悪漢
「(トゲのついた鉄球を振り回しながら)ヒャッハー!これから街で大暴れしてやるぜー!」

ケンシロウ
「待て!」

悪漢
「なんだお前!
 痛い目に遭いたくなかったら、邪魔するんじゃねぇ!」

ケンシロウ
「仕方ない。こうするしかないか・・・」

悪漢
「なんだと・・・!」

ケンシロウ
「(悪漢を殴りながら)あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「・・・ひでば・・・!ひでぶっ!(倒れる)」

ケンシロウ
「・・・今、コイツ、『ひでぶ』を噛んだな。
 最期の言葉なのに噛んでしまうとは、コイツも不憫(ふびん)なヤツだ。
 仕方がない。あの技を使おう。
 タイムリープ!」
 


 

悪漢
「(トゲのついた鉄球を振り回しながら)ヒャッハー!これから街で大暴れしてやるぜー!」

ケンシロウ
「・・・よし、時間が戻ったな。
 (胸のキズを見て)しかし、胸のキズの数が7つから6つに減ってしまった・・・。
 タイムリープが使えるのはあと6回か・・・。」

悪漢
「何をぶつぶつ言ってやがる。邪魔なんだよ!」

ケンシロウ
「今度は噛むなよ。」

悪漢
「なに?」

ケンシロウ
「あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「・・・ひでば・・・!ひでぶっ!(倒れる)」

ケンシロウ
「だから、なんで同じ噛み方をするんだよ、もう!
 タイムリープ!」

 


 

悪漢
「(トゲのついた鉄球を振り回しながら)ヒャッハー!これから街で大暴れしてやるぜー!」

ケンシロウ
「待て!」

悪漢
「なんだお前!これから街で・・・」

ケンシロウ
「とりあえず、発声練習だ。」

悪漢
「発声練習?」

ケンシロウ
「あめんぼ あかいな あたたたた。」

悪漢
「あめんぼ あかいな あたたたた。」

ケンシロウ
「生麦 生米 生ひでぶ。」

悪漢
「生麦 生米 生ひでぶ。」

ケンシロウ
「大丈夫?」

悪漢
「いや、この発声練習になんの意味が・・・?
 あと、『生ひでぶ』って何?」

ケンシロウ
「あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「・・・びば・・・!ひでぶっ!(倒れる)」

ケンシロウ
「だから、噛むなって!
 なんだよ、『ビバ!ひでぶ』って!
 タイムリープ!」

 


 

悪漢
「(トゲのついた鉄球を振り回しながら)ヒャッハー!これから・・・」

ケンシロウ
「待て!」

悪漢
「なんだお前?」

ケンシロウ
「『ひでぶ』って言葉がダメなのかな?
 お前、好きなもの何?」

悪漢
「好きなもの?
 ・・・ケイコちゃん。」

ケンシロウ
「じゃあ『ひでぶ』の代わりに『ケイコ』で。」

悪漢
「ひでぶの代わり?」

ケンシロウ
「あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「・・・ケイコぉ!(倒れる)」

ケンシロウ
「あぁっ!ツライ!
 余計不憫になった!
 タイムリープ!」

 


 
悪漢
「ヒャッハー!」

ケンシロウ
「(胸のキズを見て)1・・・2・・・3・・・
 あと3回か・・・。」

悪漢
「なんだお前?」

ケンシロウ
「別の言葉にしないと。
 お前、何が好き?ケイコちゃん以外で。」

悪漢
「え?何で俺がケイコちゃんが好きなこと知ってるの?」

ケンシロウ
「え・・・?」

悪漢
「え・・・?」

ケンシロウ
「あの・・・。」

悪漢
「恥ずかしいー!ひでぶっ!」

ケンシロウ
「何でだよ!
 何で恥ずかしさのあまり、『ひでぶっ』なんだよ!
 タイムリープ!」

 


 
悪漢
「ヒャッハー!」

ケンシロウ
「あと2回か。
 好きなものはダメだな。質問を変えよう。
 お前、旅行に行くなら、どこ行きたい?」

悪漢
「んー・・・。アジスアベバ。」

ケンシロウ
「噛む噛む!絶対噛む!
 お前には無理だよ!」

悪漢
「噛む?」

ケンシロウ
「大体、どこだよ、アジスアベバ。」

悪漢
「東アフリカ。エチオピアの首都。」

ケンシロウ
「ダメダメ、却下。
 『富良野』とかどう?」

悪漢
「寒いよ、この時期、富良野。」

ケンシロウ
「いいじゃん、『ふらのっ』。なんとなく、ひでぶに通ずるものがあるし。」

悪漢
「『いいじゃん、ふらのっ。なんとなく、ひでぶに通ずるものがあるし』?」

ケンシロウ
「富良野で。」

悪漢
「アジスアベバがいい。」

ケンシロウ
「『ひでぶ』が言えないお前に『アジスアベバ』が言えるわけないだろ!」

悪漢
「あの・・・、俺、何で怒られてるの?」

ケンシロウ
「いいか!『富良野』だぞ!」

悪漢
「『富良野』。」

ケンシロウ
「あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「アジズッ!アバッ!」

ケンシロウ
「今、絶対、『アジスアベバ』って言おうとしただろ!
 何で『富良野』って言わないんだよ!
 タイムリープ!」

 


