大阪の杭全(くまた)というところに、五叉路の大きな交差点があります。
たまたま車で通りかかった時に気付いたのですが、
歩道橋にエレベーターを設置する工事が行われていました。
(そう言えばエレベーターが付いている歩道橋って珍しいよな。
と言うより、そもそも何故今まで歩道橋にエレベーターがなかったんだ?
車椅子利用者はどうしてたんだろう。)
ふと、そんな疑問が湧いてきました。
「交通バリアフリー法」の施行以降、
電車やバス、飛行機など、公共交通機関の旅客施設は、随分とバリアフリー化が進みました。
しかし、歩道橋はまだまだです。
そもそも歩道橋は、子供の交通事故抑制を目的に昭和30年代に建設され、瞬く間に普及したそうです。
ところが、階段を自由に昇り降り出来ない人にとっては、道路を横断出来なくしてしまいました。
それが、近年になり高齢化問題が深刻化して、やっと歩行空間のバリアフリー化が進められるようになってきたようです。
そんな事を考えている時、ふと随分と昔に観たドキュメンタリー映画のことを思い出しました。
グループ・リボン(脳性麻痺者の当事者団体)が制作した「カニは横に歩く」(1972年)です。
映画のながで脳性麻痺の青年が、道路を渡るために、
階段を四つ這いになり時間をかけて一段一段登って行くというシーンがあります。
障がい者などのマイノリティを無視した社会構造を批判するのには、充分すぎるショッキングなシーンです。
しかし実際に、歩道橋にエレベーターの設置が実現するまでに、
この強烈な訴えから40年もの歳月がかかったことになります。
いや、まだまだほんの一部のようですから、実現したと言うには早いかもしれません。
障がい者が永年訴え続けた結果というよりも、
深刻な高齢化問題を前に、急速にバリアフリー化が進んでいるということなのかもしれませんが、
歩道橋が瞬く間に普及したように、
歩道橋にエレベーターがあることが当たり前な、
誰もが暮らしやすい社会へと変化を続けて欲しいものです。
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