Q&A1497 43歳、諦められません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43歳4ヶ月
40歳で不妊クリニックに通い、タイミングで妊娠するも、6週相当で稽留流産、手術2ヶ月後に41歳で自己タイミングにより妊娠、8週相当で稽留流産となりました。
半年後再び不妊クリニックに通い、タイミングでいいでしょうということでしたが一度も妊娠せず、41歳11ヶ月でアンタゴニスト法で採卵7個、4個受精、3日目8分割を2個凍結。卵巣の腫れで3周期ほど休み42歳2ヶ月ホルモン補充周期移植(G1、AHAあり)→陰性、42歳6ヶ月ホルモン補充周期の予定が卵胞が育ってしまったため自然周期で移植(G2、AHAあり)→陰性。
42歳7ヶ月で転院。自然周期(レトロゾールのみ)で採卵、新鮮初期胚移植を5回、凍結胚盤胞移植を1回行うも、hCG 3.3、1.0、0.3のみ。
本日D3の診察で17mm程の卵胞があり、E2 176.5、LH 3.3、FSH 4.7、P4 0.19 でした。卵胞の発育が早すぎるので、今日からレトロゾールを5日服用して再診、状況によってはお休み周期となります。卵胞が早すぎる発育を見せたのは3度目です。
卵は毎回3〜5個採れます。前回採卵した中で5日目胚盤胞になり凍結した胚が1個あります。生理周期も24日で、経血も少なめのため、限界を感じつつもまだ諦められません。

 

A 少なくとも流産2回と化学流産が数回ありますので、まず不育の対策をしっかり行う必要があります。不育症専門医の診察を受けてください。

また、今回の卵胞は、私なら採卵します。この卵胞は遺残ではなく新しい卵胞だからです。女性は、卵巣機能低下(あるいは加齢)とともに、卵巣と子宮が別々に動くようになります。したがって、生理中の採卵もしばしばあり得ますが、卵子の質は普通の時と変わりません(生理中の採卵は質が悪いというのはウソです)。これをお休み周期にしてしまのは、もったいないです。また、卵巣機能低下(あるいは加齢)とともに、生理周期が短くなり、経血も少なくなりますが、この時期はまだ大丈夫なサインです。卵巣機能低下の最終局面では、生理周期が長くなり、そして閉経を迎えます。

卵が毎回3〜5個採れるのでしたら、十分チャンスがあると思います。私なら、全てのオプション検査を行い、できうる限りの対策を行って、チャレンジします。まだ諦める必要はありません。

 

下記の記事を参照してください。

2017.2.18「嬉しい報告:遺残卵胞とされていた卵胞で妊娠