先日、久しぶりにセツコさんの (仮名です) サービスに行くと、「識子さんやん! 久しぶりやなぁ、嬉しいなぁ」 と大喜びしてくれました。

そしていろんな話をしたのですが、セツコさんが、あ、そうそう、という感じで 「私な、こないだ抗議したで」 と得意げに言いました。

この話には前置きがあって、それは去年の夏のことです。

セツコさんちには登録ヘルパーの○○さんもサービスに入っていました。

○○さんは60才をちょっと超えている、サバサバした肝っ玉母さんという雰囲気の、しっかりした人です。

その○○さんがセツコさんに語ったところによると・・・。

○○さんが狭い道を車で抜けていたら、前方から若いお兄ちゃんが運転する車が来たそうです。

道幅は2台がギリギリ通れるかどうかで、結構時間がかかって、やっとすれ違ったのだそうです。

すれ違いざまに若いお兄ちゃんが 「このくそババア!」 と言ったそうで、それを聞いた○○さんは、窓をウィ~ンと開けて 「誰がババアじゃ! コラー!」 と怒鳴ったというのです。

お兄ちゃんはそのまま目も合わさずに逃げるようにして去った、ということでした。

「ひゃ~、○○さんって勇気ありますねー」と私が言うと、

「私、そんなん怖いわ。お兄ちゃんが怒るかもしれへんやん?」とセツコさんが言います。

セツコさんも私も小心者なので、自分だったらクソババアと言われても、謝ってるんじゃないだろうか、という話になったのでした。

そこから話が発展して、セツコさんが、正当な抗議でも、勇気がなくて出来ない時がある、と言い、私も自分の小心ぶりを話し、私らこのままでいいのだろうか・・・みたいな会話をしました。

で、久々のサービスで伺ったこの日、 「私な、こないだ抗議したで」 という報告をしてくれたというわけです。

「え! セツコさん、それはすごいじゃないですか!」

そう言うと、セツコさんは詳しく話してくれました。

その日、通院日だったセツコさんが病院 (小さな個人病院です) に行くと、そこそこ患者がいたそうです。

いつもより多いなぁと思いつつ、ひたすら順番を待ったそうですが、1時間が経過してもセツコさんは呼ばれません。

他の人がどんどん呼ばれ、さすがにこれはおかしい、と思ったセツコさんは、ここは抗議せねば! と思ったそうです。

椅子からすっくと立ち上がり、つかつかと受付に向かったそうで・・・。

ほー、それで? と、聞いてる私は興味シンシンです。

「私な、受付のとこまで行ってな、受付の横で・・・」

受付の横? ま、いいや、それで? それで?

「んっんー! って咳払いしたんや!」

へー! まず、注意を引いたわけですね、で? 

と、セツコさんを見ると、 「・・・・・」 とセツコさんも黙って、私を見ています。

その顔は、鼻息荒く、どうやっ! という鼻高々な表情なのです。

は? (  ゚ ▽ ゚ ;)

ま、まさか、それだけ?

たっぷり3秒は無言で見つめ合って、 「あのー、その控えめな抗議で、気づいてもらえたんですか?」 と聞くと、 

「気づいてくれたで! 受付の人が、セツコさんもうちょっと待ってな~、3番目やからな、って言うたもん」 とのことでした。

なぜ、受付に座っている人が診察室のカルテの順番がわかるのか・・・それは・・・忘れていて今から持って行くからなのでは・・・。

もしくは、適当に3番目ですよと言ったのでは・・・と思いましたが、上機嫌で語るセツコさんの話に水を差すようなことはできません。

抗議してよかったですね、自分の順番がわかると待つのも苦じゃないですよね、と言うと、セツコさんは 「この方法、マネしてええで」 と得意げです。

「みんなが文句も言わへんとじっと待ってるのに、私の順番まだですか? とか言えへんやろ?」と続けます。

「それはたしかに言えませんね」

「咳払い、ええ方法やろ? 他の人には抗議ってわからへんで~」 

いや~、ビミョーかなぁ (^▽^;)  

と、思っていたら、セツコさんは、識子さんも抗議はした方がええで、やっぱり言うべき時は言わなやな、そうやな、うんうん、と1人で納得していました。

それがなんだか可愛くて、セツコさん、相変わらず素敵だな~、と思いました。

セツコさんお元気ですか、というメッセージをもらったりもするので、ご報告がてら書いてみました。

とってもお元気に過ごされています。よかったです。