 
悪漢
「ヒャッハー!」

ケンシロウ
「あと1回か・・・。
 好きな料理にしよう。
 好きな料理、何?」

悪漢
「好きな料理?
 ・・・アクアパッツァ。」

ケンシロウ
「噛む!」

悪漢
「ジェノベーゼ。」

ケンシロウ
「噛む!」

悪漢
「炙りカルビ。」

ケンシロウ
「噛む!」

悪漢
「何だよ、その斬新な合いの手は!
 何で噛むんだよ!
 せめて食えよ!」

ケンシロウ
「お前にアクアパッツァとか絶対無理だ。」

悪漢
「無理って何だよ。」

ケンシロウ
「まめとか。」

悪漢
「えー。」

ケンシロウ
「レタス。」

悪漢
「えー。」

ケンシロウ
「もやし。」

悪漢
「どんだけストイックな食生活なんだよ!」

ケンシロウ
「とにかく、『アクアパッツァ』ダメ!
 『まめ』!」

悪漢
「『まめ』やだ!」

ケンシロウ
「ダメ!贅沢言わない!」

悪漢
「『アジスアベバ』がいい!」

ケンシロウ
「好きだな!アジスアベバ!
 ダメ!『まめ』!」

悪漢
「むー・・・。わかった・・・。」

ケンシロウ
「あたたたたたたたた・・・!
 お前はもう死んでいるっ!」

悪漢
「・・・アジッ!アベビッ!(倒れる)」

ケンシロウ
「いや、だから、なんで『アジスアベバ』って言おうとするんだよ!
 『まめ』って言えと言ったろ?!
 言うこと聞かない子だなぁ!
 そこまでアジスアベバにこだわる理由なんなんだよ!
 タイムリープ!」

 


 
悪漢
「ヒャッハー!」

ケンシロウ
「とうとうキズがなくなってしまった・・・」

悪漢
「おっさん!そこに立ってると邪魔なんだよ、おっさん!」

ケンシロウ
「昔は頭から足先までキズだらけだったのにな・・・」

悪漢
「おっさん!」

ケンシロウ
「お前のせいで、すっかりキレイな体になった・・・!」

悪漢
「いいじゃん、キレイになったのなら。」

ケンシロウ
「よくないよ!返せよ!
 俺のアイデンティティ返せよ!」

悪漢
「わかったよ、しょうがないなぁ。
 タイムリープ!」

 


 
悪漢
「(トゲのついた鉄球を振り回しながら)ヒャッハー!これから街で大暴れしてやるぜー!」

ケンシロウ
「待て!」

悪漢
「あ、いた。キズいくつある?」

ケンシロウ
「え?(胸のキズを見て)7つだけど・・・。」

悪漢
「よかった。戻った!」

ケンシロウ
「街で大暴れなど、俺が許さん!」

悪漢
「あ、街で大暴れはもういいや。」

ケンシロウ
「あれ、もういいの?」

悪漢
「なんか、タイムリープしたら、お腹空いてきた。」

ケンシロウ
「あ、そう。じゃあ帰るわ。」

悪漢
「お疲れ様です。」

ケンシロウ
「お疲れー。(帰って行く)」

悪漢
「(鉄球のトゲを数えながら)1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・。
 タイムリープできる回数も、あと5回か・・・。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

胸のキズの数だけタイムリープというアイディアから「何故タイムリープ?」という理由を7つ挙げていきました。

タイムリープの度に数字が減っていくのは「時をかける少女」からです。

 

【上演メモ】

人数:2人

ケンシロウ

悪漢

 

所要時間:5分~7分
所要時間:★★★★☆
備考:噛むという行為を食い止めるためにタイムリープするという話なので、

逆にいうと、想定外のタイミングで噛むというミスは許されません。

言いにくいセリフもたくさんあるので、要練習です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】金田一少年の悩み
【コント】伝書鳩の歴史
【コント】乙姫と浦島と玉手箱
【コント】西遊記
【コント】中島の誘い

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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