AMHは出産率の予測因子になるか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、AMHが出産率の予測に成り得るか検討したものです。

 

Fertil Steril 2018; 109: 258(米国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2017.10.021

要約:2012〜2013年SART CORSデータベースから、新鮮胚移植69,336周期、凍結胚移植15,458周期について、AMH値と出産率の関連を後方視的に検討しました。なお、PGS/PGS周期は除外しました。新鮮胚移植、凍結胚移植ともにAMHは出産率と有意な相関を認め、交絡因子を除外してもAMHは出産率の独立した予測因子となりました。しかし、ROC曲線を作成してみると、出産率の予測因子として、AMHの関与は低い(AUC 新鮮胚移植0.63、凍結胚移植0.54)ことが判明しました。

 

解説:AMHは卵巣予備能の指標として用いられ、主に卵子の数を反映するとされています。しかし、卵子の質については賛否両論があり一定の見解が得られていませんでした。これまでに報告された2つのメタアナリシスからは、AMHと妊娠率、着床率、出産率の関連は弱いものとされています。しかし、症例数が少ないためと母集団が一様でないため結論は得られていません。本論文は、過去最大規模の症例数での検討であり、AMHは出産率の予測因子になり得るが、その関与は低いことを示しています。

 

下記の記事を参照してください。

2017.10.3「AMHと卵子の質の関係は?