ピピウが生まれてから30 〜心にチクっと刺さった言葉〜 | 憧れの(?)Italia Firenze生活

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イタリアはフィレンツェに住みつき早十数年。
日本語を教えながら、イタリア人の夫と息子と暮らしています。
私の平凡なイタリア生活の実態を御紹介♪

イタリア、フィレンツェにて、イタリア人の夫と暮らしています。

2017年春に第一子となる息子ピピウ(仮名)を出産。

ただ、26週というかなりの早産で生まれてしまった息子。

息子が生まれてからNICUを卒業するまでの過去の出来事を当時の日記をもとに書いています。





〜心にチクっと刺さった言葉〜


搾乳室でいろんなお母さんたちと話すようになって、いろんな病気で赤ちゃんがNICUに入院しているのだと実感しました。

私のように全て順調にいっていたのに急に早産で生まれた赤ちゃん、
生まれる前から検査で病気が分かっていた赤ちゃん…
本当に色々です。


イタリアでは(州によって多少違いがあるようですが、少なくともトスカーナ州では)義務ではないものの35歳以上の妊婦にスクリーニングテストを受ける事を勧めています。

他の35歳以上で出産した知り合いのお母さんたちも当然のように受けていました。

私も受けました。



まず、テストの前にグループでの説明会があります。

スクリーニングテストでは一部の遺伝に関する病気しかわからない事、
あくまでもすスクリーニングであって100%の診断ができるものではないこと。

検査結果が高確率で遺伝子に問題があるとなった場合、確定診断の羊水検査、絨毛検査をするという選択もある事、そしてそのリスクなどが説明されました。



また、検査結果によって妊娠継続を希望するか否か、夫婦で話し合う必要があると言われました。



私の結果はかなりの低確率。
これ以上の検査は必要なしとの事でした。


同じようにスクリーニングテストを受け、お腹の赤ちゃんがダウン症だと知ったという搾乳室で出会ったお母さん。
今ではNICUママ友の一人です。

自分の赤ちゃんがダウン症だと知って、ご主人と一緒にかなり困惑したそうです。

でも、二人は赤ちゃんを生み育てる道を選びました。

赤ちゃんには心臓の疾患があり、生まれてから何度も心臓の手術を受けています。
それでも、元気にスクスク育っているのは赤ちゃんの生命力もさることながら、両親の愛の力だろうなとも思います。


そして、以前、ブログに"訃報"というタイトルで書いたG君両親。

G君の両親もG 君が生まれる前から問題があることを知っていました。
医師には「生まれてもどれだけ生きられるかわからない」「諦めた方がいい」と言われたそうです。

それでも諦めなかったG君両親。

G君は11ヶ月という短い命でしたが、ちゃんとこの世に生を受け、両親に抱かれ、愛情を注がれました。



もし、私がスクリーニングテストでひっかかっていたら…。
もし、妊婦検診で胎児に重度の病気があることを告げられてたら…。

私はどうしていたでしょうか?

それはきっとずっと分かりません。



でも、そんな両親たちを見て思うのは、簡単な決断ではなかったろうなという事です。



ピピウがまだNICUにいた頃、心にチクっとくる言葉を何人かの人に言われたことがあります。

「本当に偉いね。私だったら無理だと思う。」

「すごいね。私は病気を持った子を育てる自信がない。」


きっと、私のことを褒めようとして言ってくれた言葉だと思います。
(そう信じたい。汗)


でも…



私も無理なんだって。

私も自信なんかないんだって。


そう答えたかった。




ピピウが腸の大半を失ったと知った時、命の危険にあった時、全てがガラガラと音を立てて崩れ落ちた気持ちでした。

これからどうなるのか?

医者さえも分からない。

誰も答えてくれない。



でもね…

だからって、何ができるの?

どうすればよかったの?

「健康じゃない子は要りません」と言って親権を放棄する?

「手術は受けさせません」と言って治療を拒否し、死を待つ?


どうすればいいかなんてさっぱり分からなかったけど、その二つのことだけはできませんでした。


じゃ、どうするの?

徐々にでも現実を受け止め、その辛い現実が少しでも良くなるように、できる事をするしかないんです。


妊娠中に赤ちゃんに問題があることが発覚したお母さん、産んで初めて赤ちゃんに問題がある事を知ったお母さん…

私は赤ちゃんに問題があることを最初からすんなり受け入れられるお母さんなんていないと思う。

最初から病気の赤ちゃんを育てる自信のあるお母さんなんていないと思う。


誰だって赤ちゃんが健康に産まれてくることを願っているのだから。



毎日家でも点滴をし、一週間に一度はカテーテルの消毒をし、発熱や嘔吐があればすぐに入院になるピピウ。
カテーテル感染や腸閉塞に怯える生活。
入退院の繰り返し。
端から見たら大変そうだろうし、実際大変です。笑
でも、今、できることをやってるだけなんです。
やるしかないんです。

だから、「えらいね」とか「すごいね」と言われるのはちょっと違う気がします。

がんばってはいるけどね。

でも、それは健康な赤ちゃんを持ったお母さんも同じはず。


「大変だろうに…。いっそのこと、助からなかったほうが良かったんじゃないか。」そう言われたことが一度だけあります。

でも、それは、それだけは、決して思いません。

大変でも、ピピウが生きていてくれて、本当に嬉しいです。

ピピウが成長するように、私とダンナも徐々に親として成長していきたいと思います。


最初から覚悟できてる親なんていない!

最初から自信のある親なんていない!

そう思うんですけどねぇ。





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