてくださーい』で思い出したけど、
 タカさんと写真撮ったときも、それ言っただろ。」

桜澤
「タカさん、ちゃんと息止めてたね。」

シャッター音
「(遠くから)カシャ」

本間
「(シャッター音がした方を向いて)ちょっと!写真撮らないで!
 SNSにアップしないで!」

桜澤
「いいじゃん。撮らせておこう。」

本間
「いや、胃カメラで自撮りって、ヘンなヤツらだと思われるし!」

桜澤
「大丈夫。十分ヘンなヤツらだから。」

本間
「俺を巻き込むな!」

桜澤
「それよりどうするよ、この後。」

本間
「そうだな。
 陽も傾いてきたし、一旦ホテルにチェックインして、荷物置いた後で、街に飲みにいくか。」

桜澤
「飲みに行く?」

本間
「うん。」

桜澤
「胃カメラを?」

本間
「酒を!」

桜澤
「あぁ。ビックリした。」

本間
「一旦、胃カメラ忘れようか。」

桜澤
「よし。ホテルまで俺の車で移動だ。」

本間
「う、うん・・・。」

桜澤
「何だよ。
 車の移動がイヤなのかよ。」

本間
「っていうか、お前、何でレントゲン車で来たんだよ!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「胃カメラとミスマッチな組み合わせ」という考えから、この設定になりました。

牛久大仏に胃カメラを入れても『オエッ』ってならない、のような展開を入れようと、

牛久大仏という設定にしたのですが、うまく入らなかったので、場所という設定だけが残りました。

 

【上演メモ】

人数:2人

本間

桜澤

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★☆☆☆
備考:胃カメラの小道具だけが面倒です。その他の設定は全部、セリフでカバーできると思います。

最悪、胃カメラもパントマイム(胃カメラがある"フリ"。あとはセリフでカバー)でなんとかなるかも。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】タワーマンション
【コント】赤ずきんちゃんが聞く#3
【コント】かぐや姫は待っている
【コント】アタフタヘッドライン
【コント】一生のお願い

 

 

 

【お題募集中】

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